新型コロナパンデミック下の造血幹細胞移植ドネーションを推進するためのシステム改革のための研究

文献情報

文献番号
202006070A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナパンデミック下の造血幹細胞移植ドネーションを推進するためのシステム改革のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2073
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
豊嶋 崇徳(国立大学法人北海道大学 北海道大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 福田 隆浩(国立研究開発法人国立がん研究センター)
  • 日野 雅之(大阪市立大学 大学院医学研究科 血液腫瘍制御学)
  • 熱田 由子(日本造血細胞移植データセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
23,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、造血幹細胞移植ドネーションのアクティビティが低下した。本研究では、新型コロナウィルス感染症拡大下でもドネーションを推進するシステム改革を行うため①移植・採取状況の把握、②タブレットを用いたリモートでの最終同意面談、③口腔粘膜スワブ検体を用いたHLA検査の実施可能性の検証、④Web登録システムに関するアンケート調査、⑤新規web登録システムのプロトタイプの作成、さらには⑥若者をターゲットとしたプロモーション動画作成を目的とする。
研究方法
① 移植・採取データの集計
 日本骨髄バンクならびに一般社団法人日本造血細胞移植データセンターからデータを提供いただき解析した。

② リモートコーディネート体制の構築
 iPadを用いたリモートコーディネートの検証を全国で試験的に行った。同時に、リモートコーディネートのアンケート調査も行った。

③ スワブを用いたHLA検査の導入
 健常人ドナーを対象とした臨床研究を立ち上げ、スワブを用いたHLA検査の精度について検証した。

④ WEB登録システムのニーズに関するアンケート調査
 アンケート調査の実施は、マイボイスコム株式会社が行なった。

⑤ WEB登録システムのプロトタイプ作成
WEB登録システムのプロトタイプ開発業務は株式会社エヌアイエスプラスに委託した。登録サイト作成にあたっては日本骨髄バンクおよび日本赤十字社との協力体制にて実施した。

⑥ 若年ドナーの骨髄バンク新規登録増を目指した動画作成
動画作成は株式会社テレビマンユニオンへ依頼した。動画編集やナレーション原稿について本研究班が医学的監修を行なった。
結果と考察
C. 研究結果
① 移植・採取データの集計
 日本骨髄バンクを介した非血縁ドナーからの同種造血幹細胞移植は、2019年と比較して、非血縁ドナーからの移植件数、新規登録者数、最終同意面談数が減っていた。

② リモートコーディネート体制の構築
 コロナ禍でコーディネーターに対して実施したアンケートの結果、26%が3密を回避する場所の確保が困難で、71%がドナーや家族の同席について感染の不安を感じていた。コーディネーター、ドナー、家族に対するアンケート結果では、いずれも面談はスムーズにでき、コロナ禍でなくても、リモートコーディネートを希望した。

③ スワブを用いたHLA検査の導入
 同意取得件数は128、HLAスワブ検体回収数は105件、アンケート調査票回収数は105件であった。2021年4月末までに回収できたものを解析対象とすることとした。

④ WEB登録システムのニーズに関するアンケート調査
 新規ドナー登録時、36.0%が従来の方法を希望すると回答したのに対して、オンライン登録を希望されたのは64.0%と、WEB登録システムのニーズが明らかとなった。

⑤ WEB登録システムのプロトタイプ作成
令和2年度ではモックアップの作成を行なった。

⑥ 若年ドナーの骨髄バンク新規登録増を目指した動画作成
 一般公開および若年層に限定したWeb広告としての動画出稿から2週間時点において40万回以上視聴された。

D. 考察
① 移植・採取データの集計
 今回の結果から、新型コロナウィルス感染が拡大することでドネーションのアクティビティは低下することが明らかとなり、直接対面で会わずともコーディネートを勧められるシステムを構築することが望ましいと考えられた。

② リモートコーディネート体制の構築
 タブレットを用いたリモートコーディネート面談はスムーズに実施でき、密の回避、負担、リスク軽減、迅速な日程調整が可能であり、今後のコーディネートのあり方の一助になると考える。

