母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究

文献情報

文献番号
202007013A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究
課題番号
19DA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 基礎医学系 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 上原 里程(京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 横山 美江(大阪市立大学大学院 看護学研究科)
  • 鈴木 孝太(愛知医科大学 医学部衛生学講座)
  • 市川 香織(東京情報大学 看護学部看護学科)
  • 近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会疫学分野)
  • 宮崎 晴菜(川口 晴菜)(大阪母子医療センター産科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
16,590,000円
研究者交替、所属機関変更
【所属機関変更】 研究分担者:近藤尚己 東京大学大学院医学系研究科 准教授(平成24年4月1日~令和2年8月31日) →京都大学大学院医学研究科 教授(令和2年9月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、健やか親子21(第2次)の目標達成や新たな課題に関する科学的知見の収集・提案をすること、および、効率的効果的な母子保健事業の実施に資する普及可能な汎用性の高い利活用モデルを構築することである。
研究方法
研究内容は次の3点である。
1.母子保健情報を利活用した「健やか親子21(第2次)」の推進のための環境整備に関する研究
2.母子保健領域の「知」のデータベースの構築
3.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築
結果と考察
1.母子保健情報を利活用した「健やか親子21(第2次)」の推進のための環境整備に関する研究
毎年秋に開催される日本公衆衛生学会学術総会において「健やか親子21」に関する自由集会を今年も開催し、「健やか親子21(第2次)と成育基本法」というテーマで開催した。また学会会期中に「成育基本法と健やか親子21」と題したシンポジウムも実施し、900名(会期中722名、オンデマンド178名)の参加者が認められ、関心の高さが伺えた。

2.母子保健領域の「知」のデータベースの構築
「母子保健・医療情報データベース」は健やか親子21(第1次)開始時から運営されてきたが、データベースの仕様が古くなったこと、そして時代の変化とともに新しい指標が求められてきたことを鑑み再構築を行った。新たな機能として、情報を登録する際、新たに「科学的根拠の強さ」という指標を追加した。また、ホームページへのアクセス数の把握について、より正確にページのアクセス数をカウントできるように「ページビュー数」を把握できるようにした。そして、「母子保健・医療情報データベース」の発展版として、世間で流れている情報の科学的根拠の有無等をまとめた「知」のデータベースの構築も行った。本データベースは、妊娠・出産・育児に関する相談に際して、保健従事者が科学的根拠を示しながら対応できることの情報源としての使用を目的とした。名称は「子育て相談を支援するデータベース」とし、妊娠、出産、子育てを対象としてよく見られる質問をアレルギー、インターネット、運動・遊び、喫煙、健診、環境、子どもとのかかわり、事故、食・授乳、睡眠、多胎児、地域で子育て、父親、歯、発達、その他、の16分野に分類し、各々の質問に回答する形式で原稿を作成した。原稿は、論文検索により得られた知見を基に作成し、科学的根拠による評価をつけた。現在は50本の原稿が試験的に閲覧できるようになっており、今後さらに情報を増やし一般に公開していく予定である。

3.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築乳幼児健診の個別データ分析
全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルとしては、産科医療機関における要支援妊婦の抽出を目的とした問診票での情報把握、および行政機関との連携についての研究を大阪府と東京都でこれまで実施してきた。本年は、妊娠初期、中期、後期の問診票データを使用し、昨年度行った点数配分やカットオフ値を用いる場合の実現可能性や臨床的な経験と照らしあわせて抽出症例に過不足が発生しないか等を考慮した上で、問診票の得点配分と抽出方法の再検討を行った。また、高知県において、すべての子どもを対象とした要支援情報の把握と一元化を目指す過程について実践研究を開始し、母子保健情報の利活用について対象自治体の現状を把握し、今後の課題についてまとめた。京都府においては、母子保健領域における情報利活用の現状と課題について1自治体から聞き取りを行い、情報利活用の課題として、集団の分析、妊婦健診のデータ活用、産官学連携により研究へと発展させるための個人情報の扱い等が挙げられた。さらに、全国でも情報の電子化や市区町村間の連携について、実施状況と運用上の課題について、調査を行った。各自治体で抱える具体的な課題の抽出とともに、電子情報の活用方法の周知や、負担軽減のための手法の提案が必要と考えられた。今後は、これらの連携や調査結果を基に、利活用実践ガイドラインとしてとりまとめていく。
結論
今年度は既存のデータベースである「母子保健・医療情報データベース」の再構築と、このデータベースの発展版である「知」のデータベース(「子育て相談を支援するデータベース」)の構築を行った。また、全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築として、産科医療機関における要支援妊婦の抽出および行政機関との連携、すべての子どもの要支援情報の把握と一元化を目指した研究を進めた。進めていく中で全国へ普及させるための課題等も明らかになってきた。加えて、母子保健情報の利活用状況についての全国調査、および聞き取り調査も行い、来年度はこれらの情報に基づいて利活用実践ガイドラインを完成させる。

公開日・更新日

公開日
2021-07-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-12
更新日
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202007013Z