文献情報
文献番号
202006029A
報告書区分
総括
研究課題名
国内COVID-19入院患者レジストリデータを用いたCOVID-19の罹患・予後と栄養状態・生活習慣の関連の縦断的解明
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2031
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
松下 由実(国立国際医療研究センター 臨床研究センター 臨床研究推進部)
研究分担者(所属機関)
- 早川 佳代子(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター)
- 原 久男(国立国際医療研究センター病院 循環器内科)
- 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,267,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
細菌やウイルスなどの感染症に対する免疫能の低下と低栄養の関連が知られている中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する先行研究では、高齢入院患者のうち約8割に低栄養又は低栄養傾向が認められ、基礎疾患としての糖尿病は低栄養の危険因子であると報告されている(2020)。しかし、この研究は単施設の横断研究である上、高齢者のみを対象としている点や、入院患者の栄養状態とCOVID-19重症度の関連について縦断的に検討したものではない。そこで幅広い年代の患者を対象に栄養状態とCOVID-19の重症度の関連に関する多施設かつ縦断的な研究を行う必要がある。
そこで本研究では、国内におけるCOVID-19の入院患者を対象に、①入院患者レジストリに登録された個々の患者の属性、栄養状態とCOVID-19の重症度等予後の関連について縦断的に解析するとともに、②研究代表者の所属施設の入院患者にあっては、①の各指標に加えて、栄養状態や生活習慣、入院中の栄養管理も調査し、栄養状態等とCOVID-19の重症度等予後の関連について縦断的に解析する本研究を行った。
そこで本研究では、国内におけるCOVID-19の入院患者を対象に、①入院患者レジストリに登録された個々の患者の属性、栄養状態とCOVID-19の重症度等予後の関連について縦断的に解析するとともに、②研究代表者の所属施設の入院患者にあっては、①の各指標に加えて、栄養状態や生活習慣、入院中の栄養管理も調査し、栄養状態等とCOVID-19の重症度等予後の関連について縦断的に解析する本研究を行った。
研究方法
研究資料および研究フィールド:
研究代表者の所属する国立国際医療研究センター(NCGM)は、全国のCOVID-19と診断された方に参加していただき、重症化する方の特徴や経過、薬剤投与後の経過など、COVID-19に関する様々な点について明らかにすることを目的とした観察研究(レジストリ)を開始した。また、COVID-19患者のうち、入院した症例を登録する仕組みを持っており、今回の研究では、入院症例のレジストリデータを用いた解析を行った。研究は以下の2つからなる。
(1)入院症例と一般対照(既存調査データを用いたhistorical control)とで発症前の栄養状態や他の生活習慣を比較することで、症例の特徴を明らかにすることを目的とする症例対照研究
<方法>
1.全施設の既存レジストリデータのデータベース化を行った。
2.NCGM症例に対しては、既存のレジストリでは把握されていない栄養状態や他の生活習慣について、退院後に追加調査を行った。
3.対照(historical control)として、既存データを使用した。
4.既存データと症例と比較し、オッズ比等を算出した。
(2)入院症例の発症前および入院時の栄養状態や他の生活習慣と予後との関連を明らかにすることを目的とする縦断研究
<方法>
1.既存レジストリデータのデータベース化および追加調査は(1)と共通。
2.発症前の栄養状態や他の生活習慣、併存疾患・既往歴等((1)参照)と予後(重症度、生存・死亡)の関連について、分析を行った。
研究代表者の所属する国立国際医療研究センター(NCGM)は、全国のCOVID-19と診断された方に参加していただき、重症化する方の特徴や経過、薬剤投与後の経過など、COVID-19に関する様々な点について明らかにすることを目的とした観察研究(レジストリ)を開始した。また、COVID-19患者のうち、入院した症例を登録する仕組みを持っており、今回の研究では、入院症例のレジストリデータを用いた解析を行った。研究は以下の2つからなる。
