動物用医薬品等に関する畜水産食品の安全性確保に係る研究

文献情報

文献番号
200734040A
報告書区分
総括
研究課題名
動物用医薬品等に関する畜水産食品の安全性確保に係る研究
課題番号
H19-食品-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
三森 国敏(国立大学法人東京農工大学大学院共生科学技術研究院動物生命科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 渋谷 淳(国立大学法人東京農工大学大学院共生科学技術研究院動物生命科学部門)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所病理部)
  • 九郎丸 正道(東京大学大学院農学生命研究科獣医解剖学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非遺伝毒性発がん物質に分類される動物用医薬品の発がん機序を明らかにし、DNAメチル化を指標としたin vivo短期肝発がん指標遺伝子を探索すると共に、と畜場において背根神経節を脊柱から完全に分離する手法を確立することを目的として以下の研究を行った。
研究方法
oxfendazole(OX)については、ラット肝二段階発がんモデルを用いた実験及びメラトニンとの併用投与実験を、dicyclanil(DC)については、マウス肝二段階発がんモデルを用いた羅漢果抽出物(SGE)の併用投与実験及び発がん促進作用の閾値検索実験を行った。また、Nrf2の関与を雌Nrf2欠損マウスを用いて検討した。さらに、acetaminophen(APAP)、phenobarbital(PB)、2-amino-3-methylimidazo[4,5-f]quinoline(IQ)によるマウス肝発がん促進過程でのゲノムのメチル化プロファイル解析を行った。BSEの特定危険部位である牛の背根神経節については、その完全除去が可能か否かを検討した。
結果と考察
OXについては、GST-P陽性細胞巣並びに酸化的損傷マーカーの増加が認められた。メラトニンとの修飾作用は、現在解析中である。DCとSGE併用群では、GGT陽性細胞率及び酸化ストレス指標の減少、Cyp1a1 mRNA発現の低下が認められた。DCの発がん促進作用の閾値は、現在検索中である。Nrf2欠損マウスの実験では、Nrf2蛋白量依存的に肝DNA中の8-OHdGレベルの上昇がみられた。メチル化DNAの解析では、APAPでメチル化が減少したCGIのうち、PBとIQで増加したものが39個認められた。牛背根神経節除去に関する研究では、全背根神経節の88%の除去がと畜場で可能であったが、完全除去は現時点の技術では依然として困難であった。
結論
OX及びDCの発がん機序には酸化的ストレスを介した二次的DNA損傷の可能性が示唆され、特にDCでは、Ahrを介したCyp1a1発現誘導並びにNrf2の関与が明らかとなった。メチル化DNAの網羅的解析では、肝発がん物質と非発がん物質の間でメチル化パターンの異なるCGI群の出現する可能性が見いだされた。牛背根神経節の完全除去は困難であり、今後さらなる技術改良が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-