文献情報
文献番号
202006074A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた地域における歯科医療提供体制の強化のための研究
課題番号
20CA2078
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
福田 英輝(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
- 小島 規永(愛知学院大学 歯学部)
- 澤瀬 隆(長崎大学医歯薬学総合研究科 発生分化機能再建学講座 摂食機能回復診断治療学分野)
- 竹田 飛鳥(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,728,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、緊急事態宣言が発令された令和2年4月/5月から同年8月/9月までの期間における全国の歯科診療所、病院歯科、及び地方自治体が直面した課題、およびこれら機関間の連携を含む歯科医療提供体制の構築状況を明らかにするとともに、新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」策定の現状と課題を明らかにすることである。
研究方法
1)歯科診療所に対する調査:日本歯科医師会員名簿から都道府県ごとの偏りが生じないよう4,132人を系統抽出し調査票を郵送した(宛先不明6名)。2,041人から回収を得た(回収率49.4%)。
2)病院歯科に対する調査:各厚生局に登録されている歯科の標榜がある全1,818病院を抽出し調査票を送付した。560病院歯科から回答を得た(回答率:30.8%)。
3)地方自治体に対する調査:全都道府県および全市区町村を対象にWEB調査を実施した。その結果、40都道府県(回収率:85%)、90保健所設置市(回収率:83%)、および987市町村(回収率:60%)から回答を得た。
2)病院歯科に対する調査:各厚生局に登録されている歯科の標榜がある全1,818病院を抽出し調査票を送付した。560病院歯科から回答を得た(回答率:30.8%)。
3)地方自治体に対する調査:全都道府県および全市区町村を対象にWEB調査を実施した。その結果、40都道府県(回収率:85%)、90保健所設置市(回収率:83%)、および987市町村(回収率:60%)から回答を得た。
結果と考察
1)歯科診療所: 令和2年4月/5月期における患者数は、特定警戒都道府県において「30~49.9%」減少したとの回答が最も大きく、他の地域と比較して患者減少に対する影響は大きかった。個人用防護具については「マスク」が不足したと回答した者が最も多く全体の53.8%であった。新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」を作成した者はわずかに55人(2.7%)であった。しかしながら「診療継続計画」を策定していない者の80.9%が、参考になる「診療継続計画」があれば活用すると回答していた。
2)病院歯科: 令和2年4月/5月期における患者数は、令和元年同時期と比較して「3割」減少したと回答した病院が88%と最も大きかった。同時期において、患者受診や歯科処置等の制限を行った病院の割合は73.4%であり、「定期管理患者の受診延期」「エアロゾルを発生しやすい処置の制限」「観血的処置の制限」などが多かった。感染防御資材「マスク」が不足したと回答した病院が最も多かった(70.4%)。平常時において、歯科診療所/歯科医師会および自治体(都道府県市区町村)と連絡会議を開催している病院は、それぞれ22.1%、および37.3%であった。病院として新型コロナウイルスに対応した「診療継続計画」を作成したと回答した病院は、全体の23.6%であった。「診療継続計画」が作成されている病院のうち「歯科に関する内容が記載されている」とした病院は39.6%であった。
3)地方自治体: 新興感染症等の感染拡大時の歯科医療提供体制の対応指針を準備している都道府県、市町村は存在しなかった。新型コロナウイルス感染拡大にともない、自治体が実施する歯科健診(検診)事業は、延期、または個別健診へ切り替え等がみられた。管内歯科医師会または歯科医療機関に対する感染防御資材の配布状況は、「サージカルマスク」が最も多かった。令和3年1月1日現在、新型コロナウイルス感染症患者や疑い患者を受け入れる歯科医療機関を設定している自治体は、都道府県35%、保健所設置市4%、市町村0.3%であった。歯科医療機関を対象とした新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」は、多くの自治体において「検討の結果、現時点で策定する予定はない」と回答していた。
2)病院歯科: 令和2年4月/5月期における患者数は、令和元年同時期と比較して「3割」減少したと回答した病院が88%と最も大きかった。同時期において、患者受診や歯科処置等の制限を行った病院の割合は73.4%であり、「定期管理患者の受診延期」「エアロゾルを発生しやすい処置の制限」「観血的処置の制限」などが多かった。感染防御資材「マスク」が不足したと回答した病院が最も多かった(70.4%)。平常時において、歯科診療所/歯科医師会および自治体(都道府県市区町村)と連絡会議を開催している病院は、それぞれ22.1%、および37.3%であった。病院として新型コロナウイルスに対応した「診療継続計画」を作成したと回答した病院は、全体の23.6%であった。「診療継続計画」が作成されている病院のうち「歯科に関する内容が記載されている」とした病院は39.6%であった。
3)地方自治体: 新興感染症等の感染拡大時の歯科医療提供体制の対応指針を準備している都道府県、市町村は存在しなかった。新型コロナウイルス感染拡大にともない、自治体が実施する歯科健診(検診)事業は、延期、または個別健診へ切り替え等がみられた。管内歯科医師会または歯科医療機関に対する感染防御資材の配布状況は、「サージカルマスク」が最も多かった。令和3年1月1日現在、新型コロナウイルス感染症患者や疑い患者を受け入れる歯科医療機関を設定している自治体は、都道府県35%、保健所設置市4%、市町村0.3%であった。歯科医療機関を対象とした新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」は、多くの自治体において「検討の結果、現時点で策定する予定はない」と回答していた。
結論
1)歯科診療所: 緊急事態宣言期間であった令和2年4月/5月期における患者数および診療収入の減少は、「特定警戒都道府県」の歯科診療所において大きかった。感染防御資材については「マスク」が不足したとの回答割合が最も大きく全国的に不足していた状況が伺えた。新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」を作成した歯科診療所は極めて少なかったが、「診療継続計画」策定に対する潜在的需要があることが伺えた。
2)病院歯科: 緊急事態宣言期間中の令和2年4月/5月期における患者数は、令和元年同時期と比較して「3割」減少したと回答した病院が最も大きかった。感染防御資材については、歯科診療所における結果と同じく「マスク」とした病院の割合が最も大きく、感染防御資材の確保と適正配分は、重要な検討課題と考えられた。病院における新型コロナウイルスに対応した「診療継続計画」を策定することの必要性が確認できた。
3)地方自治体: 自治体が実施する歯科健(検)診事業は、全国的に延期、または個別健診へ切り替え等がみられた。歯科医療機関を対象とした新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」策定は検討が進んでいない状況が示された。地域完結型の歯科医療提供体制を構築するためにも、自治体と歯科医療関係者との協力のもと、歯科診療継続計画の策定が喫緊の課題であると考えられた。
2)病院歯科: 緊急事態宣言期間中の令和2年4月/5月期における患者数は、令和元年同時期と比較して「3割」減少したと回答した病院が最も大きかった。感染防御資材については、歯科診療所における結果と同じく「マスク」とした病院の割合が最も大きく、感染防御資材の確保と適正配分は、重要な検討課題と考えられた。病院における新型コロナウイルスに対応した「診療継続計画」を策定することの必要性が確認できた。
3)地方自治体: 自治体が実施する歯科健(検)診事業は、全国的に延期、または個別健診へ切り替え等がみられた。歯科医療機関を対象とした新型コロナウイルス感染症に対する「診療継続計画」策定は検討が進んでいない状況が示された。地域完結型の歯科医療提供体制を構築するためにも、自治体と歯科医療関係者との協力のもと、歯科診療継続計画の策定が喫緊の課題であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2021-07-15
更新日
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