ウイルス感染症の体外診断薬の再評価に関する基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
200735050A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス感染症の体外診断薬の再評価に関する基盤整備に関する研究
課題番号
H19-医薬-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山口 一成(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 川名 尚(帝京大学医学部)
  • 庵原 俊昭(国立病院機構三重病院)
  • 岡田 賢司(国立病院機構福岡病院)
  • 駒瀬 勝啓(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 巽  正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 大西 和夫(国立感染症研究所免疫部)
  • 多屋 馨子(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 鈴木 哲朗(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 沼崎  啓(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 水澤 左衛子(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国で市販されている体外診断薬の再評価のための基盤を整備するために、臨床での問題点を抽出するとともに、国内標準品や標準パネルの整備を行う。今年度は(1)インフルエンザ迅速診断キットの感度の比較検討と現況の把握を行う。(2)単純ヘルペス抗体測定法の比較検討と現況の把握を行う。(3)現行の風疹ウイルス遺伝子検査法の有効性を検証する。風疹HI抗体価とEIA抗体価の相関を明らかにする。麻疹抗体測定法の標準化を行う。(4)百日せき標準血清を作成する。(5)抗HAV抗体血清パネルを整備する。
研究方法
(1)インフルエンザ迅速診断キットの感度を比較した。国内文献をレビューした。(2)臨床検体を用いて単純ヘルペス抗体測定法を検討した。検査機関へのアンケート調査を行った。(3)日本で過去30年間に分離された風疹ウイルスの遺伝子解析を行い、現行のRT-PCR法を検討した。風疹血清パネルのHI抗体価とEIA抗体価を比較した。WHO/WPRO地区の19施設において麻疹血清パネルのIgMのEIA価を測定した。(4)百日せき患者由来標準血清と百日せき菌主要凝集因子に対する特異ウサギ抗血清を作製した。(5)抗HAV抗体陽性の国内血清の収集計画を策定し、集団感染からIgM陽性血清を高ALT献血血漿からIgG陽性血漿を収集した。
結果と考察
(1)インフルエンザ迅速診断キットの感度はキット間で最大1000倍の差があった。(2)単純ヘルペスウイルス抗体測定法として最も頻繁に用いられている補体結合法よりもELISA法が優れていることが示唆された。(3)病原体検出マニュアルに記載されている風疹ウイルス遺伝子検出法では検出できないウイルスが存在した。風疹HI抗体価とEIA抗体価の相関が高いことを明らかにした。麻疹IgM抗体価はEIAキットによりWHO/WPRO地区の19施設で有意差無く測定できた。(4)百日せき患者由来の標準血清と百日せき菌主要凝集因子に対する特異ウサギ抗血清を作製した。(5)抗HAV-IgM陽性血清12検体を収集した。IgG陽性血漿の収集が可能となった。
結論
体外診断薬の再評価のための基盤の整備を目的として、インフルエンザ迅速診断キットと単純ヘルペス抗体測定法の優れた検査法を抽出した。現行の風疹ウイルス遺伝子検査法の問題点を明らかにした。風疹HI抗体価とEIA抗体価の相関を明らかにした。EIA法による麻疹IgM抗体測定法の国際的標準化は可能である。百日せき標準血清を作製した。抗HAV血清パネル用の血清収集を進めた。

公開日・更新日

公開日
2010-04-27
更新日
-