身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育を促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究

文献情報

文献番号
202007005A
報告書区分
総括
研究課題名
身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育を促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究
課題番号
H30-健やか-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
岡 明(埼玉県立小児医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小枝 達也(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター こころの診療部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
  • 片岡 祐子(岡山大学病院 耳鼻咽喉科)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 中塚 幹也(岡山大学大学院保健学研究科)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 仁科 幸子(蓮江 幸子)(国立成育医療研究センター 感覚器形態外科部 眼科)
  • 中山 秀紀(久里浜医療センター)
  • 阪下 和美(国立成育医療研究センター総合診療部総合診療科)
  • 石崎 優子(関西医科大学小児科学講座)
  • 松裏 裕行(東邦大学 医学部 小児科学講座大森)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
19,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもの健康に対しBiopsychosocial(BSP)な視点を備えた医療保健体制を確立する必要があり、包括的で切れ目のない小児思春期の保健・医療体制のための基盤作りと実証を行う。
研究方法
(1)日本版Bright Futuresの作成:BSPの視点による課題を抽出し指針を追記修正の上で公開した。(2)乳幼児健康診査の身体診察マニュアルに準拠した乳幼児健康診査体制:前年度作成した資材により、パイロット研究を実施し実効性と有効性を検証した。(3)乳幼児健診における精度管理等データに関する研究:発育性股関節脱臼のスクリーニングの精度管理を検討した。(4)思春期健診の社会実装化を目指した研究:昨年度作成した思春期の子どもの問診票や思春期保健指導マニュアル等を用いたパイロット研究を行った。(5)インクルーシブ教育を受ける思春期の難聴者の抱える問題に関する研究: 思春期の難聴児へスクリーニング的な調査および介入の実用性についての検証を目的に学校生活に関する質問紙調査を行った。(6)乳幼児健診における視覚スクリーニングの標準化と連携に関する研究:新生児および乳児に対する問診と視診のチェックリストを作成し、健診における屈折検査と眼位検査を導入し、新たな視覚スクリーニング機器の有効性を検証した。(7)性教育実践にあたっての学校との連携の基礎・基本~性教育方法ガイドの開発:性教育方法ガイドの視点の小項目についてまとめた。(8)LGBT、特に性同一性障害/性別違和の子どもや関係者への情報提供についての研究:教育関係者を対象として質問紙調査を行った。(9)思春期の薬物メディア依存に関する研究:中学校においてインターネットやゲーム等の依存的使用に関する調査研究を行った。(10)米国の小児保健体制の応用に関する検討:米国のBright Futuresガイドラインにおけるツールについて調査した。(11)自記式Pediatric Symptom Checklist17日本語版の開発: PSC17日本語版を使用し、信頼性妥当性を検証した。(12)乳児健診における心雑音の病的意義の検討:健診にて心雑音を指摘され受診した児について後方視的に電子カルテを調査し、診断・検査結果を調査した。
結果と考察
(1)小児期思春期のHealth Supervisionの資料「乳児から思春期までのヘルススーパービジョンのための指針」を追記編集作業を行い、本研究班HPに公開した。
(2)「改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル」の有効性の検証を1歳6か月と3歳児健診で、マニュアルの診察項目表へ所見を転記することにより行い、スクリーニングが可能であることを確認した。診察自体はおおよそ5分以内に実施可能で、デジタル化した入力方式も円滑に入力とデータ通信が行われた。
(3)市町村の乳幼児健康診査の精度管理手法を実証的に検討するため、モデル地域における発育性股関節脱臼の精度管理を検討した。健診での有所見率等に指標が得られ、市町間に違いが認められた。
(4)前年度作成した思春期保健指導インタビューマニュアル等を用い、予防接種時に思春期健診を試行し、5分以内で2項目程度の保健指導が可能であり、保護者ニーズも確認された。
(5)難聴児のインクルーシブ教育での課題が明らかになったため、指導マニュアル「難聴をもつ小・中・高校生の学校生活で大切なこと」を作成し、関係機関に配布した。
(6)新たな視覚スクリーニング機器の3歳児健診における有用性を検証して情報発信した。
(7)性教育方法ガイドの骨格をもとに、学校教育について内容を整備した。
(8)教員を対象にLGBTの子どもに関する調査を行い課題を検討した。。
(9)中学生でのインターネットやゲーム等の利用に関する調査により、インターネットやゲームの依存的使用をしている生徒が多数存在することが疑われた。
(10)切れ目のないヘルススーパービジョンに使用する質問と予期ガイダンスを組み合わせたツールの開発が必要と考えられた。
(11)Pediatric Symptom Checklist(PSC)の自記式PSC短縮版(17項目版)の日本語版(JPSC17-Y)を作成し、信頼性と妥当性を検討の検証を行った。
(12)3歳児健診で指摘された心雑音の大半が無害性で、精査加療を急ぐ先天性心疾患の診断契機となる可能性は低いと考えられた。
結論
切れ目のない小児思春期の保健・医療体制のための基盤作りの資料作成、健診パイロット研究の実施、視覚・聴覚・運動器・性などの課題別検討、保健体制に関する検討などを行った。

