文献情報
文献番号
202006031A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症流行下における、妊婦に対する適切な支援提供体制構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2033
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
山田 秀人(国立大学法人神戸大学 大学院医学研究科 外科系講座産科婦人科学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新型コロナウイルス感染流行下における、国内の感染妊婦症例について、感染者数や臨床経過、胎児への影響等に関する情報を網羅的に集積し解析することは、今後感染の再流行が懸念される中で、重要な課題である。また、感染妊婦等に対して実施した様々な行政施策、支援等の効果についても評価、検証が必要である。本研究は、4つの分担研究を実施し、新型コロナウイルス感染症流行下における妊婦に対する適切な支援提供体制の構築に必要な知見を得ることを目的とする。
研究方法
1)新型コロナウイルス感染妊婦の疾患登録システム(患者レジストリ)の構築
2)感染予防対策の現状把握のためのアンケート調査
3)新型コロナウイルスの妊婦感染予防と医療サステナビリティのためのウェブサイトとパンフレット等による啓発
4)新型コロナウイルス母子感染の検査・診断方法の確立と中央検査体制の構築
2)感染予防対策の現状把握のためのアンケート調査
3)新型コロナウイルスの妊婦感染予防と医療サステナビリティのためのウェブサイトとパンフレット等による啓発
4)新型コロナウイルス母子感染の検査・診断方法の確立と中央検査体制の構築
結果と考察
1)2021年4月20日までに全国221施設から403人のCOVID-19妊婦が報告され、倫理手続きのうえ61人のレジストリ登録が完了した。人工呼吸器やECMOを使用した重症2人、酸素投与をした中等症6人、軽症48人、無症候性感染5人であった。61人全員が軽快し、母体死亡の報告はなかった。重症化リスクとしては診断時の年齢、妊娠週数が挙げられ、中等〜重症者では有意に年齢が高く、妊娠週数が進んでいた。また、BMIが高い方が重症となる傾向があり、GDMやDMにも注意が必要と考えられた。分娩については軽症では治癒後の経腟分娩となった症例も多く、症状が悪化しなければ、診断から2週以降の自然経腟分娩を目指しても良いかも知れない。
姫路市の妊婦COVID-19 PCRユニバーサルスクリーニングにおいて、2020年5月29日~9月5日の間に検査を実施した2,818人について、COVID-19 PCR陽性率等を解析した。
2)2020年9月の1ヶ月間に、K6(過去30日の抑うつ症状)、エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)(過去1週間の状況)のWEBアンケ―トを実施し、妊婦約5000人と産後女性約3000人を解析した。そこ結果、妊婦の不安障害(K6 5点以上)が40%、EPDS 9点以上は34%であった。
里帰り分娩を希望した妊婦30%が叶わなかった。これらの妊婦は、不安障害とうつ傾向が有意に多かった。感染者数が多い地域では、妊婦の不安障害が有意に多かった。妊婦は新型コロナウイルス感染の不安を感じ、産後うつ病のリスクが高かった。
3)学会ホームページ等を用いて、医療者向けの「新型コロナウイルス感染症への対応 三学会共同 令和2年3月5日第1版〜9月2日第5版」、「新型コロナウイルス感染症について 妊婦・妊娠を希望される方へ 日本産婦人科感染症学会 令和2年2月1日第1版〜令和3年4月20日第13版」、「ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ 日産婦感染症学会、日産婦学会 令和3年1月25日第1版〜5月12日第2版」などを公表した。
「Webで見る妊婦さんとお母さんのために新型コロナウイルス感染予防のためのQ&A」は、本研究班のホームページに掲載し、日本助産学会、日本助産師会、日本看護協会、日本産婦人科感染症学会、日本母性衛生学会等のホームページにリンクを張り、さらにQRコードを掲載したポスターもダウンロードできるようにした。各医療機関等に掲載を依頼して、妊婦さんやお母さんなどからアクセスできるようにした。「助産所または母子訪問活動におけるCOVID-19感染予防策の手引き」は、日本助産師会のホームページにリンクを張り、さらに助産師や母子訪問活動助産師に配布した
4)新型コロナウイルス感染妊婦の多くで、胎盤組織にSARS-CoV-2 RNAもしくはウイルスタンパクが局在することが明らかになった。しかし。検索した範囲では一例も子宮内感染は認められなかった。
姫路市の妊婦COVID-19 PCRユニバーサルスクリーニングにおいて、2020年5月29日~9月5日の間に検査を実施した2,818人について、COVID-19 PCR陽性率等を解析した。
2)2020年9月の1ヶ月間に、K6(過去30日の抑うつ症状)、エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)(過去1週間の状況)のWEBアンケ―トを実施し、妊婦約5000人と産後女性約3000人を解析した。そこ結果、妊婦の不安障害(K6 5点以上)が40%、EPDS 9点以上は34%であった。
里帰り分娩を希望した妊婦30%が叶わなかった。これらの妊婦は、不安障害とうつ傾向が有意に多かった。感染者数が多い地域では、妊婦の不安障害が有意に多かった。妊婦は新型コロナウイルス感染の不安を感じ、産後うつ病のリスクが高かった。
3)学会ホームページ等を用いて、医療者向けの「新型コロナウイルス感染症への対応 三学会共同 令和2年3月5日第1版〜9月2日第5版」、「新型コロナウイルス感染症について 妊婦・妊娠を希望される方へ 日本産婦人科感染症学会 令和2年2月1日第1版〜令和3年4月20日第13版」、「ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ 日産婦感染症学会、日産婦学会 令和3年1月25日第1版〜5月12日第2版」などを公表した。
「Webで見る妊婦さんとお母さんのために新型コロナウイルス感染予防のためのQ&A」は、本研究班のホームページに掲載し、日本助産学会、日本助産師会、日本看護協会、日本産婦人科感染症学会、日本母性衛生学会等のホームページにリンクを張り、さらにQRコードを掲載したポスターもダウンロードできるようにした。各医療機関等に掲載を依頼して、妊婦さんやお母さんなどからアクセスできるようにした。「助産所または母子訪問活動におけるCOVID-19感染予防策の手引き」は、日本助産師会のホームページにリンクを張り、さらに助産師や母子訪問活動助産師に配布した
4)新型コロナウイルス感染妊婦の多くで、胎盤組織にSARS-CoV-2 RNAもしくはウイルスタンパクが局在することが明らかになった。しかし。検索した範囲では一例も子宮内感染は認められなかった。
結論
日本人における妊婦新型コロナウイルス感染の重症化リスクが初めて示された。解析結果は研究班や日本産婦人科感染症学会のHPに掲載され、産科医療現場における妊婦の重症化予測に活用された。今後も新型コロナウイルス感染妊婦の疾患登録システムは、日本産科婦人科学会周産期委員会内の研究事業として継続し、解析結果を適宜報告し、COVID-19妊婦の管理の指針の作成、改訂に使用する予定である。
姫路市のPCR結果は、Journal of Obstetrics and Gyneacology Researchに掲載され、妊婦アンケート調査は、Journal of Obastarics and Gynecology Researchに、小児科アンケート調査は、日本小児科学会の英文雑誌であるPediatrics International に投稿中である。
姫路市のPCR結果は、Journal of Obstetrics and Gyneacology Researchに掲載され、妊婦アンケート調査は、Journal of Obastarics and Gynecology Researchに、小児科アンケート調査は、日本小児科学会の英文雑誌であるPediatrics International に投稿中である。
公開日・更新日
公開日
2021-07-26
更新日
-