コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく新たな臓器提供体制構築に資する研究

文献情報

文献番号
202006063A
報告書区分
総括
研究課題名
コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく新たな臓器提供体制構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2066
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小野 元(聖マリアンナ医科大学 医学部 脳神経外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 生弘(社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院救命救急センター)
  • 國島 広之(聖マリアンナ医科大学・感染症学)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科・救急医学)
  • 横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科救急医学分野)
  • 吉川 美喜子(京都府立医科大学 移植一般外科)
  • 稲田 眞治(名古屋第二赤十字病院 救急科)
  • 安心院 康彦(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,080,000円
研究者交替、所属機関変更
無し

研究報告書(概要版)

研究目的
コロナ禍でも安心・安全に患者や家族の臓器提供意思を叶えることができる、臓器提供施設・あっせん機関・移植施設による新たな連携体制の構築を目標に、その影響の程度の調査と結果から提言を目的とした。
研究方法
①「新型コロナウイルス感染症蔓延下における救命救急センターに対する臓器提供の実態調査」、②「コロナ禍で臓器提供を経験された施設に対する実態調査」においてCOVID-19蔓延下における救急・集中治療の実態と、実際にコロナ禍で臓器提供を経験した施設の現状を調査した。③DAP(ドナーアクションプログラム)にてコロナ禍でも各医療機関の医療の質の向上を目標に職員の意識調査(HAS)と死亡症例のカルテレビュー(MRR)を行う。
(倫理面への配慮)
個人情報の扱いについては十分考慮などの対応により厳重に管理した。特に上記②における施設調査では公益法人 日本臓器移植ネットワークの倫理委員会に申請し承認を得てその方法を遵守し非公表である各施設名や個人名が特定しえない状況とした。
結果と考察
① 新型コロナウイルス感染症蔓延下における救命救急センターに対する臓器提供の実態調査https://www.jaam.jp/info/2021/info-20210108_2.html)(添付書類1)全国救命救急センター290施設を対象に、COVID-19蔓延下での救急・集中治療の現状と、臓器提供の可能性がある症例が発生した場合の院内の体制について調査を行った。その結果、回答のあった212施設の概要では新型コロナウイルス感染症患者の受け入れでは202施設がCOVID-19患者受け入れ施設であり、14施設がコロナ禍で臓器提供の可能性例に無呼吸テストでのエアロゾル発生リスクにて法的脳死判定を実施しない方針であった。また76施設が臓器提供事例のための院外関係者の受け入れの取り決めがあり、例外的に受け入れ可の施設は48施設であった。また23施設は一部受け入れ制限を、5施設は院外関係者は全て受け入れなしとした。これらのことから、これらの回答から、COVID-19対応や感染制御の通常診療を維持する取り組みの必要性、COVID-19蔓延下でも負担なく臓器提供を実施する体制整備の必要性が示唆された。
② コロナ禍で臓器提供のあった施設への実態調査(添付書類2)令和2年2月-12月に臓器提供のプロセスを経験した66施設を対象にコロナ禍での臓器提供の実態について調査した。日本臓器移植ネットワークを通じて回答のあった37施設の概要では36施設がCOVID-19感染症患者を受け入れた。調査結果では、
・ICUの病床・人員確保、院外来院者の対応・待機場所の確保の負担。
・面会制限や終末期家族対応が不十分
・ICU病床が逼迫した場合、臓器提供は不可能。
・家族への情報説明や面会の工夫が必要である。
・臓器提供における新型コロナウイルス感染症ガイドラインが望まれる。
・時期や地域によってはコロナ禍でも平常時と大きな変わりはないなどの意見があった。
③継続中
考察
〇救命センターの実態調査から病床逼迫・マンパワー不足・コロナ対応に追われ臓器提供対応が難しいと感じてはいるが、臓器提供の可能性がある患者が搬送された際にどう対応するかの取り決めが無い施設が多い。
➡コロナ禍であっても救命センターの機能を維持する取り組みが必要
➡収束が見えないCOVID-19蔓延下において負担なく臓器提供を実施する体制整備が必要

〇臓器提供経験施設実態調査からは、ICUの病床の確保、院内の人員確保、院外からの来院者の対応・待機場所の確保に負担を感じた。面会制限やコロナ対策のため終末期家族対応が不十分で、それに対し医療者も、もどかしさを感じた。ICU病床が逼迫した場合、臓器提供は不可能である。
➡臓器提供における新型コロナウイルス感染症の指針やマニュアルが望まれる。

〇体制整備済み施設の職員に対する意識調査から
病床逼迫や終末期家族ケアの不足により、日常診療の一環である病状説明や臓器提供の選択肢提示が不十分となっており、コロナ禍での臓器提供継続のための体制の構築が望まれる。
➡コロナ禍の救急・集中治療の現状の更なる調査が必要である。(DAPでも継続する)

結論
短期間でCOVID-19の蔓延下でも安全に臓器提供を実施するための要項をまとめた。(添付書類3 提言)この提言が臓器を提供したいという患者や家族の想いを遂行するにあたり少しでも現場の負担を軽減する一助となり、今後の遭遇するかもしれない未知の感染症や災害に対しコロナ禍から得た教訓を生かすきっかけとなれば幸いである。

公開日・更新日

公開日
2021-09-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-09-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202006063C

成果

専門的・学術的観点からの成果
学術的意義としては、今後臓器提供における新型コロナウイルス感染症の指針やマニュアルが望まれ、各学会とも協力していく必要がある。国際的・社会的意義については今後もコロナ禍の救急・集中治療の現状の更なる調査が必要であり、社会に向けて安全で安心な提供実施が可能となるようにエビデンスを集め、社会啓発が必要となる。
臨床的観点からの成果
半年のみの研究機関となったが、COVID-19の蔓延下でも安全に臓器提供を実施するための要項をまとめた。(添付書類3 提言)
この提言は、厚生労働科学研究費所補助金移植医療基盤整備研究事業 「5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究-ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて-」研究班で継続される。
ガイドライン等の開発
コロナ禍の臓器提供に関する新たな知見や情報が集積し次第随時更新し、ガイドライン作成等を検討される。
その他行政的観点からの成果
コロナ禍での医療体制においては人の配置、医療資源の不足は臓器提供に限ったことではなく、その結果として救急医療現場で多く発生する臓器提供数の減少もあり、本研究はその回復のための支援や改革について行政的意義は大きい。
その他のインパクト
今後予定あり。

発表件数

原著論文(和文)
0件
今後予定あり
原著論文(英文等)
0件
今後予定あり
その他論文(和文)
0件
今後予定あり
その他論文(英文等)
0件
今後予定あり
学会発表(国内学会)
0件
今後予定あり
学会発表(国際学会等)
0件
今後予定あり
その他成果(特許の出願)
0件
特になし
その他成果(特許の取得)
0件
特になし
その他成果(施策への反映)
0件
今後予定あり
その他成果(普及・啓発活動)
0件
今後予定あり

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202006063Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,704,000円
(2)補助金確定額
2,669,000円
差引額 [(1)-(2)]
35,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,717,760円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 327,330円
間接経費 624,000円
合計 2,669,090円

備考

備考
物品購入にて予算超過の可能性があり、差異となりました。

公開日・更新日

公開日
2021-12-14
更新日
-