抗毒素製剤の効率的製造方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200735036A
報告書区分
総括
研究課題名
抗毒素製剤の効率的製造方法の開発に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-034
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 大隈邦夫((財)化学及血清療法研究所 品質管理部長)
  • 千葉 丈(東京理科大学 基礎工学部)
  • 向本雅郁(大阪府立大学大学院  生命環境科学研究科)
  • 黒澤良和(藤田保健衛生大学 総合医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ガス壊疽、ジフテリア、ボツリヌス等の毒素性細菌感染症の治療や、ハブやマムシの毒ヘビ咬症の治療に用いられているウマ抗毒素製剤の安定供給のために、現行ウマ抗毒素製造の改良検討による効率化を計る。また、ウマ抗血清は異種由来のため血清病等の問題があり、これをヒトモノクローン抗体に変換したいという強い社会的ニーズが存在するため、現行ウマ抗毒素製造の具体的な改良点と対応策およびウマ血液由来製剤以外のヒト抗体の基礎研究をおこなう。
研究方法
ウマ抗毒素製剤には化血研独自で製造法を開発した製剤と千葉県血清研究所から承継した製剤があり、両者の製造工程が微妙に異なるため、最終製剤の品質の違いを数種の方法で分析した。また、基礎製造時のBSE対策として対象国以外の代替薬品への適応を検討した。ヒト型抗体の開発では、ボツリヌスと破傷風毒素に対するヒト型(化)抗体製剤を視野にいれ、ボツリヌスは免疫ヒトリンパ球を用いた完全ヒト中和抗体作製を、また破傷風は完全型ヒト抗体を産生するトランスクロモマウスを用いる系で検討した。
結果と考察
製造工程で用いる材料中にBSE混入の恐れのある原料の除去や変更を検討した結果、同程度の毒素産生性のある組成を確認した。ウマ免疫方法の検討結果では、基礎・追加免疫のいずれもトキソイドを用いることにより高力価の血清が得られた。また、抗破傷風ヒト抗体開発では、作製した10種抗体の組み合わせにより顕著な中和活性の増強を確認した。また、A型ボツリヌス毒素抗体では中和エピトープの神経毒素分子上の位置を解析し、現抗毒素製剤の品質評価系と高品質のヒト抗体生産に応用する。さらに、A型ヒト抗体では6種類の中和活性を有する抗体の4種類の組合せで1mg当たり約12国際単位の力価を確認した。
結論
ウマ抗毒素製剤の製法は、化血研が独自に開発した製法と千葉血清から承継した製法があり、両者は各々利点と欠点を有する。現製法の改良に関する研究成果は得られる方向にあるが、製造認可承認済みの製法変更は多くの書類と手続きおよびGMP上の規制がある。危篤状況の患者の治療目的製剤で且つ希少疾病であることを考慮した行政対応が必要である。ヒト抗体の開発では破傷風とA型ボツリヌス抗体について複数の抗体の組合せによるマウスでの有効性を確認し、今後、安全性と連続生産性の検討をする。

公開日・更新日

公開日
2008-04-24
更新日
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