遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出手法の標準化及びプリオン除去工程評価への適用に関する研究

文献情報

文献番号
200735048A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出手法の標準化及びプリオン除去工程評価への適用に関する研究
課題番号
H19-医薬-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 生田 和良(大阪大学 微生物病研究所 ウイルス免疫分野)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院 獣医学研究科 プリオン病学講座)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 菊池 裕(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子組換え医薬品等の異常プリオン(PrPSc)の混入/迷入リスクを低減化するための試料調製法を含む検出法の最適化,並びにPrPSc除去/不活能評価法の標準化を目的とした。
研究方法
1)PrPSc)の混入/迷入リスクを評価するためのPrPscの試料調製法や検出手法に関する文献やEMEAガイドライン等を調査の対象とした。
2) PrPScの構造解析のための試料調製として、ラット脳の脱脂,非イオン性界面活性剤Triton X-114による分画,及びプロテオミクスの手法によりPrPを同定した。
3) マウスを用いたPrPScの迅速測定計の開発を目指して、プリオン感染マウスの体表からの近赤外分光測定を行った。
4) 高度超音波処理PrPSc感染脳由来のミクロゾーム画分をバイオ製剤に添加し,15nmのナノフィルターでろ過した。
5) PrPSc易伝達性細胞を用いた検出法の開発を目的として、プリオンが持続感染させたScN2a-3細胞の培養上清中のPrPScを解析した。
6) 競合的EIAによる高感度ウシPrPSc検出法の開発を目指して、抗PrP抗体6H4,及びβ-ガラクトシダーゼ標識プリオンペプチドを用いた検討を行った。
7) モロニーマウス白血病ウイルスベクターにウシPrP遺伝子を組み込み、培養細胞株HpL3-4に感染させた。
結果と考察
1) PrPScのリスク評価のための高感度な検出法の開発が試みられており、急速な技術進歩が認められるが、PrPScの感染性の検出における実証は未だ十分とは言えず、今後ともPrPSc検出法の十分なバリデーションが不可欠であることが明らかになった。
2) PrPの効率的分画法を構築した。
3) 近赤外スペクトル法はプリオン病の生前診断法として有用であることが判明した。
4) 高度超音波処理したPrPScクリアランス試験用のスパイク材料の妥当性と15nmフィルターによる除去は有効性を実証したが、一方で15nmでも素通りするPrPScの存在を明らかになった。
5) ScN2a-3細胞は、継代培養を行っても上清中にPrPScが放出されることより、感染モデルとしての有用性が明らかになった。
6) 6H4抗体を用いた競合的EIAを構築した。
7) PrP産生細胞株を樹立した。
8) スプライス変異型PrP mRNAを特異的に検出する手法を確立した。
結論
これらの結果は,製造工程におけるPrPSc除去/不活能評価法の標準化や高感度PrPSC検出法の開発につながる成果と期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
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