相談支援専門員に対する実地教育の実施方法及び実地教育に従事する指導者養成カリキュラム開発についての調査研究

文献情報

文献番号
202006006A
報告書区分
総括
研究課題名
相談支援専門員に対する実地教育の実施方法及び実地教育に従事する指導者養成カリキュラム開発についての調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2006
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
相馬 大祐(福井県立大学 看護福祉学部社会福祉学科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 敏彦(和泉短期大学 児童福祉学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域で生活する障害児者に対する支援を構築するにあたり、相談支援専門員の存在は重要と言える。また、相談支援専門員がそれぞれの力を発揮するため、研修と実地教育の有機的な連動による人材育成の体制構築は喫緊の課題と言える。本研究では相談支援専門員に対する実地教育に従事する者のコンピテンシーを明らかにし、それを伝達する手段としてのカリキュラム及び教材等の開発を目的とする。
研究方法
本研究は主に3つの方法を実施した。①相談支援専門員に対する実地教育に従事する者のコンピテンシー(以下、コンピテンシー)を明らかにするためのインタビュー調査、②コンピテンシー検証のための質問紙調査及びインタビュー調査、③①、②及びカリキュラム及び教材等の開発のための検討委員会の設置、検討である。
①実地教育に従事する8人の主任相談支援専門員等を対象にインタビュー調査を実施した。インタビュー調査の結果を質的内容分析の方法を参考に分析し、コンピテンシーを明らかにした。この内容について、検討委員会及び実地教育を行っている主任相談支援専門員等によるエキスパートレビューを行った。
②コンピテンシーの効果検証として、2つの地域を対象に開発したコンピテンシーに基づいた実地教育を実施し、実地教育を受けた相談支援専門員等の変化を把握した。変化を把握するために、コンピテンシーに基づく実地教育を実施する前と後に質問紙調査を実施した(回答者22人)。計画当初は質問紙調査のみを予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響から実地教育の実施そのものが困難な地域もあり、実地教育を担う者と実地教育を受けた者の双方を対象にしたインタビュー調査も合わせて実施し(対象者8人)、混合研究法を採用した。この結果に基づき、実地教育に関するコンピテンシーの内容を修正した。
上記の①、②の研究及びその結果を踏まえたカリキュラム及び教材等の開発は、検討委員会を設置し、検討をその都度行った。検討委員会は研究者及び実地教育に従事する主任相談支援専門員から構成した。
結果と考察
①実地教育に関するインタビュー調査では、実地教育に関するコンピテンシーの開発を目的に実施した。その結果、2つのカテゴリー「態度・価値観」、「知識・技術」から構成される実地教育に関するコンピテンシーを明らかにした。「態度・価値観」のサブカテゴリーは、「他の相談員を尊重した関係性の構築」、「他の相談員の状況を理解する姿勢を持つ」、「メンターとしての役割を遂行できる」にて構成された。また「知識・技術」のサブカテゴリーには、「ミクロ・メゾ・マクロの相談支援の知識と技術」「地域の特性等の知識」、「事業所運営の知識」、「人材育成の研修等の企画」、「スーパービジョンの知識と技術」、「OJTの知識と技術」、「他の相談員の特性や状況の把握」により構成された。
次に、②実地教育に関するコンピテンシーの効果検証として、質問紙調査は新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、期間内に実地教育を受けた相談支援専門員は9人のみであり、共通した実地教育を受けている者はその半数にも満たない結果であった。そこで、インタビュー調査の結果より、明確化した相談支援専門員に対する実地教育に従事する者のコンピテンシーの内容の妥当性等について精査を図り、一定の妥当性を有するコンピテンシーの明確化に至った。
上記の結果から、コンピテンシーの一部を変更した。具体的にはカテゴリーは変更せず、「態度・価値観」では地域の相談支援専門員が対象であることを明確にした。また「知識・技術」のカテゴリーにおいては、個別と集団という視点でサブカテゴリーを再整理した。
以上の①、②の結果をもとに、コンピテンシーを伝達するためのカリキュラム及び教材等の開発を行った。明確化されたコンピテンシーについて、実地教育を行う上で必要な態度・価値観及び知識・技術と実地教育を担う者の実践知とに分け、前者をコアコンピテンシーと位置付け、この内容を伝達するカリキュラム及び教材等を開発した。
結論
本研究の結果、相談支援専門員に対して行われる実地教育に従事する者のコンピテンシーを明らかにした。また実際に2つの地域にて明確化されたコンピテンシーに基づいた実地教育を実施し、相談支援専門員の変化等を把握し、コンピテンシーの検証を行った。さらに、本研究で明らかになったコンピテンシーを伝達するためのカリキュラム及び教材を開発した。

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202006006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は相談支援専門員に対する実地教育に従事する者のコンピテンシーを明らかにし、その内容を伝達するカリキュラム等を開発することを目的とし、その目的は達成された。
2021年度には本研究で開発したカリキュラムを実施し、その効果を検証する「障害分野の研修及び実地教育(OJT)の効果の検証及び効果的な実施のための要因解明のための研究」(厚生労働科学研究費補助金)を実施する予定である。2021年度に実施する研究の中で、本研究で開発したカリキュラム等の効果も示すことができると考える。
臨床的観点からの成果
現時点での成果は特にない。
ガイドライン等の開発
相談支援専門員に対する実地教育従事者養成研修(仮)のカリキュラム及び教材等を開発するに至った。
2021年度には本研究で開発したカリキュラム及び教材等を活用して、実際に研修を実施し、その効果等を把握した。
その他行政的観点からの成果
令和2年度以降の相談支援従事者指導者養成研修にて本研究の結果を報告している。また、本研究の後継研究として、令和3~4年度「障害分野の研修及び実地教育(OJT)の効果の検証及び効果的な実施のための要因解明のための研究」を実施し、令和5年度より「研修と実地教育(OJT)が有機的に連動した相談支援専門員養成体制の構築手法の確立のための研究」を実施している。
その他のインパクト
現時点では特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
2025-05-23

収支報告書

文献番号
202006006Z