文献情報
文献番号
202003018A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代医療情報交換標準規格FHIRを用いたPHR統一プラットフォームの開発
課題番号
20AC1007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
中山 雅晴(国立大学法人 東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在Personal Health Record(PHR)は民間企業ベースのサービスに基づいた日々の健康情報の蓄積が一般的であるが、本来健診や採血検査結果、処方データなど医療機関における臨床情報を共有し、個人の生活情報と紐付け、健康増進や疾患増悪防止に役立てることが理想である。それが可能となれば、PHRを介した生涯にわたる個人データが一元管理されることとなり、より有効な臨床データとしての2次活用も期待される。そのためには多種多様なPHRにおいて、データ項目の標準化およびデータ送受信の互換性の担保が重要である。そこで本研究では、日本において複数の病院情報システム間の情報共有目的で頻用されるStandardized Structured Medical Information eXchange version 2 (SS-MIX2)を介したPHRによるデータ共有から開始し、その後次世代医療情報交換標準規格FHIRを用いた互換性の確立と対象データの拡張を進め、PHRの統一プラットフォームを構築することを目的とする。
研究方法
宮城県における医療情報地域連携システムであるMiyagi Medical and Welfare Information Network(MMWIN)に保存されているSS-MIX2データを用いて、PHRアプリケーションの開発、改良を行い、データはFHIR形式へ変換した。データ変換にはIRIS-Health(インターシステムズ社)を用いた。またFHIRデータサーバー(smileCDR)を設置し、FHIR形式のデータを蓄積した。アプリケーションはブラウザベースで開発した。
結果と考察
1)SS-MIX2に保存されているデータ項目を表示するPHRアプリケーションの開発
SS-MIX2に保存されているデータの表示はSS-MIX2標準化ストレージに格納されている病名、アレルギー、採血検査、処方および注射情報に関して表示可能なPHRアプリケーションを開発した。これらのうち病名やアレルギーには、病院情報システムから全てのデータを転送した際に正確性の低い情報も多く含まれていたため、単純に患者さんに開放してよいかの議論があり、オンオフの設定も追加することとなった。
2)SS-MIX2に保存されているデータのFHIR形式への変換
次に、SS-MIX2のデータを同様に標準化ストレージ内の項目からFHIR形式に変換を行っている。日本におけるFHIRプロファイルは、NeXEHRSコンソーシアムのHL7FHIR作業部会で定められているJP-coreが中心となるが、その進展と同期をとりながら、本研究において必要と思われる項目を重点的に進めている。その際、FHIRにおいては処方と注射とがFHIRリソース上MedicationRequestに含まれるが臨床上は分けた方が望ましく、データ変換時に対応した。
3)FHIR形式のデータを表示するPHRアプリケーションの開発
上記2)で変換したデータを表示するPHRアプリケーションを開発している。当初IRISの対応がSTU3ベースであったためアプリケーションもSTU3に対応していたが、年度内にR4対応へと修正した。
4)臨床医が通常の診療に使うために必要なPHRにおける機能検討
臨床医の意見としては研究代表者が循環器内科医ということもあり、他の循環器内科医の意見も集約し、心不全患者を診療するためのデータセットを中心に収集すべき項目や形式を検討した。例えば、体重、血圧脈拍などの他に、内服確認、日々の活動度や症状などの記録が可能である。
5)FHIRデータを交換する際に必要な認証・認可の検討
今後PHRサービスを展開するには認証認可の仕組みはFHIRとは別に備える必要があり、OpenIDConnectを中心に検討している。
6)PHRとして必要な項目の拡大
SS-MIX2標準化ストレージ内のデータのみならず、SEAMAT形式で表される循環器データや画像データなどを、FHIRを介して対応できるよう検討を開始した。
7)民間PHRサービス調査とFHIRを用いたプラットフォームの可能性の検討
PHRサービスを展開している民間会社にヒアリングを行い、FHIRを用いたプラットフォームの実現性についての議論を行った。
SS-MIX2に保存されているデータの表示はSS-MIX2標準化ストレージに格納されている病名、アレルギー、採血検査、処方および注射情報に関して表示可能なPHRアプリケーションを開発した。これらのうち病名やアレルギーには、病院情報システムから全てのデータを転送した際に正確性の低い情報も多く含まれていたため、単純に患者さんに開放してよいかの議論があり、オンオフの設定も追加することとなった。
2)SS-MIX2に保存されているデータのFHIR形式への変換
次に、SS-MIX2のデータを同様に標準化ストレージ内の項目からFHIR形式に変換を行っている。日本におけるFHIRプロファイルは、NeXEHRSコンソーシアムのHL7FHIR作業部会で定められているJP-coreが中心となるが、その進展と同期をとりながら、本研究において必要と思われる項目を重点的に進めている。その際、FHIRにおいては処方と注射とがFHIRリソース上MedicationRequestに含まれるが臨床上は分けた方が望ましく、データ変換時に対応した。
3)FHIR形式のデータを表示するPHRアプリケーションの開発
上記2)で変換したデータを表示するPHRアプリケーションを開発している。当初IRISの対応がSTU3ベースであったためアプリケーションもSTU3に対応していたが、年度内にR4対応へと修正した。
4)臨床医が通常の診療に使うために必要なPHRにおける機能検討
臨床医の意見としては研究代表者が循環器内科医ということもあり、他の循環器内科医の意見も集約し、心不全患者を診療するためのデータセットを中心に収集すべき項目や形式を検討した。例えば、体重、血圧脈拍などの他に、内服確認、日々の活動度や症状などの記録が可能である。
5)FHIRデータを交換する際に必要な認証・認可の検討
今後PHRサービスを展開するには認証認可の仕組みはFHIRとは別に備える必要があり、OpenIDConnectを中心に検討している。
6)PHRとして必要な項目の拡大
SS-MIX2標準化ストレージ内のデータのみならず、SEAMAT形式で表される循環器データや画像データなどを、FHIRを介して対応できるよう検討を開始した。
7)民間PHRサービス調査とFHIRを用いたプラットフォームの可能性の検討
PHRサービスを展開している民間会社にヒアリングを行い、FHIRを用いたプラットフォームの実現性についての議論を行った。
結論
SS-MIX2データ共有によるPHRサービスを開始し、来年度のFHIRを用いたデータ連携および統合プラットフォームの確立、それに伴う医療データと個人データの双方向連携のための準備を進めた。実用に向けて必要な観点から、上記7つの項目に分けて進めており、FHIRを介したPHR情報連携は十分可能であると考えられた。来年度は患者リクルートを本格化し、研究のさらなる発展を目指す。
公開日・更新日
公開日
2021-07-06
更新日
-