国外の健康危機発生時に対応できる人材に必要なコンピテンシーの分析及び人材を増強するための研修プログラムの開発のための研究

文献情報

文献番号
202005003A
報告書区分
総括
研究課題名
国外の健康危機発生時に対応できる人材に必要なコンピテンシーの分析及び人材を増強するための研修プログラムの開発のための研究
課題番号
19BA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
大曲 貴夫(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 押谷 仁(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 山本 太郎(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所)
  • 山岸 拓也(国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 第四室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2014年に西アフリカ諸国で発生したエボラウイルス病や、2019年に中国で発生し、現在も世界中で流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19) など、国際的に脅威となる感染症に対して、国際社会の枠組みによる緊急対応は非常に重要性を増している。
世界的な感染症対策チームとしてGOARN(Global Outbreak Alert and Response Network:地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)があり、これまで複数の日本人もGOARNに登録し派遣されているが、その数は限られている。GOARN派遣にはGOARN研修の修了や国際的なアウトブレイク対応の経験が重視されているが、日本ではこれまで人材育成の機会が極めて限られていたことより、2019年度にGOARN派遣に必要な能力の強化を目的とし、日本で10年ぶりとなるGOARN Tier1.5研修を開催した。講師陣及び研修参加者から高い満足度と評価を得るとともに、更なる能力強化の機会を期待する声が多く聞かれた。研修終了後に日本とGOARN、WHO講師陣との間でレビュー会議を開き、参加者の専門性の傾向を踏まえ、感染症予防管理(Infection Prevention and Control; IPC)分野に特化した研修プログラムの必要性が上がった。本研究班では、①国外の健康危機発生時に対応するための人材育成プログラム開発及び オンラインGOARN Tier 1.5研修実施に関する研究、②日本の専門家のGOARN派遣を促進するための体制整備に関する研究を通じて、日本人専門家の国際感染症等対応人材の育成やGOARNの枠組みでのアウトブレイク対応派遣の推進を行い、国外の感染症危機時に派遣できる国内体制を構築することした。
研究方法
①国外の健康危機発生時に対応するための人材育成プログラム開発のために、WHOオンラインGOARN Tier 1.5 研修を実施した。②日本の専門家のGOARN 派遣を促進するための体制整備のため、、GOARN で将来的に活躍できる候補者の人材プール“GOARN Japan ロスター”を構築すると共に、情報提供の場として「海外派遣者帰国報告会」を行った。
結果と考察
①国外の健康危機発生時に対応するための人材育成プログラム開発及び オンラインGOARN Tier 1.5研修実施に関する研究では、WHOや関係機関の協力を得て、2020年10月29日(木)〜30日(金)の2日間のプログラムとして、世界で初めてオンライン(Zoom)形式で、IPCに特化したGOARNTier1.5ワークショップ研修を32名対象に実施した。受講者の評価結果より、回答者の100%にとって、本研修で学んだことは今後の派遣に役立つ内容であり、本研修への参加が今後の国際的アウトブレイク対応に従事する意欲や、GOARNやWPROのミッションへの応募意欲につながったことが確認された。②日本の専門家のGOARN派遣を促進するための体制整備に関する研究では、2019度のGOARN Tier1.5研修参加者の中で同年にGOARN Japanロスターに登録した34名に加えて、2020年10月に開催したオンラインGOARN Tier1.5研修日本人参加者30名から募集し、2021年3月時点で合計62名となった。 GOARN派遣に役立つ情報提供として、GOARNの専門家派遣要請(5回)や、WHO地域事務局からの派遣募集(4回)、海外派遣経験者の帰国報告会(3回)や、専門家の能力強化に役立つ各種セミナー等に関する情報をEメールにて共有した。更に、WHO GOARNから本研究班研究メンバーの2名へ、GOARNにおける能力強化プログラムの広報となる Capacity Building and Training Programme Advocacy Videos(2本)への出演依頼を受け、収録に協力した。加えて、GOARN普及リーフレット「世界の国際感染症対策における日本からの技術支援の促進に向けて」を出版し、全国の指定感染症病院等約600施設に配布した。
結論
WHO GOARN、WPRO、本研究班の強い連携により、世界初のIPCに特化したオンラインTier1.5ワークショップ研修を実現し、GOARN Japanロスターの登録者は、2021年3月時点で合計62名となった。今後のGOARN研修は、オンライン研修の場合WPRO地域の他国とも合同で実施することも可能であり、これにより他国のGOARNパートナー機関や参加者とのネットワーキング強化も促進できると考えられた。グローバルな最新動向を捉えつつ、国内の専門家の派遣を取り巻く環境を考慮しながら、日本からのGOARN派遣を促進するための支援体制の整備を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
2021-06-29

