文献情報
文献番号
202006037A
報告書区分
総括
研究課題名
Post corona/with corona時代における持続可能な腎臓病診療・療養の堅牢な体制構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2039
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 南学 正臣(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
- 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部 腎臓内科)
- 横尾 隆(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 田村 功一(横浜市立大学 医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Post-corona/with-corona時代において、CKD(1300万人)、透析(33万人超)・移植後患者を対象として、①新型コロナウイルスに対する有効な感染予防、重症化抑制策を示し、同時に、②原疾患に対する良質な診療・療養が持続可能な堅牢な体制の構築に資することが本研究の目的である。
研究方法
1) 国内外の論文等の最新資料を精査し、腎臓病患者に対する有効な感染予防・重症化抑制策およびCOVID-19に伴う急性腎障害AKIについての知見をまとめた。
2) 透析患者に対するアンケート調査を行い、透析患者の身体活動量との相関性を評価した。
3) 全国77名腎臓病協会幹事役員を対象とし、COVID-19感染流行下の腎疾患・高血圧患者の診療および療養の実態に関するアンケートを実施し回答を集計した。
4) COVID-19感染拡大によるCKDの病態・重症度変化、診療実態変化を評価した。慈恵医科大学病院外来通院中の非透析CKD患者325 名を対象に解析した。
2) 透析患者に対するアンケート調査を行い、透析患者の身体活動量との相関性を評価した。
3) 全国77名腎臓病協会幹事役員を対象とし、COVID-19感染流行下の腎疾患・高血圧患者の診療および療養の実態に関するアンケートを実施し回答を集計した。
4) COVID-19感染拡大によるCKDの病態・重症度変化、診療実態変化を評価した。慈恵医科大学病院外来通院中の非透析CKD患者325 名を対象に解析した。
結果と考察
最新のエビデンスに基づき「腎臓病診療における新型コロナウイルス感染症対応診療指針・ガイド」を作成し、ホームページを作成し公表した(https://www.covid-jsn.jp/)。糖尿病や高血圧、高齢というリスク因子はCOVID-19感染症重症化と密接に関わっており、これらを高率に合併するCKD・透析・腎移植患者はハイリスク群と考えられる。
透析施設の患者を対象に行った抗体検査では、不顕性感染が認められた施設において、他の患者やスタッフへの感染は認められなかった。一方、多くの透析患者はCOVID-19に恐れを感じており、歩行数や運動量など身体活動量の減少が認められた。
COVID-19感染拡大が腎疾患・高血圧患者の診療および療養に与えた影響について腎臓専門医を対象に実態調査を実施した。腎臓専門医の多くがCKD診療に従事する傍らCOVID-19診療にも尽力している実態が明らかになった。
国内第1波期間におけるCOVID-19感染患者のカルテ調査後ろ向き多施設共同観察研究の結果、高齢、高血圧、CKD、糖尿病患者においては、COVID-19重症化(重症肺炎)のリスクが増加していると考えられた。特に高血圧患者においては、主要評価項目、重症肺炎、及び腎臓関連評価項目が非高血圧患者に比較して有意な悪化が認められた。高血圧患者を対象としたサブ解析では、レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬服用患者における新型コロナウイルス感染症重症化関連指標の有意な悪化は認められなかった。
有効なワクチン、治療薬が開発・普及するまでのPost-corona/with-corona時代において腎臓病診療が遅滞なく全国で継続される体制の構築が必要となる。保存期腎不全、透析期のそれぞれに適した感染予防策・重症化抑制策を示すことは、良質な腎臓病診療を提供する上で非常に重要であると考えられた。
