産婦死亡に関する情報の管理体制の構築及び予防介入の展開に向けた研究

文献情報

文献番号
202007001A
報告書区分
総括
研究課題名
産婦死亡に関する情報の管理体制の構築及び予防介入の展開に向けた研究
課題番号
H30-健やか-一般-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
池田 智明(国立大学法人三重大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,732,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-11-18
更新日
2022-12-07

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202007001B
報告書区分
総合
研究課題名
産婦死亡に関する情報の管理体制の構築及び予防介入の展開に向けた研究
課題番号
H30-健やか-一般-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
池田 智明(国立大学法人三重大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 竹田 省(順天堂大学医学部 産科婦人科学講座)
  • 吉益 晴夫(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 山下 洋(九州大学病院 精神科神経科)
  • 関沢 明彦(昭和大学 医学部 産婦人科学講座)
  • 相良 洋子(公益社団法人日本産婦人科医会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2018年に東京都監察医務院からの報告で、2005年から2014年の10年間に東京都23区で63例の妊産婦自殺があったことが明らかになった。リスクの抽出や予防介入を行う場合、当該事例を振り返り原因分析を行うことは非常に有益である。本研究では、妊産婦の自殺に関するリスクの抽出と予防介入の可能性について明らかにすることを目的とし、妊産婦の自殺を防ぐシステムの確立を目指す。
研究方法
2010年から2020年の期間において、日本産婦人科医会に報告され妊産婦死亡症例検討委員会で死亡の原因分析が施行された症例から自殺が主原因である事例を抽出した。その事例の臨床的特徴を解析した。
結果と考察
 2010年から2020年までに報告された自殺による妊産婦死亡は32例あった。32例中、妊娠中の自殺が16例、産後の自殺が16例(うち1例は中絶後)あった。
 母体年齢は34.1±5.7歳(mean±SD)で初産婦が24例(75.0%)、経産婦が8例(25.0%)であった。妊娠中事例の自殺時期は、第1三半期:2例、第2三半期:4例、第3三半期:8例、不明:2例と第3三半期が最も多かった。産後事例の自殺時期は産後42日未満:8例、42日以降1年未満:8例であった。妊娠中事例のうち、12例(75.0%)が妊娠前より何らかの精神疾患を罹患していた。産後事例においては、6例(37.5%)が妊娠前に精神疾患を罹患し、5例(31.3%)が妊娠出産を契機に抑うつ・うつ病を発症していた。したがって、妊産婦の自殺事例全体において、精神疾患を有していたのは23例(71.9%)であった。
 東京都での調査では、妊婦と1年未満の産褥婦(妊産婦死亡と後発妊産婦死亡をあわせたもの)の自殺率は出生10万に対して8.7と報告されている。大阪での報告もあわせると、我が国では年間に60〜80例程度の自殺による死亡が生じていると試算される。また、リンケージ解析によって2018年に発表された我が国の妊産婦死亡において、出産後1年以内の死亡の第1位が自殺であることが判明した。今回、検討した症例はその一部でしかないということには留意が必要である。
 ただ、上記の結果が判明後、妊産婦の自殺が喫緊の課題と認識されたこと一致して、出産後42日以降1年以内の自殺事例が本事業に報告されることが年々増加している。
 本事業は、自殺による妊産婦死亡数の把握にとどまらず、各事例の詳細なデータを得て、原因分析が実施可能である点、事例の蓄積により傾向の把握と今後の課題の抽出が可能である点が強みである。今後も日本産婦人科医会を中心に本事業に関する情報発信を継続し、後発妊産婦死亡の報告数も増加させる取り組みを展開していく必要がある。
結論
妊産婦死亡症例検討会で解析した32例の自殺事例を解析した。今後も自殺の原因分析や予防介入の検討などを継続していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-01-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202007001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本における妊産婦死亡の最多原因が自殺であることを明らかにした。そのことを契機に、死亡診断書に妊娠中であるチェック項目が追加される議論となったことは、意義がある。
臨床的観点からの成果
日本における妊産婦死亡の最多原因が自殺であることを明らかにし、産婦人科、救急など、周産期救急に関わる医療者へ妊産婦の自殺対策が喫緊の課題であることが周知された。
ガイドライン等の開発
「母体安全への提言」を発刊し、母体死亡の現状を報告するとともに、その内容を日本における各種ガイドラインに引用されている。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
日本における妊産婦死亡の最多原因が自殺であることがマスコミによって報道され、妊産婦のメンタルヘルスに注目が集まる結果となった。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
88件
その他論文(和文)
37件
その他論文(英文等)
8件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-01-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
202007001Z