(1)入院症例と一般対照(既存調査データを用いたhistorical control)とで発症前の栄養状態や他の生活習慣を比較することで、症例の特徴を明らかにすることを目的とする症例対照研究
<方法>
1.全施設の既存レジストリデータのデータベース化を行った。
2.NCGM症例に対しては、既存のレジストリでは把握されていない栄養状態や他の生活習慣について、退院後に追加調査を行った。
3.対照(historical control)として、既存データを使用した。
4.既存データと症例と比較し、オッズ比等を算出した。
(2)入院症例の発症前および入院時の栄養状態や他の生活習慣と予後との関連を明らかにすることを目的とする縦断研究
<方法>
1.既存レジストリデータのデータベース化および追加調査は(1)と共通。
2.発症前の栄養状態や他の生活習慣、併存疾患・既往歴等((1)参照)と予後(重症度、生存・死亡)の関連について、分析を行った。
結果と考察
結果
(1)症例対照研究
COVID-19流行前の生活、生活習慣、体調、併存疾患がCOVID-19 罹患リスクに及ぼす影響を調べた。過去喫煙者、過去飲酒者、飲酒の頻度が高いこと、服薬(併存疾患)ありの者、健康上の問題で日常生活に影響があった人、健康上の問題で普段の活動ができない日があった人、仕事をしている人は、COVID-19 感染リスクが高くなっていた。野菜を食べる頻度が高い人、運動習慣のある人は、COVID-19罹患リスクが低くなっていた。また、COVID-19 流行前の1年間に健診を受けた人も感染リスクが低くなっていた。
(2)縦断研究
生活習慣とCOVID-19感染による重篤化リスクについて解析を行った。年齢が上昇するにしたがって、重症化リスクは高くなっていた。過去喫煙者は重症化リスクが高く、併存疾患は重症化リスクを高めていた。併存疾患で調整するとオッズ比は低くなった。現在喫煙者でのオッズ比上昇は有意ではなかった。
考察
野菜摂取量が多い人、日常での身体活動が多い人、定期的に運動する習慣がある人はCOVID-19罹患リスクが低いことが明らかになった。また、人間ドック、健康診断などを受診している人もCOVID-19罹患リスクが低かった。飲酒量は、1日に2合未満であると、COVID-19罹患リスクが低くなっていた。
過去喫煙者は、COVID-19の罹患リスク、重症化リスクが高いことが明らかになった。過去喫煙者は、何らかの疾患に罹患したことで禁煙した可能性が考えられるため、併存疾患により重症化リスクは高いのではないかと思われる。現在喫煙者も他の疾患に罹患することで将来COVID-19に罹患した場合には重症化リスクが高まる可能性もあると考えられた。
(1)症例対照研究
COVID-19流行前の生活、生活習慣、体調、併存疾患がCOVID-19 罹患リスクに及ぼす影響を調べた。過去喫煙者、過去飲酒者、飲酒の頻度が高いこと、服薬(併存疾患)ありの者、健康上の問題で日常生活に影響があった人、健康上の問題で普段の活動ができない日があった人、仕事をしている人は、COVID-19 感染リスクが高くなっていた。野菜を食べる頻度が高い人、運動習慣のある人は、COVID-19罹患リスクが低くなっていた。また、COVID-19 流行前の1年間に健診を受けた人も感染リスクが低くなっていた。
(2)縦断研究
生活習慣とCOVID-19感染による重篤化リスクについて解析を行った。年齢が上昇するにしたがって、重症化リスクは高くなっていた。過去喫煙者は重症化リスクが高く、併存疾患は重症化リスクを高めていた。併存疾患で調整するとオッズ比は低くなった。現在喫煙者でのオッズ比上昇は有意ではなかった。
考察
野菜摂取量が多い人、日常での身体活動が多い人、定期的に運動する習慣がある人はCOVID-19罹患リスクが低いことが明らかになった。また、人間ドック、健康診断などを受診している人もCOVID-19罹患リスクが低かった。飲酒量は、1日に2合未満であると、COVID-19罹患リスクが低くなっていた。
過去喫煙者は、COVID-19の罹患リスク、重症化リスクが高いことが明らかになった。過去喫煙者は、何らかの疾患に罹患したことで禁煙した可能性が考えられるため、併存疾患により重症化リスクは高いのではないかと思われる。現在喫煙者も他の疾患に罹患することで将来COVID-19に罹患した場合には重症化リスクが高まる可能性もあると考えられた。
結論
生活習慣により、COVID-19の罹患・重症化リスクが異なることが明らかになった。現在、COVID-19の新型変異株も急増している。今後は、新型変異株と従来型とに区分し、患者特性、病態特性、後遺症を明らかにし、病態に合わせた生活習慣予防策を見出していく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2022-03-25
更新日
-