文献情報
文献番号
200735003A
報告書区分
総括
研究課題名
生物由来の医療機器に関わる国際的調和に関する研究―埋設型医療機器素材の安全性評価の再評価と国際調和―
課題番号
H17-医薬-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 幸夫(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター動物管理室)
研究分担者(所属機関)
- 高木 篤也(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
- 大室 弘美(武蔵野大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
整形外科、循環器、口腔外科領域等において、人体に埋設される生体由来を含む種々の人工材料の安全性に関する従来の動物実験の問題点を見直すこと、及び、可能性としての「細菌共存環境」がげっ歯類特有の異物好発がん性の誘因であることを検証する。これにより、今後の埋設物安全性評価の正確性の向上が期待される。
研究方法
板状のプラスチックまたはガラスの移植手術をマウスに実施し、無菌環境下あるいは非無菌環境下で長期飼育を行い、その発癌率を比較する。発癌高感受性のp53遺伝子欠失無菌マウスを作製し、同様に埋植手術を行い、その発癌率を比較する。埋設材料の有害性に関する調査研究のため、内外の文献を収集整理するとともに、医療用埋設材料の安全性試験に関する情報収集を行う。
結果と考察
コンベンショナルな条件下で埋植手術を実施し、飼育したp53+/-マウスで、埋植部位に腫瘍発生が認められ、プラスチックに比べ、ガラスでより強い催腫瘍性が認められた。germ freeの条件下でp53+/-マウスでは埋植部位における腫瘍発生はガラス埋植群で認められたが、プラスチック群では認められなかった。また、ガラス埋植群の腫瘍発生率はコンベンショナルな条件下で飼育したp53+/-マウスに比較して低かった。これらの結果、「細菌共存環境」が埋植材料の発がんを促進することが示唆された。異物発癌メカニズム、ならびに、OECD GLPテストガイドラインを含む埋植試験の情報収集を行うとともに、日本におけるGLP適合の安全性試験受託施設での実地調査及び情報収集を行った。
結論
医療用埋設物安全性評価の正確性の向上のため、マウスの長期無菌飼育試験の基盤を確立し、「細菌共存環境」が埋植材料の発がんを促進する要因であることを示唆する知見を得た。また、調査研究として医療素材の移植実験に関する情報を整理した。
公開日・更新日
公開日
2009-05-14
更新日
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