違法ドラッグの依存性等に基づいた乱用防止対策に関する研究

文献情報

文献番号
200735028A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの依存性等に基づいた乱用防止対策に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
花尻(木倉) 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
  • 飯田 修(独立行政法人医薬基盤研究所・薬用植物資源研究センター種子島研究部)
  • 高山 廣光(千葉大学大学院薬学研究院)
  • 豊岡 利正(静岡県立大学薬学部)
  • 裏出 良博(財団法人大阪バイオサイエンス研究所分子行動生物学部門)
  • 栗原 正明(国立医薬品食品衛生研究所有機化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬事法に制定された指定薬物制度に対応し、指定薬物として規制すべき物質及び植物の規制範囲を検討すると共に、根拠となる科学的データを提示することを目的とする。
研究方法
新規市場流通化合物の構造決定、分析法の開発を行うと共に、分析標準品の大量製造を行った。また、薬理活性未知化合物について新規の活性評価法を検討した。市場に流通する植物系違法ドラッグ成分の迅速簡易スクリーニング法を開発し、全国的な流通実態調査を行うと共に、活性成分の単離、構造決定を行い、指標成分を確保した。さらに、これら植物製品の遺伝子解析による基原種調査を行い、鑑別法を作成した。代表的な植物系違法ドラッグについては、標準となりうる植物資源の確保を行った。
結果と考察
全国の分析機関に指定薬物分析法及び分析標準品を交付する体制を整えた。UFLC-蛍光法によるフェネチルアミン系指定薬物の高感度迅速分析法を開発した。コンピューターモデリングによる違法ドラッグ活性予測法に加え、動物脳波及び組換え細胞を用いた2種の新規活性評価法の有用性を実証した。植物系違法ドラッグの流通実態調査において、4割の製品から幻覚成分が検出され、健康危害が懸念された。前処理なしで植物製品中活性成分の精密質量を測定することが可能な迅速簡易成分スクリーニング法として、DART-TOF/MS分析法を開発した。指定薬物S. divinorum について、全国の分析機関において容易に本植物を鑑別することが可能なARMS法による鑑別法マニュアルを作成すると共に、標準植物試料を確保した。強い麻薬様化合物を含有するクラートン製品について、規制化を視野にいれ、基原種調査を行うと共にPCR-RFLP 法による鑑別法の有用性を実証した。また、ロータス系植物製品の基原種調査を行うと共に、ボアカンガ種子において、新規成分を含む11種の成分を単離同定し、主アルカロイドTabersonineを分析指標成分として確保した。さらに代表的な植物系違法ドラッグの種子導入・育成を行った。
結論
本研究成果の一部は、平成19年9月に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会審議の基礎資料として用いられ、第2回指定薬物指定の判断材料となった。今後も、問題となる薬物・植物を随時指定薬物として指定し規制していくことになるが、本研究結果はこれらの規制化に有用な情報を提供し、国の監視指導行政に直接貢献するものである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)