献血時の問診、説明と同意に関する研究

文献情報

文献番号
200735011A
報告書区分
総括
研究課題名
献血時の問診、説明と同意に関する研究
課題番号
H17-医薬-一般-054
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中島 一格(東京都赤十字血液センター)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 勝(西城病院)
  • 高橋 孝喜(東京大学医学部附属病院)
  • 山口 一成(国立感染症研究所)
  • 佐竹 正博(東京都西赤十字血液センター)
  • 平山 文也(大阪府赤十字血液センター)
  • 田山 達也(日本赤十字社血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)献血の説明と同意に関する説明文書の改訂 2)HIV検査通知のあり方の検討
研究方法
1)平成18年度に実施した献血者と血液センター職員に対するアンケート調査結果を踏まえて、説明文書「お願い」の改訂を検討し、改訂案を作成した。
2)HIV検査通知に関する意見をアンケート調査した。日本輸血細胞治療学会の評議員には調査票を郵送し、また、血液センターHPを介してパブリックオピニオンを募集した。さらに、諸外国のHIV検査通知に関する状況を、国際機関や各国の公文書情報、赤十字・赤新月血液事業関連文献、インターネットで入手した情報等により調査した。
結果と考察
1)毎回の献血時に配布する説明文書は、献血者の負担を考慮して極力簡潔で分かりやすい内容とした。詳しい説明が必要な人のためには、別に詳細な説明資料を作成した。
2)輸血の専門家はHIV検査通知に肯定的な意見が多かったが、一般の意見はやや消極的であり、通知を公表すれば検査目的の献血が増加すると考える人が多かった。わが国のHIV検査体制は不十分であると思われている。目的を逸脱した不適切な献血を法的に禁止することには反対が少なかった。
 HIV検査通知に関して、欧米およびアジア・オセアニアの多くの国々ではHIV陽性献血者へ検査結果を通知し、カウンセリングを実施していることが確認された。しかし、一部のアジア・オセアニア諸国は限定的な実施であると思われた。未実施国はバングラデシュ、インドネシア、韓国であった
結論
1)毎回の献血時に配布する説明文書は、献血者の負担を考慮して極力簡潔で分かりやすい内容とした。詳しい説明が必要な人のためには、別に詳細な説明資料を作成した。
2)HIV検査結果の扱いについては当面現状の対応を続けるものの、献血がHIV検査に利用されないような対策や環境整備をすすめ、将来的にはHIV検査通知を公式に行うべきであると考えられた。具体的な対策は以下のようなものが考えられる。献血者に責任ある献血を求め、目的を逸脱した献血の禁止を強調する啓発活動、広報活動を積極的に行う。HIV検査陽性献血者へのカウンセリングを行って感染経路の実態を明らかにし、今後の対策に反映させる。国内のHIV検査受け入れ体制を改善する。NATの感度向上や病原体不活化技術等の安全確保対策の改善を図る。

公開日・更新日

公開日
2008-11-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200735011B
報告書区分
総合
研究課題名
献血時の問診、説明と同意に関する研究
課題番号
H17-医薬-一般-054
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中島 一格(東京都赤十字血液センター)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 勝(西城病院)
  • 高橋 孝喜(東京大学医学部附属病院)
  • 山口 一成(国立感染症研究所)
  • 佐竹 正博(東京都西赤十字血液センター)
  • 平山 文也(大阪府赤十字血液センター)
  • 田山 達也(日本赤十字社血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)問診票の改訂、2)献血の説明と同意に関する説明文書の効果の検証と改訂の検討、3)HIV検査通知のあり方の検討
研究方法
1)現行問診票の不備、改善すべき事項を検討し、問診の均一化を図るために、質問項目を細分化した全面的な改訂案を作成し、血液センター職員に提示して意見を求めた。
2)献血の説明と同意に関する文書「お願い」について、献血者の閲読状況や理解度をアンケート調査し、その結果を文書改訂に反映させた。
3)献血時の本人確認が不適切な献血の防止に有効か検証した。HIV検査通知に関して輸血の専門家と一般の意見を求めた。諸外国のHIV検査通知に関する状況を調査した。
結果と考察
1)職員に対する調査の結果、現状では全面的な改訂案は実施困難なことが分かった。
2)説明文書の閲読状況は比較的良好であったが、詳しすぎる説明は読まれず、専門的な内容は理解を得にくいことが分かった。
3)献血時の本人確認の実施により、検査通知不要と申告する献血者は著明に減少し、良質な献血者の確保に有効であったことが確認された。
輸血の専門家はHIV検査通知に肯定的であったが、一般の意見はやや消極的であり、通知を公表すれば検査目的の献血が増加すると考える人が多かった。わが国のHIV検査体制はまだ不十分であると思われている。また、ウインドウ期のリスクは一般の人たちに十分理解されていない。目的を逸脱した献血を法律で禁止することには反対が少なかった。
欧米およびアジア・オセアニアの多くの国々では、HIV陽性献血者へ検査結果を知らせカウンセリングも実施していることが確認された。
結論
1)現行問診票の問題点を解消し、迅速に実施可能な部分改訂案を作成した。
2)毎回の献血時に配布する文書は、極力簡潔で読みやすい文章と分かりやすい内容に改定し、詳細な説明や情報が必要な人に対しては、別に説明資料を作成した。
3)HIV検査結果の扱いについては、当面現状の対応を続けるものの、献血がHIV検査に利用されないような対策や環境整備、安全確保対策の改善を進め、将来的にはHIV検査通知を公式に行うべきであると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200735011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
現行の献血に関する説明文書と献血時の問診票について、献血者の閲読状況や理解度を調査し、説明や質問への評価、改善を要する点を検討して、説明文書と問診票の改訂案を作成した。これらの改訂はより良質の献血者を効果的に確保するのに有効である。HIV検査通知を検討するに当たって、献血時の本人確認の効果を検証した。本人確認は検査通知不要者や通知不達者を減少させ、良質の献血者確保に効果があった。さらに、HIV検査通知に関する現行の不明朗な対応を解消する対策を提案できた。
臨床的観点からの成果
献血時に用いられる問診票や献血の説明文書は、献血の目的と実際をよく理解した良質の献血者を確保し、安全で良質な血液の確保に役立つ。事実、スクリーニングを実施していない輸入感染症の輸血感染は、1993年以後確認されていない。そして、安全な血液製剤は輸血医療の安全性と信頼性を向上させる。質の高い輸血は高度先進医療に不可欠である。HIV陽性献血者への検査通知は、わが国のHIV感染拡大防止とHIV感染症/AIDSの早期治療に貢献する。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
効果的な問診を可能にする問診票や献血の説明文書の改訂は、良質な献血者による安全な血液を確保することで、血液事業行政と輸血医療の向上に貢献する。献血者へのHIV検査通知に関する方針の策定は、世界では例外的な現行のHIV陽性献血者に対する対応を改善して世界標準に一致させ、血液事業を国民に対して開かれた透明性の高いものにする。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
荒木威、首藤加奈子、俵国芳、中島一格 問診票の改訂について 第30回日本血液事業学会総会ワークショップ 2006年10月
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
なし
なし
なし

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-