違法ドラッグの薬物依存形成メカニズムとその乱用実態把握に関する研究

文献情報

文献番号
200735029A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの薬物依存形成メカニズムとその乱用実態把握に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
舩田 正彦(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅沼 幹人(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科神経情報学分野)
  • 青尾 直也(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 和田  清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)のうち、覚せい剤類似化合物である4FMP、PMMAの精神依存性、自覚効果および神経毒性の評価とその基盤研究を行った。また、違法ドラッグの評価に関する基礎資料を提供する目的で、青少年および薬物依存症者を対象に、違法ドラッグを含む薬物乱用実態に関する疫学調査を実施した。
研究方法
行動解析:マウスを使用して、条件付け場所嗜好性試験法と薬物弁別試験法により、精神依存性および自覚効果の評価を行った。細胞毒性の評価:ドパミン系培養神経細胞CATH.a細胞およびセロトニン系培養神経細胞B65細胞を用いて、細胞毒性(LDH放出量測定)を検討した。疫学調査:無記名自記式による質問紙調査を実施した。
結果と考察
行動解析:4FMP、PMMAは精神依存形成能および覚せい剤であるメタンフェタミンと類似した弁別刺激特性を有することが明らかになった。4FMPおよびPMMAは乱用される危険性が極めて高い薬物であることが判明した。細胞毒性の評価:B65細胞およびCATH.a細胞において、4FMPおよびPMMA単独暴露によりLDH放出量の増加が確認され、神経毒性を有することが明らかになった。疫学調査:違法ドラッグを認知しているのは、対象となった高校生(1094名)の21.6%であった。また、規制薬物の俗称を違法ドラッグと誤解しているケースが多かった。薬物依存症者のなかには、はじめに違法ドラッグの乱用を経験し、後に覚せい剤の乱用へ移行するケースがあった。
結論
違法ドラッグである4FMPおよびPMMAは、精神依存形成能を有する危険性があるため、(保健衛生上の危害のおそれに応じた)適切な規制が重要である。覚せい剤類似化合物において、メタンフェタミンの4位に構造の希少差異があっても、覚せい剤と類似した精神依存性および細胞毒性を発現する危険性がある。薬物弁別試験法は、覚せい剤類似化合物の自覚効果の評価に有用である。培養細胞を利用した細胞毒性の評価は、迅速かつ正確な評価法として有用である。こうした一連の薬物評価システムにより、効果的に違法ドラッグの有害作用を解析できる。実態調査の結果から、違法ドラッグに関しては、規制薬物を違法ドラッグと誤解しているケースが多く、違法ドラッグという概念の周知の難しさが明らかになった。また、違法ドラッグの乱用を契機に、覚せい剤の乱用へ移行する危険性が確認された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-30
更新日
-