③ スワブを用いたHLA検査の導入
 令和3年4月末までにスワブならびにアンケート調査回収できたものを解析対象とするため、本分担研究の考察は令和3年度の研究報告書にて提出する。

④ WEB登録システムのニーズに関するアンケート調査
 今回の結果から、速やかなWEB登録システムの開発が急務であると考える。

⑤ WEB登録システムのプロトタイプ作成
 引き続きWEBでのドナー登録システム開発を行、令和3年度中のプロトタイプ完成を目指す。

⑥ 若年ドナーの骨髄バンク新規登録増を目指した動画作成
 本研究班で作成した動画は、Youtube公開後2週間時点で40万回以上視聴されており、特に、若年層への高い広報効果が期待された。
結論
リモートコーディネート体制の構築、WEB登録システムのプロトタイプ作成含め、新型コロナウィルス感染拡大下においてドネーション推進のためのシステム開発は急務であり、令和2年度に完遂した研究をもとに引き続き、令和3年度中のプロトタイプ作成完了に向けて本研究を継続していく。

公開日・更新日

公開日
2021-08-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-05-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202006070C

成果

専門的・学術的観点からの成果
コロナ禍においても新規ドナー登録数を維持するため、WEBでの新規登録システム開発を目的としたプロトタイプ作成を行った。また、本システム開発にあたり、口腔内スワブ検体を用いたHLA検査法の導入が必要不可欠である。本研究において同一ドナーから血液検体と口腔内スワブ検体を採取し、DNA量ならびにHLA検査結果を検証したところ、DNA量不足唱える検体は無く、HLA検査も全て一致していた。口腔内スワブが血液検査に代わる新たなHLA検査の手法となり得ることを見出した。
臨床的観点からの成果
コロナ禍では人の移動制限、ドナー登録会の開催が制限された。本研究では臨床現場でのこうした課題を解決するため、WEBを用いた新規ドナー登録システムのプロトタイプを開発した。現在、厚労科研福田班で骨髄バンク・日本赤十字社とともに臨床運用に向けて進めている。また、3密回避への対策としてリモートコーディネートシステムの構築を行い、骨髄バンクコーディネートにおける最終同意面談で活用されている。ポストコロナにおいても、造血細胞移植医療のニューノーマルとなり得るシステムの構築となった。
ガイドライン等の開発
コロナ禍における移動制限・4密回避の状態にあってもドナーコーディネートにおける最終同意面談を推進するため、リモートコーディネート体制構築を行った。本研究では、リモートコーディネートにおける運用マニュアルの開発を行った。
その他行政的観点からの成果
WEB登録システムのニーズに関する30000人を対象とした全国インターネット調査の結果、64%がオンライン登録を希望する結果出会った。その多くは「対面での説明が新型コロナウイルスの感染等の問題からの不安だから」「自分の都合良いときに登録できるから」を理由として挙げていた。本研究では、WEB登録システムのプロトタイプを作成しており、さらに、システムの一連の流れについても検証した。今後、厚生労働科学研究費補助金(移植医療基盤整備研究事業)福田班に引き継ぎ、臨床運用を目指す。
その他のインパクト
コロナ禍でも骨髄バンクの新規ドナー登録者数を増加させる本研究の取り組みは、中日新聞の記事に取り上げられた(web掲載, 2021年3月26日)。また、若年ドナーのリクルートを目的として作成した動画は、令和3年4月9日よりYouTubeなどのソーシャルメディアで公開され、令和4年6月1日時点で97万回以上視聴されており、若年層への高い広報効果があり、社会的なインパクトは大きいものがあった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-23
更新日
2025-06-04

収支報告書

文献番号
202006070Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
29,977,000円
(2)補助金確定額
29,977,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,235,059円
人件費・謝金 960,667円
旅費 261,860円
その他 16,281,699円
間接経費 6,917,000円
合計 29,656,285円

備考

備考
新型コロナウイルス感染症の流行の急速拡大による影響で、研究補助員の雇用開始が遅れたり、班会議をweb会議に変更したりしたことにより、人件費や旅費が計画よりも少なくなったため。

公開日・更新日

公開日
2023-05-23
更新日
-