食品中のウイルスの制御に関する研究

文献情報

文献番号
200734045A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中のウイルスの制御に関する研究
課題番号
H19-食品-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 小林 慎一(愛知県衛生研究所)
  • 恒光 裕(動物衛生研究所)
  • 野田 衛(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 米山 徹夫(国立感染症研究所)
  • 李 天成(国立感染症研究所)
  • 岡 智一郎(国立感染症研究所)
  • ハンスマン グラント (国立感染症研究所)
  • 白土 東子(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
51,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルス性食中毒の主要な原因となっているA型肝炎ウイルス(HAV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、ノロウイルス(NoV)、およびサポウイルス(SaV)について、検査法ならびに検出法の確立、伝播経路の解明、食品や環境での汚染実態調査、検査診断法、および予防法の確立等をおこなう。
研究方法
血清、便、肝臓を用いて、検査マニュアルにしたがって、抗体、抗原、遺伝子を検出した。ノトバイオート豚でHEV感染実験を行なった。リアルタイムPCRを用いてNoVおよびSaVの汚染状況を調べた。吐物による感染拡大について疫学、遺伝学的解析を行った。
結果と考察
NoVの流行疫学、遺伝子学的解析から、2006/2007年の流行を凌駕する流行が2007/2008年に見られた。流行したノロウイルスの遺伝子型はGII/4が主流であった。食材からのNoVの遺伝子検出方法が新たに考案された。カキにはα-アミラーゼ添加による前処理が効率よくNoV遺伝子を検出でき、また食材からはパンソルビン-抗NoV抗体-NoV複合体の形成と、それからのNoV遺伝子の検出が効果的であった。嘔吐物による事例では、嘔吐物の的確な処理が感染拡大防止に極めて重要であることが示唆された。HAVではRT-LAMP法が確立され、臨床検体からの遺伝子検出が効率よく行なえるようになった。HEVでは増殖のために培養細胞系が確立できた。また、ブタにおける伝播状況が明らかになった。SaVはNoV同様、カキに蓄積する可能性が示された。さらに、シジミには実に多くの腸管感染ウイルスが蓄積していることが明らかになった。
結論
・RT-LAMP法はフィールドでのHAV迅速検査に有効である。
・豚でのHEVの主要な感染月齢は2-3ヶ月齢であるが、肥育末期にHEV感染が起きる場合がある。
・市販の豚肉中にHEVが含まれる危険性は低い。
・HEVの培養細胞による増殖系を確立した。
・下水中のNoVやSaVの解析には定量的検査法を導入する必要がある。
・食品等からのウイルス検出にはSDSを含む洗浄液を使用することにより、回収率が向上した。
・カキにはNoVだけでなくSaVも蓄積されている可能性がある。
・カキには、α-アミラーゼ添加による前処理を用いた検出方法が有効である。
・食材ではパンソルビン・トラップ法をNoV検出方法として普遍化し、食の安心・安全に貢献できる。
・嘔吐物の的確な処理が感染拡大防止に極めて重要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-