出生前診断の提供等に係る体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
202007020A
報告書区分
総括
研究課題名
出生前診断の提供等に係る体制の構築に関する研究
課題番号
20DA2003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小西 郁生(京都大学大学院医学研究科 器官外科学講座 婦人科学産科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 崇弘(北海道大学大学院医学研究科総合女性医療システム学講座)
  • 三宅 秀彦(お茶の水女子大学 基幹研究院)
  • 西垣 昌和(国際医療保健大学大学院)
  • 山田 重人(京都大学大学院 医学研究科)
  • 関沢 明彦(昭和大学 医学部 産婦人科学講座)
  • 奥山 虎之(国立成育医療研究センター 病院 臨床検査部)
  • 倉橋 浩樹(藤田医科大学 総合医科学研究所・分子遺伝学)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 佐々木 規子(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 左合 治彦(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター)
  • 浜之上 はるか(横浜市立大学附属病院 遺伝子診療科)
  • 増崎 英明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座(産科婦人科))
  • 三上 幹男(東海大学医学部)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学大学院医学研究科先端生命医科学専攻遺伝子医学分野(遺伝子医療センターゲノム診療科))
  • 久具 宏司(東京大学医学部附属病院)
  • 金井 誠(信州大学医学部附属病院)
  • 小林 朋子(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム医学普及啓発寄附研究部門)
  • 佐々木 愛子(国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター)
  • 澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
  • 鈴森 伸宏(名古屋市立大学 大学院医学研究科 産科婦人科)
  • 中込 さと子(信州大学医学部保健学科)
  • 福島 明宗(岩手医科大学 医学部 臨床遺伝学科)
  • 福嶋 義光(信州大学 医学部)
  • 蒔田 芳男(旭川医科大学 医学部 病院遺伝子診療カウンセリング室)
  • 三浦 清徳(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 吉田 雅幸(東京医科歯科大学生命倫理研究センター)
  • 浦野 真理(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
  • 江川 真希子(東京医科歯科大学 血管代謝探索講座)
  • 大磯 義一郎(浜松医科大学 医学部法学教室)
  • 小門 穂(神戸薬科大学 薬学部)
  • 斎藤 加代子(東京女子医科大学 医学部)
  • 佐村 修(東京慈恵会医科大学 産科婦人科学講座)
  • 吉橋 博史(東京都立小児総合医療センター 臨床遺伝科)
  • 渡部 沙織(東京大学 医科学研究所 公共政策研究分野)
  • 小林 真紀(愛知大学 法学部)
  • 竹内 千仙(東京都立北療育医療センター 脳神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,005,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal Testing: NIPT)が平成25年度より臨床研究として開始されたことにより、出生前診断に関する遺伝カウンセリングの重要性に焦点が当たっている。しかし、出生前診断に関する遺伝カウンセリングの全てに臨床遺伝の専門家が対応するには限界があり、さらに本邦の産婦人科医は減少傾向にあるため、有効な人材活用に向けた教育体制の構築が必要である。一方で、出生前診断の受け手側である妊婦自身が、自律的な判断が出来るようなリテラシーの醸成を含めて、社会体制を整備することも、出生前診断のシステム構築を効率のよく行う上で極めて重要な課題である。本研究班は、前身となる久具班(平成25年度)、第1期小西班(平成26〜28年度)第2期小西班(平成29〜令和元年度)を通じて、一貫してこの問題の解決に取り組んできた。今回は第3期となり、(1)出生前遺伝学的検査ネットワークの構築、(2) 遺伝カウンセリング研修プログラムの評価と改善、(3) NIPTを巡る海外事情の調査 を目的とした。
研究方法
研究班全体を3グループに分け、それぞれ第1〜第3分科会として、以下のテーマに分かれて研究を行った。第1分科会:出生前遺伝学的検査ネットワークの構築、第2分科会:遺伝カウンセリング研修プログラムの評価と改善、第3分科会:一般の妊婦及びその家族に対する出生前診断に関する適切な普及および啓発方法の検討
結果と考察
各分科会に分かれて研究を実施し、年2回の全体会議で方向性の統一を図った。新型コロナウィルス感染拡大の時期でもあり、主にオンラインで打ち合わせを行った。(1) 出生前遺伝学的検査ネットワークの構築において出生前遺伝学的検査の提供者、対象となる疾患の罹患者に対する医療提供者、そして遺伝学的検査や遺伝カウンセリングといった遺伝医療の提供者などのステークホルダーの協働が重要である。現在厚生労働省が主導して出生前検査の体制整備が進んでいるが、そこで必要とされる妊婦への説明書の素案を作成することができた。(2) 出生前診断の体制構築において、一般産婦人科における適切な一次対応が重要となる。本研究班では、その前身段階から、出生前診断の一次対応を担う医療者に対する教育資材の開発を行ってきた。オンライン学習のニーズの高まりを受け、出生前診断に関するオンラインでの系統講義およびロールプレイ演習のシステムを試行し、研修の利点と課題が明らかになり、相談支援員を対象とした研修への応用可能性を見いだした。(3) 各国のELSI対応体制を評価するためのQuality Indicator(QI)を設定するために、(1)医療、法律、社会学それぞれの分野の専門家によるディスカッションによりQI候補の列挙、(2)QI候補を用いた1か国でのパイロットテスト、を実施した。 QIとして、(1)社会・女性関連QI、 (2)リプロダクティブヘルス・ライツ関連QI、(3)障害児・者関連QI、それぞれの項目を設定した。本QIを用いて海外諸国のELSI対応体制を評価し、日本の体制と比較検討することで、日本独自のELSI対応体制への提言作成を目指す。
結論
結論として、(1)各学会や厚生労働省などによりNIPTの実施方法が検討されるのに並行して、新しいシステムで活用しうる患者への説明書の素案を作成した。 (2)第1期・第2期小西班のプロダクトである教育コンテンツをオンライン講義・演習に利用し、さらに充実させることができた。(3)関連する各領域の専門家の意見を集約してQIを作成し、パイロットスタディにおいて実際の収集が可能であることが示された。NIPTの一般診療化に向け、医師以外の医療従事者へ向けた教材の作成など、現状に即したコンテンツの作成も本研究班に期待されるところと認識している。

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-08-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202007020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
6,333,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,667,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 2,801,171円
旅費 94,350円
その他 1,442,479円
間接経費 1,995,000円
合計 6,333,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-08-03
更新日
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