科学的根拠に基づいたがん免疫療法の評価とPublicity

文献情報

文献番号
202008005A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的根拠に基づいたがん免疫療法の評価とPublicity
課題番号
H30-がん対策-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
河野 浩二(公立大学法人 福島県立医科大学 消化管外科学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,512,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本事業は、がん免疫療法を一般市民に正しく理解していただくことを目的とし、下記の3分野からなる。

① がん免疫療法ガイドブック編集事業
PubMed、各種がん診療ガイドライン(本邦)、ClinicalTrial.gov(米国)、AHRQ(米国)、NICE(英国)の各データベースから、がん免疫療法あるいはCancer Immunotherapy, Immuno-Oncologyといった検索ワードでデータを抽出し、Evidence levelに応じて評価し、各癌腫ごとにがん免疫療法の臨床的意義、種類、臨床成績などを収集する。そのデータを一般市民にもわかりやすい形式(Q&A形式など)で、「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」として編集し、学会ホームページ等で一般公開する(平成30年度~令和2年度)

② 自由診療ベースでのがん免疫細胞療法の実態調査事業
民間クリニック等での自由診療をベースとしたがん免疫療法の実態を調査する(アンケート調査、再生医療等新法に基づく報告書調査)(平成30年度~令和2年度)。自由診療で行われている免疫療法のRWE(real-world evidence)としての免疫療法の実態を解析する。

③ 市民公開講座事業
日本バイオセラピィ学会の全面的なサポートにより、「がん免疫療法を正しく理解する市民公開講座」を全国各地で計6回を予定し(令和元年度~令和2年度)、科学的根拠に基づいたがん免疫療法に対する普及活動を実施する。その際には、上記①②の結果を踏まえて、講演形式、講演内容を立案する。
研究方法
~令和2年度~
① 平成30年度、令和元年度で実施してきた「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」の編集作業を完成させ、発刊、日本バイオセラピィのホームページなどで公開する。

②2018年度に実施したアンケート調査の回収率が全体の13%であったこと、回答施設は公的機関が多く民間クリニックからの回答が少なかった点を踏まえると、今回のデータで分析、公表するには、Real world dataとしては、バイアスが大きいとの判断に至った。そこで、再生医療新法に基づく年次実績報告書(各地の厚生局への提出)からのデータ抽出など、アンケ―ト調査に関しては継続審議とし、アンケート調査の再実施などの方策を検討することとした。
③ 「がん免疫療法を正しく理解してもらう市民公開講座」を日本バイオセラピィ学会の全面的なサポートのもと継続開催し、全国の3か所程度(合計6か所)で実施する。
結果と考察
①令和2年度(2020年度)には、学会評価委員会からの指摘、パブコメの内容、患者さんのレビューを議論し、ガイドブックの内容の修正、追記などを実施し、最終稿とした。著者による校正作業を追加し、2020年9月にガイドブックを発刊した。その後、2021年2月に、日本バイオセラピィ学会のホームページで公開し、誰でも自由に閲覧(無料)できる状態とした。


②令和2年度には、
・大阪市 有賀淳先生
・山口県宇部市 硲彰一先生
・福岡市     森正樹先生

の3か所での実施を決定した。しかしながら、コロナ禍の蔓延により、集会型の市民公開講座は不可能となり、令和2年度には、大阪でWeb形式による市民公開講座を実施したのみで、山口宇部市と福岡市の開催は見送った


結論
「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」の発刊事業が計画どおり達成され、ホームページでのフリーアクセス可能の状態と合わせ、本事業の主目的である「正確ながん免疫療法の情報の伝達」、は達成できたと思われる。また、市民公開講座事業についても、全国複数会場、Web開催を含め、盛況に実施され、がん免疫療法の正確な情報の啓蒙活動として、一定の目的を達したと判断できる。また、自由診療ベースのがん免疫療法の実態調査に関しては、方法論などの今後の改善が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202008005B
報告書区分
総合
研究課題名
科学的根拠に基づいたがん免疫療法の評価とPublicity
課題番号
H30-がん対策-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
河野 浩二(公立大学法人 福島県立医科大学 消化管外科学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本事業は、がん免疫療法を一般市民に正しく理解していただくことを目的とし、下記の3分野からなる。

①がん免疫療法ガイドブック編集事業
PubMed、各種がん診療ガイドライン、ClinicalTrial.gov、AHRQ、NICEの各データベースからデータを抽出し、Evidence levelに応じて評価し、各癌腫ごとにがん免疫療法の臨床的意義、種類、臨床成績などを収集する。そのデータを一般市民にもわかりやすい形式で、「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」として編集し、学会ホームページ等で一般公開する

②自由診療ベースでのがん免疫細胞療法の実態調査事業
民間クリニック等での自由診療をベースとしたがん免疫療法の実態を調査する(アンケート調査、再生医療等新法に基づく報告書調査)。自由診療で行われている免疫療法のRWE(real-world evidence)としての免疫療法の実態を解析する。

③市民公開講座事業
日本バイオセラピィ学会のサポートにより、「がん免疫療法を正しく理解する市民公開講座」を全国各地で計6回を予定し、科学的根拠に基づいたがん免疫療法に対する普及活動を実施する。
研究方法
①各データベースから、がん免疫療法あるいはCancer Immunotherapyといった検索ワードでデータを抽出する。

