特定行為研修の効率的な研修体制についての探索的研究

文献情報

文献番号
202006009A
報告書区分
総括
研究課題名
特定行為研修の効率的な研修体制についての探索的研究
課題番号
20CA2009
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
村上 礼子(自治医科大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
  • 長谷川 直人(自治医科大学 看護学部)
  • 江角 伸吾(自治医科大学 看護学部)
  • 八木 街子(佐伯 街子)(自治医科大学 看護学部)
  • 荒木 暁子(公益社団法人 日本看護協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,342,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
効率的な特定行為に係る看護師の研修(以下,特定行為研修)の修了者養成に資する研修提供体制について探索的に調査・検討を行い,その推進に向けた示唆を得ることを目的とした.研究目的を達成するために,分担研究1として「指定研修機関の研修体制の実態調査」を,分担研究2として,「特定行為研修を組み込んでいる認定看護師教育機関及び開講を検討・計画している教育機関の研修体制の実態と効率的な養成に資する研修提供体制の調査」を行った.
研究方法
研究1は、全国の指定研修機関191機関(2020年2月現在)に対し,研修機関の概要,実施している特定行為区分,受講者定員数ならびに応募数,年間修了者数,年間の研修実施回数,外部所属の受講者の受け入れ状況,症例数確保や研修受講者確保の工夫,研修運営上のコストに関する工夫等をWeb上で無記名の質問紙調査を実施した.
研究2は、特定行為研修を組み込んでいる認定看護師教育機関(B課程)とB課程への移行を検討中の認定看護師教育機関(A課程)の各5機関に対して,認定看護分野ごとの運営体制・内容,教育目標,開講してみての感想・意見・工夫などと,研修運営体制における人的・物的(空間的)・時間的・経済的な側面から効率的だと考えられる点,受講者が研修を効率的に受講できるような工夫点,運営における財務的問題などついて半構造化Webインタビューを実施した.
結果と考察
研究1では、特定行為研修の実施状況においては,研修修了までの受講期間は「6ヶ月以上1年未満」もしくは「1年以上1年半未満」である指定研修期間が8割以上であった.年間の受講者の募集回数は年1回の施設が7割を占める一方で,2割が複数回募集しており,受講者の受講スケジュールに合わせたバリエーションのある教育設計や研修運営が求められていた.また,総受講者実数の平均は12.7名で,各年度の募集定員は年々増加し,2019年度以降は募集定員に応募数が近似してきた.当該指定研修期間以外に所属する受講者を受け入れている指定研修機関は43施設(65.2%)で,受け入れている受講者数は,10人以下が7割から9割弱であった.その他,研修修了に必要な症例数確保の難しさが研修運営上の課題として複数の質問の回答として挙げられた.また,指定研修機関の研修体制の実態では,専従のスタッフ(教育・調整担当)は0.7名,専任の研修指導者(正規)の平均雇用者数は3.6名,専任の研修指導者(定期雇用)の平均雇用者数は0.2名であった.また,専従・専任の研修指導者(正規)は,教育・指導だけでなく,メンタリング,トラブル対応,特定行為研修に関連した申請書類や報告書の作成まで多岐にわたる業務を担っていた.さらに,指導者だけでなく事務職員も人員不足な状況や事務業務以外の教育内容にも従事していた.当該指定研修機関以外の受講者の受け入れに関しては,「指導体制の構築」に重点を置き,受け入れの可否を検討していることから,指導体制の安定化につながる支援が重要であると考える.また,協力施設の有無にも,指導体制の構築上の課題が影響していることが推察され,研修指導・教育の質の担保のための支援は急務である.さらに,研修指導者や事務職員は,受講者数に対して少なく,また,指導者数に対して専従・専任は少なく,指導者・教員,事務職員の確保に対して状況に合わせて選択的に活用できる財政的支援の検討が必要である.
研究2では、研修体制の実態は,「多職種チームの中で看護学的根拠を基盤に最善のケアとして特定行為を実現できる看護師の育成」「認定看護師の実践・実績を継承しつつ,特定行為と同時に修得できる魅力」「eラーニングを効果的・効率的に運用できる体制」「制約のある中でも最大限,研修生の成長と専門性を高める実習方法」「実習施設の確保や協力を得るための工夫」「研修生の学習を促進する教育方法の検討」「運用・財務面での効率化の検討」等の12カテゴリが見出された.これらの関係性から効率的な養成に資する研修提供体制として「多様な背景をもつ受講者の効率的な学習の積み上げを考慮した学習支援」「効率的なeラーニングの効果的運用」「研修機関の強みを活かした実習の工夫」「研修機関や地域の強み・資源の活用」「活動をフォローアップする継続的支援」が必要である.
結論
効率的に研修修了者を輩出する研修提供体制を検討する項目として,「受講者の多様性に合わせて,複雑で多種多様である研修計画に対応できる研修運営や管理ができる指導者の確保や質の向上」「協力施設の確保促進」「運営費用の柔軟な運用や事務処理業務の負担軽減に向けた支援」が挙げられ,「指導者の質の向上」においては,「効率的な学習の積み上げを考慮した学習支援」「研修機関の強みを活かした実習の工夫」等が修了者養成の効率性に関する検討の一資料となると考える.

公開日・更新日

公開日
2021-06-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202006009C

収支報告書

文献番号
202006009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,096,000円
(2)補助金確定額
9,096,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,293,067円
人件費・謝金 2,644,597円
旅費 0円
その他 2,406,305円
間接経費 1,754,000円
合計 9,097,969円

備考

備考
税金等の支出において想定外の端数が出たため.

公開日・更新日

公開日
2021-06-17
更新日
2021-06-18