献血者の安全確保対策に配慮した採血基準の拡大に関する研究

文献情報

文献番号
200735033A
報告書区分
総括
研究課題名
献血者の安全確保対策に配慮した採血基準の拡大に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-029
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 比留間 潔(比留間医院)
  • 中島 一格(東京都赤十字血液センター)
  • 佐竹 正博(東京都赤十字血液センター)
  • 田山 達也(日本赤十字社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
17歳への400ml全血採血の導入、全血献血の上限年令の見直し、血小板成分献血の上限年令の妥当性を検討するとともにHb基準値を引き上げた場合の献血者数への影響を調べ、さらに医学生集団が如何にすれば献血者増加が図れるかを目的としている。
研究方法
平成18年度に献血の受付をして日本赤十字社のコンピューターシステムに入力されているデータを性別、献血方法別、年令階層別に献血者数、献血不適格者数、副作用発生状況を集計した。血小板献血の上限年令の見直しに関するアンケート調査は全国の7地域の血液センターで実施した。また血液比重による適否判定とHb簡易測定値をもとに望ましいHb値を検討した。そして献血に関する医学生の意識調査を行い299名(全学生の59%)から回答を得た。
結果と考察
17歳に400ml全血献血を導入することでは、年間に200ml献血換算46,684名分に相当する増加が見込まれた。全血献血の上限年令を69歳から74歳に延長した場合に増加する献血者数は、全血総献血者数の0.11%程度である。血小板成分献血の上限年令を現行の54歳から59歳に延長した場合には、年間45,534名の献血者の増加が見込まれた。血小板献血の上限年令の見直しに関するアンケート調査結果は、90%以上の献血者が54歳以降も血小板献血に協力したい、血小板献血の上限年令の見直しを行なうことには85%以上から賛成との回答が得られた。年齢基準の見直しで比較的多数の献血者増が見込まれ、アンケート調査でも肯定的な回答が得られている血小板成分献血の上限年令の見直しを第一優先のテーマとして検討を進めるべきとの結論が得られた。
また、Hb基準値を引き上げた場合の献血者数への影響について血液比重による適否判定とHb簡易測定値をもとに検討したところ、血液比重測定法と簡易Hb測定法はともに、手技を正しく行えば採血基準に従った適否判定に有用な手法と言える。
 医学生の献血に協力する気持ちは高く、プロモーション効果は十分にある。その際、未経験者ではTRAやTPBに沿った戦略、経験者では毎回の献血で嫌なイメージを持たせないことに重点を置いた戦略を採る必要がある。

結論
少子高齢社会が急速に進展している今日、科学的根拠に基づく採血基準を設定するとともに、献血者の健康保護に十分配慮した血液事業の推進が求められている。

公開日・更新日

公開日
2008-11-13
更新日
-