食品における微生物迅速検査法の開発及びその精度評価システムに関する研究

文献情報

文献番号
200734023A
報告書区分
総括
研究課題名
食品における微生物迅速検査法の開発及びその精度評価システムに関する研究
課題番号
H18-食品-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 俊司(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医感染症学)
研究分担者(所属機関)
  • 浅尾 努(大阪府立公衆衛生研究所感染症部)
  • 木村 凡(東京海洋大学海洋科学部)
  • 宮本 敬久(九州大学大学院農学研究院)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所食品管理部)
  • 松岡 英明(東京農工大学大学院工学研究部)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター微生物部)
  • 荒川 英二(国立感染症研究所細菌第一部)
  • 勢戸 祥介(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科)
  • 吉田 靖子(東京都健康安全研究センター微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品危害を起こす病原微生物の検出は、主として食中毒事例の患者あるいは食材から得られた検体から、菌あるいは毒素を分離・同定することを想定し、特定された病原因子により行政的な措置をとることに主眼がおかれている。食品製造現場における安全性確保は、衛生管理が適切に行われているかを評価することが必要であり、そのために食品や作業工程中の汚染指標細菌や食中毒菌の検出が重要である。本研究では日常的な衛生管理の中で食の安全性を確保するために必要な迅速・簡便検査法のあるべき要件と検査対象となる領域を調べ、現在使用されている迅速検査法を検討することに加えて、培養法に基づく標準法を尺度とする検査精度の評価システムの構築を目指すことを目的とした。
研究方法
汚染指標菌試験法の検討、 迅速法の基礎情報の収集と課題整理、腸炎ビブリオの迅速検査法の検討、腸管出血性大腸菌の迅速検出法の評価、毒素型食中毒菌の免疫学的検出法の開発、迅速法に適した検体処理方法の検討、ノロウイルス迅速診断法の検討を行った。
結果と考察
一般生菌数や汚染指標細菌に関する検査法について、現在わが国の告知法・通知法が、欧米で使用されているFDA/BAM法やISO法とは異なり、検査法の国際的調和の視点から好ましくない状況にあり、本年度は市販されている簡易迅速検査法(DOX,TEMPO)の有用性を従来法と比較しながら検討し、平板培地法(標準法)と高い相関性が得られた。迅速検査を行う必要性の高い腸炎ビブリオについては、PCR法による特異検出法の検討を行い、さらにnested PCR法を組み合わせることにより検出感度の改善がみられた。このnested PCR法の適用はノロウイルスの検出にも期待が持てる成績も得た。毒素型食中毒菌ではブドウ球菌エンテロトキシンが多数報告されているが、エンテロトキシンHがFDAでも新規の毒素として認知されたことから、本邦における食中毒由来菌のH型毒素産生性の実態把握と検査法の確立のために免疫学的検出法を開発した。食品検体からの菌およびウイルスの濃縮、回収法を多面的に調べ、Percoll不連続密度勾配遠心分離法による細菌回収効率の向上し、細菌では陽イオントラップ法ウイルスでは遠心式限外ろ過法が有用であり、さらに回収菌の自動解析方法についても検討を加えた。
結論
今後得られた結果を基に、特異性および感度の改善をはかり実用可能な微生物迅速検査法を提示する。

公開日・更新日

公開日
2008-03-31
更新日
-