不顕性感染が認められた透析施設において、他の患者やスタッフへの感染は認められなかった。すなわち、しっかりと感染対策が行われていれば、陽性患者であっても他の患者やスタッフに感染しないことが示唆された。一方、透析患者はCOVID-19に恐れを感じており、歩行数や運動量など身体活動量の減少が認められており、COVID-19感染による重症化とは別に、サルコペニア・フレイルなど筋力低下による生命予後の悪化をきたす恐れがある。今後、運動指導等の介入が期待される。
国内COVID-19第1波期間における多施設共同の後ろ向きコホート解析の結果、高齢、高血圧、慢性腎臓病、糖尿病においては、新型コロナウイルス感染症重症化のリスクが有意に増加していることが示されており、中でも高血圧患者においては、新型コロナウイルス感染症の重症化に加えて腎障害の合併リスクが増加していることも明らかになった。さらに高血圧患者においては、RAS阻害薬は新型コロナ感染症の重症化に悪影響を及ぼさないことも明らかにされたため、従来の適応に沿った使用を継続することが重要である。
また、腎臓専門医の多くがCKD診療に従事する傍らCOVID-19の診療にも尽力している実態が明らかになった。この調査結果より、COVID-19流行環境下においても持続可能なCKD診療を実行していくうえで解決すべき多くの課題があることも明らかになった。
透析施設の患者を対象に行った抗体検査では、不顕性感染が認められた施設において、他の患者やスタッフへの感染は認められなかった。一方、多くの透析患者はCOVID-19に恐れを感じており、歩行数や運動量など身体活動量の減少が認められた。
COVID-19感染拡大が腎疾患・高血圧患者の診療および療養に与えた影響について腎臓専門医を対象に実態調査を実施した。腎臓専門医の多くがCKD診療に従事する傍らCOVID-19診療にも尽力している実態が明らかになった。
国内第1波期間におけるCOVID-19感染患者のカルテ調査後ろ向き多施設共同観察研究の結果、高齢、高血圧、CKD、糖尿病患者においては、COVID-19重症化(重症肺炎)のリスクが増加していると考えられた。特に高血圧患者においては、主要評価項目、重症肺炎、及び腎臓関連評価項目が非高血圧患者に比較して有意な悪化が認められた。高血圧患者を対象としたサブ解析では、レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬服用患者における新型コロナウイルス感染症重症化関連指標の有意な悪化は認められなかった。
有効なワクチン、治療薬が開発・普及するまでのPost-corona/with-corona時代において腎臓病診療が遅滞なく全国で継続される体制の構築が必要となる。保存期腎不全、透析期のそれぞれに適した感染予防策・重症化抑制策を示すことは、良質な腎臓病診療を提供する上で非常に重要であると考えられた。
不顕性感染が認められた透析施設において、他の患者やスタッフへの感染は認められなかった。すなわち、しっかりと感染対策が行われていれば、陽性患者であっても他の患者やスタッフに感染しないことが示唆された。一方、透析患者はCOVID-19に恐れを感じており、歩行数や運動量など身体活動量の減少が認められており、COVID-19感染による重症化とは別に、サルコペニア・フレイルなど筋力低下による生命予後の悪化をきたす恐れがある。今後、運動指導等の介入が期待される。
国内COVID-19第1波期間における多施設共同の後ろ向きコホート解析の結果、高齢、高血圧、慢性腎臓病、糖尿病においては、新型コロナウイルス感染症重症化のリスクが有意に増加していることが示されており、中でも高血圧患者においては、新型コロナウイルス感染症の重症化に加えて腎障害の合併リスクが増加していることも明らかになった。さらに高血圧患者においては、RAS阻害薬は新型コロナ感染症の重症化に悪影響を及ぼさないことも明らかにされたため、従来の適応に沿った使用を継続することが重要である。
また、腎臓専門医の多くがCKD診療に従事する傍らCOVID-19の診療にも尽力している実態が明らかになった。この調査結果より、COVID-19流行環境下においても持続可能なCKD診療を実行していくうえで解決すべき多くの課題があることも明らかになった。
結論
「腎臓病診療における新型コロナウイルス感染症対応診療指針・ガイド」を作成し、COVID-19感染下において安全かつ効果的なCKD/透析患者の診療と療養を可能とするエビデンスに基づいた診療指針を発出した。全国各地において、CKD/透析患者の治療、療養、生活習慣管理、運動療法の持続を可能にする堅牢な体制構築とその持続が重要である。
公開日・更新日
公開日
2021-06-01
更新日
-