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202005003B
報告書区分
総合
研究課題名
国外の健康危機発生時に対応できる人材に必要なコンピテンシーの分析及び人材を増強するための研修プログラムの開発のための研究
課題番号
19BA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
大曲 貴夫(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 押谷 仁(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 山本 太郎(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 山岸 拓也(国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 第四室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2014年に西アフリカ諸国で発生したエボラウイルス病や、2019年に中国で発生し、現在も世界中で流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19) など、国際的に脅威となる感染症に対して、国際社会の枠組みによる緊急対応は非常に重要性を増している。
世界的な感染症対策チームとしてGOARN(Global Outbreak Alert and Response Network:地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)があり、これまで複数の日本人もGOARNに登録し派遣されているが、その数は限られている。GOARN派遣にはGOARN研修の修了や国際的なアウトブレイク対応の経験が重視されているが、日本ではこれまで人材育成の機会が極めて限られていた。
研究方法
本研究班では、①国外の健康危機発生時に対応するための人材育成プログラム開発及び オンラインGOARN Tier 1.5研修実施に関する研究、②日本の専門家のGOARN派遣を促進するための体制整備に関する研究を通じて、日本人専門家の国際感染症等対応人材の育成やGOARNの枠組みでのアウトブレイク対応派遣の推進を行い、国外の感染症危機時に派遣できる国内体制を構築することした。
結果と考察
①国外の健康危機発生時に対応するための人材育成プログラム開発およびGOARN Tier 1.5研修実施に関する研究では、WHO本部のGOARN、WPRO、GOARNパートナー機関、厚生労働省、本研究班の連携により人材育成プログラムを開発し、GOARN派遣時に必須研修の1つであるWHOの公式GOARN Tier1.5研修を、約10年ぶりに2019年12月5日(木)〜6日(金)の1.5日間のプログラムとして、50名を対象に東京都で実施し、さらに2020年10月29日(木)〜30日(金)の2日間のプログラムとして、世界初のオンライン(Zoom)形式で、IPCに特化したGOARNTier1.5ワークショップ研修を32名対象に実施した。両研修ともに受講者の評価回答者の95%以上にとって、本研修で学んだことは今後の派遣に役立つ内容であり、本研修への参加が今後の国際的アウトブレイク対応に従事する意欲や、GOARNやWPROのミッションへの応募意欲につながったことが確認された。GOARN研修参加者を対象にGOARN派遣を促進するための因子を調査したところ、要求される技能・知識についての懸念、派遣人材の育成に当たって研修や技術支援、派遣情報の提供、派遣中の金銭的補償や医療保障といった多岐に渡る支援に需要があることも明らかとなった
②日本の専門家のGOARN派遣を促進するための体制整備に関する研究では、本で開催したGOARN Tier1.5研修の受講者の中から、日本で初めてのGOARN Japanロスターを作成し、2021年3月時点で合計62名が登録された。GOARN Japanロスター登録者へGOARN派遣に役立つ情報提供も開始し、2020年度にCOVID-19の流行に対して1名が感染予防管理の専門家としてWHOフィリピン国事務所へ、1名が Information and PlanningとCountry supportの部門でWPROおよび、WHOカンボジア国事務所へGOARN派遣された。さらに、2020年度にGOARN派遣に役立つ情報提供として、GOARNの専門家派遣要請(5回)や、WHO地域事務局からの派遣募集(4回)、海外派遣経験者の帰国報告会(3回)や、専門家の能力強化に役立つ各種セミナー等に関する情報をEメールにて共有した。また、2020年度にWHO GOARNから本研究班研究メンバーの2名へ、GOARNにおける能力強化プログラムの広報となる Capacity Building and Training Programme Advocacy Videos(2本)への出演依頼を受け、収録に協力した。加えて、GOARN普及リーフレット「世界の国際感染症対策における日本からの技術支援の促進に向けて」を出版し、全国の指定感染症病院等約600施設に配布した。
結論
本研究では、WHO GOARN、WPRO、本研究班の強い連携により、日本で10年ぶりに開催のWHOの公式GOARN Tier1.5研修や世界初のIPCに特化したオンラインTier1.5ワークショップ研修を実現し、日本で初めてのGOARN Japanロスターを作成し、の登録者は、2021年3月時点で合計62名が登録された。さらにGOARN派遣制度に伴う問題点も明らかとなった。引き続き、グローバルな最新動向を捉えつつ、国内の専門家の派遣を取り巻く環境を考慮しながら、引き続き日本の専門家のGOARN派遣を促進するための支援体制の整備を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202005003C

収支報告書

文献番号
202005003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
700,000円
差引額 [(1)-(2)]
6,300,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,337,316円
人件費・謝金 2,126,788円
旅費 115,600円
その他 1,820,296円
間接経費 1,600,000円
合計 7,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-06-29
更新日
-