食品中残留農薬等の汚染実態把握と急性暴露評価に関する研究

文献情報

文献番号
200734041A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中残留農薬等の汚染実態把握と急性暴露評価に関する研究
課題番号
H19-食品-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉池 信男((独)国立健康・栄養研究所 産学国際連携センター)
  • 根本 了(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 坂井 隆敏(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
農薬等のポジティブリスト制導入に伴い、基準値がある農薬数が大幅に増加し、対象食品が畜水産物にも拡大された。そこで、農薬の新スクリーニング分析法や畜水産物対象の農薬・動物薬共通スクリーニング分析法の開発を企図した。又、GCとLCを併用した一斉分析法を用いて、市販農産物中の残留農薬の種類を調査した。一方、残留農薬の急性暴露評価手法の確立が課題であるため、その手法確立を目指した。
研究方法
LC/MS測定の対象農薬のSFE適用性を検討するため、SFEによるこれら農薬の小麦全粒粉からの回収率を求め、GC/MS測定の対象農薬の結果と比較した。牛の筋肉及び肝臓を対象試料とし、畜水産物中の農薬と動物薬の通知一斉試験法により添加回収試験を行った。同一農産物3製品のコンポジット試料を作成し、GC/MSとLC/MSによる一斉試験法を併用して残留農薬を分析した。暴露量推定用の食品摂取量データベース検討のために、1年4季節で食物摂取状況調査を実施し、更に多食量摂取者を抽出するための半定量的食物摂取頻度調査票を作成した。
結果と考察
LC/MS対象農薬ではlog Powによらず低回収率の農薬が多く、農薬の置換基と食品マトリックス間の相互作用が抽出に影響を及ぼすためと思われた。筋肉・肝臓において動物薬試験法では広範囲のlog Powを有する農薬等を抽出可能であったが、農薬試験法ではlog Powの低い農薬等、特に動物薬の抽出率が低かった。一斉試験法でコンポジット試料25個を分析した結果、定量限界とした0.01ppmよりも低いレベルで確実に検出されたものも含めて、0~8品目の農薬が検出され、平均検出数は3であった。食品摂取量データベースの検討では、調査結果を、対象者の属性、習慣的(年間平均)摂取量分布、摂取者における季節別摂取量分布、多食量摂取者と普通量摂取者の摂取量分布としてまとめた。
結論
LC/MS対象農薬では食品マトリックスとの相互作用を考慮してSFEやPLEの適用を検討する必要がある。畜水産物ではlog Powの低い農薬等の抽出法、農薬及び動物薬試験法の精製法を検討する必要がある。市販農産物の残留農薬数は限られており、少なくとも国産では、使用農薬情報をいかに入手して分析するかが重要と思われる。急性暴露評価手法確立には、摂取量の信頼性を増すため、今回のような食品摂取量のデータ整備を進めることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-