血液製剤に対するエンドトキシン試験法の適用と基準化に関する研究

文献情報

文献番号
200735037A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤に対するエンドトキシン試験法の適用と基準化に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-035
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山口 一成(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 内藤 誠之郎(国立感染症研究所検定検査品質保証室)
  • 浜口 功(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
  • 堀内 善信(国立感染症研究所細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤を含む注射剤に対しては、発熱性物質の混入を防止するために、ウサギ発熱試験法での検査が実施されてきた。しかし、この試験法は、精度や感度および動物福祉の観点から、in vitro試験法への代替が望まれている。そこで、種々の血液製剤について、発熱試験代替法として、エンドトキシン試験法を導入することが可能かどうかを検討した。
研究方法
1.種々の血液製剤について、反応干渉因子試験(添加回収試験)を実施し、反応干渉を回避するために必要な希釈倍数のデータを蓄積した。2.等量のエンドトキシンを添加した血液製剤と生理食塩液によるウサギの発熱反応を比較して、血液製剤による発熱増強作用のデータを蓄積した。3.以上のデータに基づき、個々の血液製剤について、発熱増強作用も考慮に入れて、日本薬局方の規定に準じてエンドトキシン規格値を算定した。さらに最大有効希釈倍数(MVD)を試算し、MVDと反応干渉を回避するために必要な希釈倍数を比較してエンドトキシン試験法適用の可能性を考察した。
結果と考察
前年度に引き続き反応干渉因子試験を実施し、最終的に5製造所21種類の血液製剤のデータを得た。その結果、ほとんどの血液製剤で強い反応干渉作用は認められず、エンドトキシン試験法を適用できる可能性が高いと判断された。同じく21種類の血液製剤について発熱増強作用を検討し、凝固因子系の血液製剤に発熱増強作用があることを明らかにした。発熱増強作用も考慮に入れて個々の血液製剤についてエンドトキシン規格値を算出し、さらにこれらの規格値をもとにMVDを試算した。その結果、ほとんどの血液製剤において反応干渉作用を回避するのに必要な希釈倍数はMVDを下回っており、エンドトキシン試験法の適用が可能であると判断された。しかし、乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤については強い反応阻害作用があり、通常の方法ではエンドトキシン試験法の適用が困難であると考えられた。
結論
多くの血液製剤について、エンドトキシン試験法に対する反応干渉作用は軽微であり、エンドトキシン試験法を適用できる可能性が高いと考えられた。凝固因子系の血液製剤では発熱増強作用が認められたことから、この作用を考慮にいれてエンドトキシン規格値を補正する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-11-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200735037B
報告書区分
総合
研究課題名
血液製剤に対するエンドトキシン試験法の適用と基準化に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-035
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山口 一成(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 内藤 誠之郎(国立感染症研究所検定検査品質保証室)
  • 浜口 功(国立感染症研究所血液・安全性研究部 )
  • 堀内 善信(国立感染症研究所細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤を含む注射剤に対しては、発熱性物質の混入を防止するために、ウサギ発熱試験法での検査が実施されてきた。しかし、この試験法は、精度や感度および動物福祉の観点から、in vitro試験法への代替が望まれている。そこで、種々の血液製剤について、発熱試験代替法として、エンドトキシン試験法を導入することが可能かどうかを検討した。
研究方法
5製造所21種類の血液製剤について、反応干渉因子試験(添加回収試験)を実施し、個々の血液製剤について反応干渉を回避するために必要な希釈倍数を明らかにした。また、等量のエンドトキシンを添加した血液製剤と生理食塩液によるウサギの発熱反応を比較して、血液製剤による発熱増強作用を検討した。以上の検討結果に基づき、個々の血液製剤について、発熱増強作用も考慮に入れて、日本薬局方の規定に準じてエンドトキシン規格値を算定し、さらに最大有効希釈倍数(MVD)を試算した。MVDと反応干渉を回避するために必要な希釈倍数を比較してエンドトキシン試験法適用の可能性を検討した。
結果と考察
ほとんどの血液製剤で強い反応干渉作用は認められず、エンドトキシン試験法を適用できる可能性が高いと考えられた。一部の血液製剤(凝固因子系)では、発熱増強作用が認められた。発熱増強作用も考慮に入れて、個々の血液製剤についてエンドトキシン規格値を計算したところ、0.2EU/mLから2.5EU/mLの範囲に算定された。これらの規格値をもとに、個々の血液製剤についてMVDを試算したところ、乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤を除いて、いずれの血液製剤においても反応干渉作用を回避するのに必要な希釈倍数を上回っており、エンドトキシン試験法の適用が可能であると判断された。乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤については強い反応阻害作用があり、通常の方法ではエンドトキシン試験法の適用が困難であると考えられた。
結論
乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤を除いて、ほとんどの血液製剤にエンドトキシン試験法を適用できる可能性が高い。一部の血液製剤(凝固因子系)では発熱増強作用が認められ、このことを考慮にいれてエンドトキシン規格値を補正する必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-11-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200735037C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.血液製剤は、エンドトキシン試験法に対する反応干渉は軽微であるが、人アンチトロンビンIII製剤には強い反応阻害活性のあることを明らかにした。
2.血液製剤には、ライセート試薬のG因子を活性化する物質が含まれている場合のあることを明らかにした。
3.凝固因子系の血液製剤がエンドトキシンの発熱活性を増強する一方、人免疫グロブリン製剤は発熱活性を抑制することを明らかにした。
以上の成果は、第6回国際動物実験代替法学会および第12回エンドトキシン研究会総会にて発表した。
臨床的観点からの成果
血液製剤の発熱試験法としてエンドトキシン試験法を導入できることを示した。エンドトキシン試験法の導入により、従来のウサギを用いた試験法と比較して感度、精度及び定量性の点で、より高度な発熱性物質の管理が実現できるもの考える。
ガイドライン等の開発
本研究報告は、薬事・食品衛生審議会第二部会(平成20年11月27日)での生物学的製剤基準改定案の審議において参考にされ、厚生労働省告示第百八十七号(平成21年3月31日)により、血液製剤に対するエンドトキシン試験法の適用が生物学的製剤基準に収載された。
その他行政的観点からの成果
本研究報告は、薬事・食品衛生審議会第二部会(平成20年11月27日)での生物学的製剤基準改定案の審議において参考にされ、厚生労働省告示第百八十七号(平成21年3月31日)により、血液製剤に対するエンドトキシン試験法の適用が生物学的製剤基準に収載された。
その他のインパクト
本研究報告に基づき、従来のウサギを実験動物として用いる発熱試験法に替わって試験管内試験法であるエンドトキシン試験法が生物学的製剤基準に収載されたことにより、血液製剤の品質管理の高度化のみならず、試験コストの削減、動物福祉(3Rs)の推進に貢献した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
2件
第12回日本エンドトキシン研究会総会 第14回日本エンドトキシン研究会総会
学会発表(国際学会等)
4件
6th World Congress on Alternatives & animal Use in the Life Sciences
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
生物学的製剤基準の改定(厚生労働省告示第百八十七号、平成21年3月31日)
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-