文献情報
文献番号
202006016A
報告書区分
総括
研究課題名
診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の業務範囲拡大のための有資格者研修の確立及び学校養成所教育カリキュラム見直しに向けた研究
課題番号
20CA2016
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
北村 聖(公益社団法人地域医療振興協会 地域医療研究所)
研究分担者(所属機関)
- 大西 宏明(杏林大学 医学部臨床検査医学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,970,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医師の働き方改革等の医療提供体制の改革の議論が行われている中、医療専門職それぞれが自らの能力を活かし、より能動的に対応できる仕組みを整えていく体制の構築が求められている。その具体的方向性の一つとして、多職種の医療従事者の合意形成のもとで医師からのタスク・シフティング、タスク・シェアリング(以下、タスク・シフト/シェアという。)が掲げられている。本研究班では、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の3職種の業務範囲見直しの検討状況を踏まえ、3職種に対する研修カリキュラムの開発と、学校養成所カリキュラムの見直しを提言する。これにより、医師・看護師のタスク・シフト/シェアが推進され、医師・看護師の適正な労働環境が整備できることが期待される。
研究方法
3職種の教育・研修内容等を策定するにあたっては、安全かつ適切な実施体制を確保する観点から、既に業務として行為を行っている医師・看護師の立場からの意見がきわめて重要なものとなる。本研究班では、タスク・シフト/シェアを行う業務内容に関連する医師・看護師の意見を、各職種団体を通じたアンケート調査とその後のヒアリングにより集約し、その結果に基づき、3職種の教育・研修内容、告示科目、審査基準等の策定・修正を検討した。これらの検討結果をふまえ、診療放射線技師、臨床検査技師、ならびに臨床工学技士の追加業務に関する有資格者研修のカリキュラムの開発と、学校養成所カリキュラムの見直しに関して提言をまとめた。
結果と考察
3職種の追加予定行為における既卒研修プログラム及び追加卒前教育内容を提言するとともに、追加卒前教育内容の実施に当たり、教育上必要な機械器具等を示した。
既卒研修プログラムは、追加予定行為を行うにあたり必要となる知識・技能の修得のため、解剖学、機械器具操作と手技、患者の状態把握と配慮、使用薬剤の薬理、合併症、禁忌事項、感染管理、医療安全対策、緊急時対応及び実技シミュレーションを基本構成とした。これらの基本構成に、医師・看護師に対するアンケート結果を基に業務として実践する上で知識・技能として修得しておくことが望まれる関連内容を加えて組み立てた。さらに、実技については “業として現場で最低限は実施できる技能の修得”を到達目標とする既卒研修プログラムとし、各追加予定行為のタスク・シフト/シェアを安全かつ適切に実施するための内容とした。
追加卒前教育は、各職種の学校養成所指導ガイドラインで定める包括的な教育目標の中に、追加予定行為に関する教育内容を具体的に追記することで、各学校養成所等において確実に実施されるよう配慮した。実習および演習については、既卒研修プログラムを参考として実施することで、タスク・シフト/シェアに伴う医療事故の防止に配慮した。
臨床検査技師、臨床工学技士については、各職種の学校養成所指導ガイドラインに追記する教育内容と同等となるよう指定科目の具体的教育内容に追記することで養成課程での教育に反映をさせることとした。
なお、有資格者に対する研修プログラム及び養成課程に追加する教育内容等を具体的内容で示したが、医師からのタスク・シフト/シェアを円滑に実施しつつ、安全かつ適切に取り組むためには、実施する側面として3職種の関係団体と各追加予定行為の関係学会によるガイドライン等がつくられることが望ましいと考える。
既卒研修プログラムは、追加予定行為を行うにあたり必要となる知識・技能の修得のため、解剖学、機械器具操作と手技、患者の状態把握と配慮、使用薬剤の薬理、合併症、禁忌事項、感染管理、医療安全対策、緊急時対応及び実技シミュレーションを基本構成とした。これらの基本構成に、医師・看護師に対するアンケート結果を基に業務として実践する上で知識・技能として修得しておくことが望まれる関連内容を加えて組み立てた。さらに、実技については “業として現場で最低限は実施できる技能の修得”を到達目標とする既卒研修プログラムとし、各追加予定行為のタスク・シフト/シェアを安全かつ適切に実施するための内容とした。
追加卒前教育は、各職種の学校養成所指導ガイドラインで定める包括的な教育目標の中に、追加予定行為に関する教育内容を具体的に追記することで、各学校養成所等において確実に実施されるよう配慮した。実習および演習については、既卒研修プログラムを参考として実施することで、タスク・シフト/シェアに伴う医療事故の防止に配慮した。
臨床検査技師、臨床工学技士については、各職種の学校養成所指導ガイドラインに追記する教育内容と同等となるよう指定科目の具体的教育内容に追記することで養成課程での教育に反映をさせることとした。
なお、有資格者に対する研修プログラム及び養成課程に追加する教育内容等を具体的内容で示したが、医師からのタスク・シフト/シェアを円滑に実施しつつ、安全かつ適切に取り組むためには、実施する側面として3職種の関係団体と各追加予定行為の関係学会によるガイドライン等がつくられることが望ましいと考える。
結論
2024年4月の医師の時間外労働の上限規制の適用に向けて、多職種への業務の移管や共同化(タスク・シフティング、タスク・シェアリング)が求められている中、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の追加業務に関する有資格者研修のカリキュラムの開発と、学校養成所指定規則及び指導ガイドラインの見直しに関して提言をまとめた。
公開日・更新日
公開日
2024-05-29
更新日
-