患者報告アウトカム(patient reported outcomes:PRO)のICT化と社会実装推進のためのガイドライン作成に資する研究

文献情報

文献番号
202003008A
報告書区分
総括
研究課題名
患者報告アウトカム(patient reported outcomes:PRO)のICT化と社会実装推進のためのガイドライン作成に資する研究
課題番号
20AC1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
中島 貴子(京都大学医学部附属病院 次世代医療・iPS細胞治療研究センター (Ki-CONNECT))
研究分担者(所属機関)
  • 堀江 良樹(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座)
  • 土井 綾子(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座)
  • 宮路 天平(東京大学大学院医学系研究科 臨床試験データ管理学)
  • 川口 崇(東京薬科大学 医療実務薬学教室)
  • 長島 文夫(杏林大学 医学部内科学腫瘍科)
  • 山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科)
  • 下妻 晃二郎(学校法人立命館 立命館大学 生命科学部生命医科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、患者・医療機関へのアンケート調査によりPRO の ICT 化 ( ePRO )と社会実装推進に必要な課題を抽出し(令和2、3年度)、普及・実装科学の手法で課題を特定し、ePRO実装モデルを提案する(令和4年度)。併行して、各施設に適応したシステム構築とその利用経験をフィードバックしながら(令和2年度以降)、ePRO実装モデルを構築する(令和4年度)。別途申請中の山口班、下妻班、また日本がんサポーティブケア学会(JASCC)PROワーキンググループと連携し、本研究結果、レジストリ試験データ、PROガイドラインをもとに、ePROの保険適用申請を行う(令和4年度)。
研究方法
1.PROのICT化(ePRO)と社会実装推進に必要な課題の整理、ePRO実装モデルの提案
①PRO収集方法に関する調査
② 患者側の課題の抽出、整理
③ 医療従事者側の課題の抽出、整理
④ePRO実装モデルの提案
2.病院情報システム、電子カルテへの実装とその利用によるePRO実装モデルへのフィードバック

3.ePRO実装モデルの構築
①単施設においてePROシステムを病院情報システム、電子カルテへ実装する
②上記システムをレジストリ試験において利用し問題点を抽出する
③他施設へ拡大し、各施設に適応したePROシステムの構築と汎用性を確認する
4.保険適用申請
5.レジストリ試験概要
結果と考察
(1)PRO収集方法に関する調査
PRO収集方法について、本邦の患者がどのようなデバイスを保有しているか、希望しているかについての項目を患者向けアンケート調査に含めて作成した。調査票の作成過程では、研究協力者である患者団体の協力を得ながら検討、確定した (PPI)。アンケート調査の結果解析は令和3年度に予定している。一方総務省データより、スマートフォンの世帯保有率は急速に上昇していることがわかったが、60歳以上では36.7%とのデータがある。よって高齢者での収集方法について、患者向けアンケート調査結果、また併行して実施予定である山口班におけるレジストリ試験においても解析できるよう、収集するデータ項目を検討した。
高齢者に関しては電子デバイスの保有率のほか、入力実効性についても課題となるため、サポートの必要性やどのようなサポートが必要かもアンケート調査に加えた。
(2)患者側の課題の抽出、整理
患者に対するウェブアンケート調査票を作成し、研究協力者である患者団体及び実際の患者に対するパイロット調査を実施し、調査票をブラッシュアップした上で、令和2年度中に実施した(令和3年度に回収予定)。
(3)医療従事者側の課題の抽出、整理
医療機関に対してアンケート調査票を作成し、分担研究者・協力者の所属施設にてパイロット調査を実施し、アンケート調査票を確定した。IRB審査後に令和2年度中に実施した(分析は令和3年度に実施予定)。
2.病院情報システムとの連携とその利用によるePRO実装モデルへのフィードバック
単施設(聖マリアンナ医科大学病院)において、下記の図に示すインターネットで患者から収集したePRO情報を病院情報システムとセキュアに連携すべくシステム構築を行なっており、令和3年度1期には利用可能となる予定である。Mini-Cogアプリケーションソフトについては、iPad上にて操作可能なアプリの試供版が完成した。3つの言葉の記憶テスト、時計描画テスト、3つの言葉の記憶確認の3ステップで構成され、それぞれが終了すると自動的にスコア計算を行う。令和3年度以降に多施設へ展開するにあたり、セキュリティー、技術関連、運用体制、コスト、個人情報保護に関する課題を検討している。PROデータの信頼性は評価スケールや収集システムにより異なるため、PROのICT化は重要である。令和2年度に実施したアンケート調査を令和3年度第1期に解析し、PROのICT化についての現状と今後の課題を抽出できる見込みである。併行して、PROのICT化の基盤となるシステム構築をモデル施設(聖マリアンナ医科大学病院)で行い、その過程で多くの課題を実際に抽出できている。それらの課題を加味しながら、令和3年度に多施設に展開するための準備も開始し、より多くの施設で実装できるモデルを構築していく予定である。また本研究では、研究の各過程において研究協力者である患者団体の協力を得ながらディスカッションしていることで「患者・市民参画(PPI)を実現している。

結論
アンケート調査を令和3年度に解析し、PROのICT化についての現状と今後の課題を抽出していく。また単施設でのPROのICT化の基盤となるシステム構築から抽出された課題をもとに、令和3年度に多施設に展開するためのシステム構築を行なっていく。

公開日・更新日

公開日
2021-07-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202003008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,500,000円
(2)補助金確定額
19,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,435,086円
人件費・謝金 419,430円
旅費 0円
その他 3,145,484円
間接経費 4,500,000円
合計 19,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-07-07
更新日
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