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
2023-07-14

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202007005B
報告書区分
総合
研究課題名
身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育を促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究
課題番号
H30-健やか-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
岡 明(埼玉県立小児医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小枝 達也(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター こころの診療部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 西崎 和則(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 片岡 祐子(岡山大学病院 耳鼻咽喉科)
  • 仁科 幸子(蓮江 幸子)(国立成育医療研究センター 感覚器形態外科部 眼科)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 中塚 幹也(岡山大学大学院保健学研究科)
  • 中山 秀紀(北仁会 旭山病院)
  • 阪下 和美(国立成育医療研究センター総合診療部総合診療科)
  • 石崎 優子(関西医科大学小児科学講座)
  • 松裏 裕行(東邦大学 医学部 小児科学講座大森)
  • 平岩 幹男(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部)
  • 竹原 健二(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもの健康に対しBiopsychosocialな視点を備えた医療保健体制を確立する必要があり、切れ目のない小児思春期の保健・医療体制のための基盤作りと実証を行う。
研究方法
(1)日本版Bright Futuresの作成:指針を作成の上で公開した。(2)乳幼児健康診査の身体診察マニュアルに準拠した乳幼児健康診査体制:疫学データによりマニュアルを改訂、健診アプリを作成の上で、パイロット研究を実施し実効性と有効性を検証した。(3)乳幼児健診における精度管理等データに関する研究:発育性股関節脱臼のスクリーニングの精度管理を検討した。(4)思春期健診の社会実装化を目指した研究:アンケート調査にて思春期の課題を抽出し、問診票を作成し思春期の面接の試行を行った後、思春期保健指導マニュアル等を用いたパイロット研究を行った。(5)インクルーシブ教育を受ける思春期の難聴者の抱える問題に関する研究: 思春期の難聴児の学校生活に関する質問紙調査を行った。(6)乳幼児健診における視覚スクリーニングの標準化と連携に関する研究:新生児乳児の問診と視診資料の作成と、健診での新たな検査法について検討した。(7)性教育実践にあたっての学校との連携:教育方法の概要を作成し性教育方法ガイドについてまとめた。(8)性同一性障害/性別違和の子どもや関係者への情報提供についての研究:教育関係者に質問紙調査を行った。(9)思春期の薬物メディア依存に関する研究:中学校と幼稚園でインターネット等の依存的使用に関する調査研究を行った。(10)米国の小児保健体制の応用に関する検討:米国のBright Futuresガイドラインと制度について検討した。(11)Pediatric Symptom Checklist17日本語版の開発: PSC17日本語版の信頼性妥当性を検証した。日本版ネウボラと海外との比較を行った。(12)乳児健診における心雑音の病的意義の検討:健診にて心雑音を指摘され受診した児について診断・検査結果を調査した。(13)小児保健医療のデータからの課題の抽出:レセプト情報を用い、障害調整生存年(DALY)の推計を試みた。
結果と考察
(1)「乳児から思春期までのヘルススーパービジョンのための指針」を作成し本研究班HPに公開した。
(2)健診の診察の方法や所見の基準を策定し「改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル」を作成した。集団健診のアプリを開発し、医師向けの研修動画を作製した。有効性の検証を1歳6か月と3歳児健診で行い、マニュアルの診察項目表でのスクリーニングが可能であることを確認した。診察は5分以内に実施可能で、デジタル入力も円滑にデータ通信が行われた。
(3)モデル地域における発育性股関節脱臼を指標に、乳幼児健康診査の精度管理を検討した。健診での有所見率等の指標が得られ、市町間に違いが認められた。
(4)思春期の一次医療機関で可能な問診票を作成し面接を試行した。予防接種時に作成したマニュアルによる思春期健診を試行し、5分以内で2項目程度の保健指導が可能であり、保護者ニーズも確認された。
(5)難聴児のインクルーシブ教育での課題が明らかになり、指導マニュアル「難聴をもつ小・中・高校生の学校生活で大切なこと」を作成した。
(6)新たな視覚スクリーニング機器の3歳児健診における有用性を検証して情報発信した。
(7)性教育方法ガイドの骨格をもとに、学校教育について内容を整備した。
(8)教員を対象にLGBTの子どもに関する調査を行い課題を明らかにした。
(9)中学生でのインターネット等の利用に関する調査により、多数の生徒が依存的使用をしていると考えられた。幼稚園生のメディア・ゲーム利用に対し、予防啓発教育の必要性が考えられた。
(10)切れ目のないヘルススーパービジョンに使用する質問と予期ガイダンスを組み合わせたツールの開発が必要と考えられた。
(11)Pediatric Symptom Checklist(PSC)の自記式PSC短縮版(17項目版)の日本語版(JPSC17-Y)を作成し、信頼性と妥当性を検討の検証を行った。日本版Bright Futuresが子育て世代包括支援センターから引継ぐことで、切れ目ない支援が可能になると考えられた。
(12)3歳児健診で指摘された心雑音は、精査加療を急ぐ心疾患の診断契機となる可能性は低いと考えられた。
(13)我が国の疾病負担の推計により「精神及び行動の障害」では、傷病名の出現数・DALYの推計値ともに、年齢とともに思春期に向けて増加していた。
結論
切れ目のない小児思春期の保健・医療体制のための基盤作りの資料作成、健診パイロット研究の実施、視覚・聴覚・運動器・性などの課題別検討、保健体制に関する検討などを行った。

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-07-15
更新日
2021-10-14

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202007005C

収支報告書

文献番号
202007005Z