文献情報
文献番号
202006017A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科診療における情報通信機器等を用いた診療についてのルール整備に向けた研究
課題番号
20CA2017
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 啓一(東北大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 戸原 玄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系口腔老化制御学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野)
- 佐藤 裕二(昭和大学 歯学部)
- 今村 佳樹(日本大学 歯学部 口腔診断学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)の進展に伴い、遠隔地の患者を、ICTを利用して診療する遠隔診療が発展してきた。人口の高齢化と地域の過疎化が進む今日、遠隔診療への期待が高まるが、その更なる推進のためには、医療上の有効性・安全性が担保された適切な遠隔診療システムの普及が必要となる。医科については、平成30年度に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が策定された。
一方、歯科診療は本指針の対象とされていないが、令和元年度実施の厚生労働科学研究「地域包括ケアシステムにおける効果的な訪問歯科診療の提供体制等の確立のための研究」(研究代表者:戸原玄)で行ったアンケート調査では、オンライン診療に興味を示す歯科医師が9割を超え、様々な診療にオンライン診療が活用可能との意見が寄せられた。また、オンラインによる摂食嚥下障害診療が試行され、有用性が示されつつある。
さらに新型コロナウイルス感染症の拡大防止への対応として、電話やICT機器等による初診や再診を特例的に取扱う事務連絡(「歯科診療における新型コロナウイルスの感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月24日))が発出され、歯科診療においても、初診からICT機器等を活用した保険診療が可能となっている。
歯科診療の多くは対面処置を必要とするため、オンライン診療に関する議論は進んでいなかったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、歯科診療においてもオンライン診療を積極的に活用する動きがあり、時限的・特例的な取扱いが終了した後も、オンライン診療の実施を望む声が出てくると推測される。歯科診療においても、ICTの特徴をふまえて、適切にオンライン診療を実施することができれば、患者にとって有益なものになると考えられることから、歯科診療におけるオンライン診療が可能な診療内容等に関する考え方を、早急に検討する必要がある。
そこで、歯科診療におけるオンライン診療の事例収集・分析を行い、これらに基づき歯科診療におけるオンライン診療を適切に実施するために適切な診療内容・要件・留意事項等を示すことを目的とした。
一方、歯科診療は本指針の対象とされていないが、令和元年度実施の厚生労働科学研究「地域包括ケアシステムにおける効果的な訪問歯科診療の提供体制等の確立のための研究」(研究代表者:戸原玄)で行ったアンケート調査では、オンライン診療に興味を示す歯科医師が9割を超え、様々な診療にオンライン診療が活用可能との意見が寄せられた。また、オンラインによる摂食嚥下障害診療が試行され、有用性が示されつつある。
さらに新型コロナウイルス感染症の拡大防止への対応として、電話やICT機器等による初診や再診を特例的に取扱う事務連絡(「歯科診療における新型コロナウイルスの感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月24日))が発出され、歯科診療においても、初診からICT機器等を活用した保険診療が可能となっている。
歯科診療の多くは対面処置を必要とするため、オンライン診療に関する議論は進んでいなかったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、歯科診療においてもオンライン診療を積極的に活用する動きがあり、時限的・特例的な取扱いが終了した後も、オンライン診療の実施を望む声が出てくると推測される。歯科診療においても、ICTの特徴をふまえて、適切にオンライン診療を実施することができれば、患者にとって有益なものになると考えられることから、歯科診療におけるオンライン診療が可能な診療内容等に関する考え方を、早急に検討する必要がある。
そこで、歯科診療におけるオンライン診療の事例収集・分析を行い、これらに基づき歯科診療におけるオンライン診療を適切に実施するために適切な診療内容・要件・留意事項等を示すことを目的とした。
研究方法
①歯科診療全般に関する事項(共通項目)、②口腔顔面痛に関する事項、③訪問診療に関する事項に関してアンケート調査を実施し、②、③に関しては具体事例も収集し解析した。
結果と考察
今回のアンケート調査から伺えた電話や情報通信機器を用いた診療や処方の実績は、回答者全体の17%であった。またオンライン診療への理解度は、「定義の理解は十分でない」、「オンライン診療という言葉を聞いたことがある程度」、「全く知らない」を合わせると85%以上であり、歯科診療における情報通信機器の活用はまだ進んでいないのが現状であることが判明した。
アンケート調査ならびに具体事例の分析から、口腔顔面痛領域においては、疼痛管理ができている患者や症状が比較的安定している患者に対しての対面診療に代わる選択肢として、オンライン診療が使用されている傾向がみられた。また、訪問歯科診療については、歯や口腔の診察、摂食嚥下障害の診察にオンライン診療が活用されていた。また、カンファレンスのためにオンラインが用いられていることが判明した。
口腔顔面痛に関しては、対面診療による初期治療、専門治療で症状緩解後、処方と経過観察状態となった患者に対して活用することが可能であり、訪問診療に関しては歯や口腔の診察、摂食嚥下障害の診察に活用することが可能であることが示唆された。
ただし、歯科の特性から症状や原因を特定するためには口腔内の精査や画像診断が必要となるため、電話診療やオンライン診療で患者の状況を把握し対面診療へつなげる、という使用方法が多いと推測されるため、環境整備やルールだけでなく、撮影用などの使用機材についても検討していく必要があると考えられた。
アンケート調査ならびに具体事例の分析から、口腔顔面痛領域においては、疼痛管理ができている患者や症状が比較的安定している患者に対しての対面診療に代わる選択肢として、オンライン診療が使用されている傾向がみられた。また、訪問歯科診療については、歯や口腔の診察、摂食嚥下障害の診察にオンライン診療が活用されていた。また、カンファレンスのためにオンラインが用いられていることが判明した。
口腔顔面痛に関しては、対面診療による初期治療、専門治療で症状緩解後、処方と経過観察状態となった患者に対して活用することが可能であり、訪問診療に関しては歯や口腔の診察、摂食嚥下障害の診察に活用することが可能であることが示唆された。
ただし、歯科の特性から症状や原因を特定するためには口腔内の精査や画像診断が必要となるため、電話診療やオンライン診療で患者の状況を把握し対面診療へつなげる、という使用方法が多いと推測されるため、環境整備やルールだけでなく、撮影用などの使用機材についても検討していく必要があると考えられた。
結論
オンライン診療が可能な歯科診療の範囲を示すことが可能となった。
公開日・更新日
公開日
2021-10-01
更新日
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