カビ毒を含む食品の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200734038A
報告書区分
総括
研究課題名
カビ毒を含む食品の安全性に関する研究
課題番号
H19-食品-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小西 良子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 熊谷 進(東京大学大学院 獣医公衆衛生学)
  • 佐藤 敏彦(北里大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物学)
  • 田中 敏嗣(神戸市環境保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、オクラトキシンA(OTA)、フモニシンB1, B2, B3(FUM)や、国産小麦に汚染が多く検出されているニバレノール(NIV)およびデオキシニバレノール(DON)などに対する適切な施策を行うための科学的データーを得ることを目的とする。今年度は、実態調査およびNIVの暴露評価、分析法評価、減衰率の評価、毒性評価を行った。
研究方法
実態調査は市販食品からOTA対象19品目365点、FUM対象7品目121点、NIV・DONを対象に国産小麦粉79点を測定した。国産小麦粉の結果から、NIVの暴露量をモンテカルロ法により年齢階級毎に推定した。実態調査に用いる分析法の信頼性は妥当性試験等で検討した。DON・NIVの加工工程中の減衰評価は、国産小麦粉から製造した食パンを、原料小麦粉と共に分析を行った。また、加工中に生じるカビ毒複合体の毒性を生物学的に評価する方法を構築した。毒性評価として高リスクグループに対する影響を検討した。
結果と考察
実態調査から、小麦粉、チョコ、ココア、そば、パスタ、インスタントコーヒなどがOTA汚染に、コーンスターチ、大豆がFUM汚染に寄与率が高いことが示された。国産小麦粉のNIVとDONは低レベルであるが相関高く高頻度で汚染されていた。市販国産小麦粉を原料とした食パンの減衰率はDON約59.9±30.9%、NIV約55.4±34.4%と推定された。減衰評価法として確立した生物学的評価法は、免疫毒性カビ毒において高感度であった。新規毒性として、新生児のFUMB1暴露は薬物代謝機能に成熟時まで影響を及ぼすことが示された。NIVの暴露評価では、1歳~6歳までの群で体重1kgあたりの一日曝露量がもっとも高くなり、99パーセンタイル値は、規制なしで0.84μg/kg体重/日であり、NIVの暫定一日耐容摂取(t-TDI)0.7 μg/kg体重/日(EU設定)を超えることが推定された。
結論
我が国の食品における汚染実態から、OTA,FUM,DON,NIVは低レベルだが高頻度に検出されること、NIVの暴露評価から、幼児群は成人群より暴露量が多いことが明らかになった。毒性評価では高リスクグループに対する新規毒性も示された。これらのデーターは施策の根拠として充分資するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-16
更新日
-