貝毒を含む食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200734050A
報告書区分
総括
研究課題名
貝毒を含む食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品-若手-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
相良 剛史(四国大学短期大学部生活科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷山 茂人(長崎大学大学院生産科学研究科)
  • 高谷 智裕(長崎大学水産学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、魚介類の食品としての安全性を確保し、国民の健康保護を図ることを目指して、貝毒、特に麻痺性貝毒(PSP)の、現行のマウス毒性試験の代替試験法とする、高感度で迅速、かつ簡便な液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)によるPSP一斉分析法の開発を目的とした。
研究方法
分析法の開発に必要不可欠なPSP成分を確保するために、PSP産生渦鞭毛藻の大量藻培を行い、有毒渦鞭毛藻の培養藻体に、希少なPSP成分であるGTX5および6が大量に含まれていることを確認した。一方、分担研究者により有毒二枚貝ならびに有毒ガニからPSP成分を大量抽出し、各種クロマトグラフィーに供してPSP精製毒を作成した。次いで、得られたPSP精製毒ならびに国内で配布されている9種のPSP標準品を用いて、日立陰イオン交換樹脂カラム3013 NカラムとDevelosil RP-Aqueous-ARカラムを直列に配置したLC/MSによる分析法を検討した。本法では前者のカラムを50℃、後者を20℃に制御し、2種類の移動相、すなわち0.1%ヘプタフルオロ酪酸および0.1%ペンタフルオロプロピオン酸/4%アセトニトリルを用いた。
結果と考察
各PSP成分のLC/MS分析では、脱スルホン[M+H-SO3]+、脱水[M+H-H2O]+、[M+H]+および[M+Na]+付加のシグナルをPSP判定の条件とすることにより、m/z 300でGTX5とSTX、m/z 316でGTX2, 3, 6, C1, 2, neoSTX, hySTX、m/z 332でGTX1, 4, hyneoSTX, C3、m/z 273でdcGTX2, 3, dcneoSTX、m/z 257でdcSTXの検出が可能となった。C1, C2, GTX6, GTX5, dcGTX2, dcGTX3, GTX4, GTX2, GTX1, dcneoSTX, hyneoSTX, hySTX, STXおよびneoSTXの保持時間は、それぞれ7.0, 8.2, 11.8, 12.5, 14.5, 16.2, 19.1, 23.1, 24.2, 34.3, 45.5, 47.6, 50.0および51.2分であった。これにより、PSP17成分のLC/MSによる一括分析が実現した。
結論
本分析法は対象となるPSP成分が17成分ではあるものの、LC-FLD検出法とMS分析法に有効で、かつ相互に比較検討と補完できる性能を併せ持った手法であり、その分析時間も60分以内であることから迅速な分析法であると言える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-15
更新日
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