信頼性調査のあるべき方向性に関する研究について

文献情報

文献番号
200735042A
報告書区分
総括
研究課題名
信頼性調査のあるべき方向性に関する研究について
課題番号
H19-医薬-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
  • 景山  茂(東京慈恵会医科大学薬物治療学)
  • 楠岡 英雄(国立病院機構大阪医療センター)
  • 熊谷 雄治(北里大学医学部薬理学)
  • 小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座)
  • 藤原 康弘(国立がんセンター臨床検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における信頼性調査の現状を把握するとともに、日米欧3極間でのGCP信頼性調査の相違点を明らかにし、今後のわが国でのGCP信頼性調査のあるべき方向性を提案する事を目的とした。
研究方法
 わが国のGCP信頼性調査の現状を把握するため、治験実施医療機関、治験依頼者、規制当局の立場から、アンケートやインタビューを含む調査を実施した。また、米国規制当局、治験実施施設、製薬企業、CROを直接訪問し、米国におけるGCP信頼性調査への取り組みを現地調査し、欧州(EU)については関連する文献、出版物を収集分析した。研究期間中、研究の内容と進展度について検討を加えるため、合計3回の研究班会議を開催した。

結果と考察
 機構・治験依頼者・医療機関それぞれにおいて、信頼性保証に対する見方が異なっていた側面が、本研究によって明らかとなった。実地調査で指摘する事項は、すべての治験に共通する指摘事項と、当該治験に対して特に指摘された事項とに区別されるべきであるが、指摘の前提となる固有の背景を考慮せず、指摘事項だけが治験依頼者間で情報として共有され、現在の過剰な対応を招いていることが推察された。特定の治験や状況下での指摘事項と治験一般に敷衍可能な事項とを区別するため、GCP実地調査の一般的な指摘事項については機構が積極的に公開し、機構・治験依頼者・医療機関で情報を共有することで、相互に問題点を把握し理解を深めることが可能であり、問題の改善につながると考えられる。
国際共同治験や、多様化する治験薬・治験機器の増加に伴い、治験環境は大きく変化してきている。GCP実地調査は、治験終了後ある程度の時間差をもって、事後に実施されるが、今後、治験の実施中の調査を可能にするような制度改革・運用改善も検討すべき課題である。
また、治験記録を症例報告書にまとめるのではなく、症例報告書で収集するデータは治験薬・治験機器を評価するのに必要なデータに限定し、実地調査では、治験データの妥当性とその周辺情報が診療録やモニタリング報告に記録されていることを確認すべきである。書面の正確性よりもシステムとしての信頼性に焦点を置いた調査が望まれる。
結論
 GCP信頼性調査に関わる課題は、機構・治験依頼者・医療機関それぞれが相互に問題点を把握し、共通認識に立った議論により解決されるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200735042C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 GCP信頼性調査に対する見解や問題認識が、機構・治験依頼者・医療機関それぞれにおいて異なっている側面が明らかとなった。本研究を通じて、GCP実地調査の一般的な指摘事項についての積極的な情報公開、GCP実地調査を治験実施中に可能とするような制度改革・運用改善、書面の正確性よりもシステムとしての信頼性に焦点を置いた信頼性調査のあり方、など今後のわが国でのGCP信頼性調査のあるべき方向性を提案した。さらに、日本、米国、EUの3極間でのGCP信頼性調査に関する対照表を作成して相違点を明らかにした。
臨床的観点からの成果
 GCP信頼性調査は、治験に参加する被験者の人権、安全及び福祉の保護を確保し、治験の倫理性を担保するとともに、承認申請資料を通じて試験の科学性が確保されているかを確認し、わが国で実施される治験の信頼性を保証するために重要である。本研究は、今後のわが国でのGCP信頼性調査のあるべき方向性を提案するものであり、臨床的観点からも、被験者保護、治験の科学性保証に資するものと考えられる。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
国際共同治験推進会議in Hamamatsu(平成20年1月26日於アクトシティ浜松中ホール)を開催した。本研究成果を発表するとともに、アジアと連携した治験の推進、審査の迅速化(体制整備等含む)に向けた課題に対して活発な議論を行い、その内容は静岡新聞・中日新聞・医学界新聞紙上で取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-