②民間クリニック等での自由診療をベースとしたがん免疫療法の実態を調査する(アンケート調査、再生医療等新法に基づく報告書調査)。

③「がん免疫療法を正しく理解する市民公開講座」を全国各地で計6回を予定する。
結果と考察
①平成30年度に、ガイドブックの骨子を決定した。対象は、患者さんとその家族、および免疫療法の専門外の医師を対象とし、平易でわかりやすい内容を基本とする。取り上げる免疫療法を、2018年12月31日現在、本邦で保険収載されているがん免疫療法と定義した。前半に総論的内容(免疫のしくみ、免疫療法の種類、有害事象など)、後半に臓器別に各論とした。
令和元年度には、データ抽出、執筆を開始し、第一稿が完成した。2020年1月には日本バイオセラピィ学会評価委員会と日本臨床腫瘍学会の2者による掲載内容のレビューを実施した。さらに、日本バイオセラピィ学会ホームページによるパブリックコメントを収集、さらに同時に患者さん2名からレビューをいただいた。

令和2年度には、学会評価委員会からの指摘、パブリックコメントの内容、患者さんのレビューを分析し、ガイドブックの内容の修正、追記などを実施し、最終稿とした。2020年9月に「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」を発刊した。その後、2021年2月に、日本バイオセラピィ学会のホームページで公開し、誰でも自由に閲覧(無料)できる状態とした。


②平成30年度に、アンケート調査に関する内容、質問項目の決定、再生医療新法登録施設から該当施設の選定(241施設)を実施した。2018年11月にアンケートを発送し、2019年3月現在、回収率12%と低率であった。回答施設は公的機関が多く民間クリニックからの回答が少なかった点を踏まえると、今回のデータで分析、公表するには、Real world dataとしては、バイアスが大きいとの判断に至った。そこで、再生医療新法に基づく年次実績報告書からのデータ抽出を検討したが、個人情報管理上、困難であることが判明した。再度アンケート調査に関して議論したが、現状から改善は困難との判断となった。

③平成30年度に、日本バイオセラピィ学会において、「がん免疫療法を正しく理解する市民公開講座」を全国各地で計6回実施するこを決定。
福島市 、 福島医大、柴田昌彦先生(令和元年10月13日)
東京都、帝京大学、 飯沼久恵先生(令和元年9月 14日)
岡山市、 岡山大学、藤原俊義先生(令和元年11月29日)
各々、50~100名程度の参加者が得られ、内容は好評であった。

令和2年度には、次の3か所での市民公開講座を計画した、
大阪市(有賀淳先生)、山口県宇部市 ( 硲彰一先生)、
福岡市( 森正樹先生)、しかしながら、コロナ禍の折、宇部市と福岡市での開催は困難との判断で断念し、大阪でWeb配信による市民公開講座を実施した。
結論
「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」の発刊事業が計画どおり達成され、ホームページでのフリーアクセス可能の状態と合わせ、本事業の主目的である「正確ながん免疫療法の情報の伝達」、は達成できたと思われる。また、市民公開講座事業についても、全国複数会場、Web開催を含め、盛況に実施され、がん免疫療法の正確な情報の啓蒙活動として、一定の目的を達したと判断できる。また、自由診療ベースのがん免疫療法の実態調査に関しては、方法論などの今後の改善が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202008005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」の発刊事業が計画どおり達成され、ホームページでのフリーアクセス可能の状態と合わせ、本事業の主目的である「正確ながん免疫療法の情報の伝達」、は達成できたと思われる。また、市民公開講座事業についても、全国複数会場、Web開催を含め、盛況に実施され、がん免疫療法の正確な情報の啓蒙活動として、一定の目的を達したと判断できる。また、自由診療ベースのがん免疫療法の実態調査に関しては、方法論などの今後の改善が必要と思われる。
臨床的観点からの成果
「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」は、専門外の医師、癌診療をとりまくMedical staff (がん患者サポートセンターなど)、製薬企業などに、わかりやすい正確な情報を与えることができた。
ガイドライン等の開発
「よくわかるがん免疫療法ガイドブック」を発刊し、患者さんに、ガイドラインに基づく科学的根拠を、わかりやすく説明できた、

なお、2022年には、「よくわかるがん免疫療法ガイドブック(改定第2版)」の編集を開始し、2023年3月末に発刊予定である。
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
市民公開講座を、全国4か所(Web開催を含む)で実施し、盛況に実施され、がん免疫療法の正確な情報の啓蒙活動に寄与した。

発表件数

原著論文(和文)
15件
原著論文(英文等)
38件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
55件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
市民公開講座

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
2022-08-15

収支報告書

文献番号
202008005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,465,000円
(2)補助金確定額
8,465,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 890円
人件費・謝金 4,779,044円
旅費 337,710円
その他 354,200円
間接経費 1,953,000円
合計 7,424,844円

備考

備考
コロナ禍の折、班会議の開催をWebとしたため、旅費の支出が減少したことが、主要因と思われます。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-