重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算アルゴリズムの検証により、保健医療施策の立案に資するための研究

文献情報

文献番号
202006019A
報告書区分
総括
研究課題名
重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算アルゴリズムの検証により、保健医療施策の立案に資するための研究
課題番号
20CA2019
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
島 弘志(一般社団法人 日本病院会)
研究分担者(所属機関)
  • 牧野 憲一(一般社団法人 日本病院会)
  • 生野 弘道(一般社団法人日本病院会)
  • 小山 信彌(東邦大学)
  • 川瀬 弘一(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,895,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症度、医療・看護必要度は、平成20年度診療報酬改定において、急性期の患者の看護の必要性について測るための指標として導入された。その後、看護師等の評価者が日々患者の状態を評価・記録することには多大な労力が必要となることもあり、平成30年度診療報酬改定において、新たに重症度、医療・看護必要度Ⅱが導入され、10を超えるベンダから診療実績データを利用した計算ソフトウェアが提供されてきた。しかしながらベンダ間での計算結果に差異があるとの指摘もされている。
本研究では計算ソフト間の差異を評価するとともに、差異の生じる原因分析を行い、各医療機関が最適な計算ソフトを導入できるようにするための留意点を示すことを目的として研究を行った。
研究方法
本研究では、協力医療機関において重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算ソフトを実際に用いた結果に基づき比較を行った。
まず、重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算ソフトを提供しているベンダに協力を求め、使用するファイルの確認を行った上でソフトの提供を受けた。その後、倫理的配慮により各ベンダ、協力医療機関並びに本研究代表者間において同意書を締結した上で、令和2年度の複数月の診療実績データに対して該当患者割合を算出した。算出されたデータについては、協力医療機関の病棟毎の結果の提供を受けて、計算ソフト間での結果の差異およびその原因について検討を行った。
なお、重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算においては、DPC調査の様式1、EFファイル、Hファイルの診療実績データのみを用いるものとし、その他のデータは使用しないこととした。
また、総合入院体制加算では入院料とは異なる基準を用いて該当患者割合を算出するため、参考として総合入院体制加算の基準を用いた場合の結果についても計算を行った。
研究の実施にあっては、協力医療機関、ベンダおよび日本病院会の間でデータの取扱いと守秘義務についての覚え書きを取り交わした後に重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算を行い、各病院からは計算結果のみの提供を受けて検討を行った。結果の提示にあたっては、病院・ベンダの名称を匿名化し、アルファベットを用いて示した。
結果と考察
本研究に参加した29病院全体を通じて9社の計算ソフトウェアを用いて算出した重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者の割合の差は-0.7~+0.4%の範囲に収まっており、診療実績データを用いた重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算については、一定の精度が担保されているものと考えられた。
しかしながらこのような精度が担保されるには次のような条件が満たされる必要があることも明らかになった。
第1に、診療実績データの中には、診療科コードなど病院固有のマスタに従ってコーディングされているものがあり、重症度、医療・看護必要度Ⅱの評価対象患者の絞り込みにあたって、事前にソフトウェアへの設定が必要となる。
第2に、病棟単位ではなく、病室単位で入院基本料等を届け出ている場合のデータの取扱いに注意が必要である。
上記1および2を通じた注意点の主なものとしては次のような項目が挙げられる。①評価対象となる病棟を識別するための病棟コードと算定する入院基本料等のマスタ設定。②同一病棟内で複数の入院基本料等を算定している場合の処理方法。③産科患者を除外するために診療科コードを利用する場合の条件。④歯科の入院患者を除外する場合の条件。⑤Hファイルにおいて、ペイロード種別TAR0010「重症度、医療・看護必要度に係る評価票の判定対象」に判定対象についての情報を正しく記載すること。⑥DPCデータファイルの間での不整合など重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算に当たって問題が生じた場合にソフトウェアからエラー情報が出力され、病院において適切にデータの修正が行われること。
結論
重症度、医療・看護必要度Ⅱの計算ソフト間の差異を評価するとともに、差異の生じる原因分析を行い、各医療機関が最適な計算ソフトを導入できるようにするための留意点を示すことを目的として研究を行った。研究に協力した29病院の実績データについて9社のソフトウェアを用いて重症度、医療・看護必要度Ⅱを計算した結果については、一定の精度が担保されているものと考えられた。ただし、算出に用いるデータの精度や内部的な整合性、計算に使用する変数の選択などによっては計算結果に差異が生じる余地も残されており、注意が必要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2021-05-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202006019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特になし
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202006019Z