PRO-CTCAEの日本語版の実臨床および臨床試験における有効性の評価

文献情報

文献番号
202003010A
報告書区分
総括
研究課題名
PRO-CTCAEの日本語版の実臨床および臨床試験における有効性の評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
20AC1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下妻 晃二郎(学校法人立命館 立命館大学 生命科学部生命医科学科)
  • 中島 貴子(京都大学医学部附属病院 次世代医療・iPS細胞治療研究センター (Ki-CONNECT))
  • 清水 千佳子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター / 乳腺・腫瘍内科)
  • 渡邊 知映(昭和大学 保健医療学部)
  • 矢嶋 宣幸(昭和大学 医学部内科学講座リウマチ膠原病内科学部門)
  • 佐野 元彦(星薬科大学 実務教育研究部門)
  • 東 加奈子(東京医科大学 薬剤部)
  • 関根 祐介(東京医科大学病院 薬剤部)
  • 長沼 未加(クオール株式会社 クオールアカデミー・教育研修部)
  • 川口 崇(東京薬科大学 医療実務薬学教室)
  • 宮路 天平(東京大学大学院医学系研究科 臨床試験データ管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
PRO-CTCAE日本語版の実臨床及び臨床試験・臨床研究における有効性評価と利用推進を目的とする。2020年度は全体の研究計画の作成及び実施体制を構築する。
研究方法
研究計画書の作成、実施体制の構築を中心に進める。
結果と考察
研究計画書の作成
①有害事象モニタリングを含むePROプラットフォームを用いたPRO-CTCAEの有効性の検討
電子カルテと連動したePROプラットフォームを用いたがん患者レジストリ構築の研究は、患者市民参画を実施し作成した研究計画書を倫理委員会に提出した。日常診療にePROを導入し、また診療録との連携も進めているため、まずは少数例を対象として現在の日常診療で実施している紙運用からePROに移行し、徐々に対象を拡大していくデザインとした。
②免疫チェックポイント阻害薬を投与しているがん患者におけるePROを用いた症状関連有害事象に関するレジストリ研究
外来化学療法室で免疫チェックポイント阻害薬を投与している患者レジストリの計画を策定した。免疫チェックポイント阻害薬の投与は長期になることも少なくなく、また遅発的に起こる多様な有害事象が知られているため、PRO-CTCAEの調査項目、調査頻度、調査期間の議論に時間を要した。マスタープロトコルの骨子が完成し、患者市民参画を計画した。
③補助化学療法後の乳がん患者を対象とした電子的患者報告アウトカムによる遷延性症状関連有害事象に関する観察研究
術前・術後補助化学療法を終了する乳がん患者に対し1年後まで定期的にePROによる有害事象情報を収集する患者レジストリの計画を策定した。特に、調査項目の選定(神経障害、味覚嗅覚異常、認知能力(ケモブレイン)、生理開始、倦怠感、うつ症状、不眠など)、患者ニーズとの擦り合わせ、電子的同意や動画説明の導入促進の検討を中心に議論した。
④外来がん患者におけるePROの薬局薬剤師による継続的薬学管理に関する研究
薬局の継続的薬学管理で、PRO-CTCAEを活用した ePROによる有害事象モニタリングを検討するため、薬局レセコンシステムとePROの接続および運用の整備を行った。
⑤全身性エリテマトーデス(SLE):Lupus registry of nationwide institutions: LUNA
既に多施設研究として実施・運用されていたSLE患者レジストリであるLUNAの患者報告アウトカム(LupusPRO、SF-8)に、新たにPRO-CTCAEを加え、紙媒体での調査票からePROへの変更のための研究計画改訂を実施し、承認された。PRO-CTCAEはSLE患者での計量心理学的特性が示されていない点もあり、PRO-CTCAEの調査項目については患者市民参画を計画し、ePROのシステムの開発に着手した。
⑥HIV領域:抗レトロウイルス両方開始後のHIV感染症患者における患者報告による症状関連有害事象に関する研究
先行研究としてBring Your Own Device(BYOD)にてePROを収集していたDEARS-J studyを日本エイズ学会学術集会・総会にて発表した。その結果と文献レビューを基に、同研究の研究者らとPRO-CTCAEの項目を選定し、研究計画を策定した。PRO-CTCAEの項目選定および調査頻度については患者市民参画を実施して確定した。
⑦その他
有害事象評価にPRO-CTCAEを含めた「進行再発がん患者におけるオピオイド鎮痛薬導入前後の心理的障壁と疼痛:多施設共同研究」が主たる施設の倫理委員会で承認、登録が開始された。
PRO-CTCAE小児版(Ped-PRO-CTCAE)について、7〜17歳を対象としたPed-PRO-CTCAEと7歳以下を対象としたCaregiver版の日本語版開発の内諾をNCIから得た。研究体制や方法の調整を続けている。

研究体制の構築
COVID-19対応にて対面会議が開催できないなか、患者団体、関連学会、日本製薬工業協会との協力体制を構築した。患者団体とは患者市民参画として班会議やプロジェクトに関して計画段階から積極的に関与いただいた。日本製薬工業協会とは研究の方向性に関する会議などを実施した。関連学会等においては、当研究班の活動について紹介し、方向性などご意見をいただき、今後の広報活動などご協力をお願いした。
患者、一般国民への(e)PROの啓発・普及および(e)PRO臨床研究への理解を深め参加を円滑化するための(e)PROビデオコンテンツを作成した。
結論
本年度の研究成果により、次年度より順次、様々なセッティングにおけるPRO-CTCAEの活用を試みる臨床研究が開始される予定であり、PRO-CTCAEの利用の推進とデータ収集を開始し、定期的に解析と評価を行う体制が構築できた。

公開日・更新日

公開日
2021-07-06
更新日
2025-04-30

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-06
更新日
2022-06-21

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202003010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,410,000円
(2)補助金確定額
20,410,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,193,651円
人件費・謝金 169,060円
旅費 28,868円
その他 8,310,988円
間接経費 4,710,000円
合計 20,412,567円

備考

備考
研究分担者:渡邊 知映
分担金が500,000円のところ、実支出額が489,380円。
(-10,620円)

研究分担者:佐野 元彦
分担金が1,715,000円のところ、実支出額が1,715,002円。
(利息2円)

研究分担者:東 加奈子
分担金が1,046,000円のところ、実支出額が1,048,300円。
(自己資金2,300円)

研究分担者:関根 祐介
分担金が382,000円のところ、実支出額が391,960円。
(自己資金9,960円)

研究分担者:長沼 未加
分担金が892,000円のところ、実支出額が892,925円。
(自己資金925円)

公開日・更新日

公開日
2025-04-30
更新日
-