文献情報
文献番号
202003001A
報告書区分
総括
研究課題名
卒前・卒後のコンピテンシー獲得に至る多様なプロセスを支援する多面的な評価情報が集約化されたダイナミックシラバスの開発とその効果検証に関する研究
課題番号
H30-ICT-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
岡崎 仁昭(自治医科大学 医学教育センター)
研究分担者(所属機関)
- 佐田 尚宏(自治医科大学消化器・一般移植外科)
- 川平 洋(自治医科大学 メディカルシミュレーションセンター)
- 山本 真一(自治医科大学附属病院 卒後臨床研修センター)
- 松山 泰(自治医科大学 医学部 医学教育センター)
- 淺田 義和(自治医科大学 情報センター IR部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,130,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医学教育においては、日本医師会および全国医学部長病院長会議による「卒前卒後のシームレスな医学教育を実現するための提言」、医学教育モデル・コア・カリキュラムの改定などにより、卒前・卒後で提示されるコンピテンシーが統一化された。知識・技能・態度の3要素に関するシームレスな能力育成が必要である。一方で、こうしたコンピテンシーを基盤とした学習についての支援方策は不十分である。本研究ではダイナミックシラバスの開発を行い、学生の総括的評価に加え、知識・技能・態度に関する形成的評価を行い、医師としてのコンピテンシー達成を自己および他者評価する支援システムを整える。さらに、卒後も同一のシステムで学習履歴を管理できるようにし、卒前・卒後の連携をはかることを目指す。
研究方法
2020年度では、システム全体の検証と合わせ、新型コロナウイルス感染拡大下における遠隔教育の必要性増加にともない、門田守人(日本医学会 会長)氏による研究課題にて設計した臨床実習代替教材の実装を含め、運用と効果検証を継続的に実施した。また、教育実践の質を高めるためのFD・SDとして利用可能な教材の検討、第114回の医師国家試験を含めた最新情報に基づく学習教材の追加検討などを行った。加えて、学習履歴のログを用いた利用状況解析などを行った。
結果と考察
業者に委託した内容については、全案件が年度内に完了した。
動画・音声等を利用した教材のMoodleへの実装に際しては、Moodleの基本機能のみで作成した場合を検証し、基本的な動作には支障がないことが確認された。H5Pの機能を利用したコンテンツについては追加プラグインの利用となるため、他施設等への展開を検討するうえでは注意が必要となる。次期バージョンのMoodleにおいては標準機能として実装される予定のため、このバージョンを待っての本格導入とすることが望ましいと考えられる。Moodleの負荷状況は常に検討しているが、CPUやメモリに関しては平常時で2〜30%の利用率となっており、大きな負荷はかかっていない。一方、動画教材等を載せることによって保存領域は利用が増加してしまうため、対応策の検討が必要である。初期臨床研修の評価票については、EPOC2の公開版を元に同一フォームを作成し、2020年度より実稼働可能な状況が整った。
2019年度末からの新型コロナウイルス感染症拡大にともない、Moodle等を用いたオンライン教育の需要が卒前・卒後の双方において大幅に拡大した。これにともない、本研究で2019年度までに開発・実装を行った機能の活用と合わせ、研究者の所属大学にて作成された教育コンテンツをMoodleに導入し、授業・実習のオンライン化をはかるとともに、学習履歴の取得・ダイナミックシラバスとしての形成的評価の実施・教育での利用に関する評価などを行ってきた。
特に2020年度の4月・5月期は、教材の作成や実装と合わせ、Moodleの利用支援を行うための具体的な操作解説教材の作成や支援体制の整備が実施された。また、年度の後半において、オンライン教育に対する学生および教職員のアンケート調査の結果と合わせ、教材の作成に関する知見などを集約したFDを計画するなど、Moodleの操作方法にとどまらない情報の整理も実施された。
業者への委託については、Moodleの最新版に合わせた機能改修や教材の追加作成が実施された。
Moodleの負荷状況に関しては、新型コロナウイルスの影響によって利用が増大した後も大きな負荷増大はなかった。医学部単体としての利用を考える際の、システム標準規模を見出すことにつながった。なお、前年度も懸念すべき課題として動画教材の掲載にともなう保存領域の圧迫が挙げられていた。本課題については、動画サーバとして外部サービスを利用することでの対応を実施した。
動画・音声等を利用した教材のMoodleへの実装に際しては、Moodleの基本機能のみで作成した場合を検証し、基本的な動作には支障がないことが確認された。H5Pの機能を利用したコンテンツについては追加プラグインの利用となるため、他施設等への展開を検討するうえでは注意が必要となる。次期バージョンのMoodleにおいては標準機能として実装される予定のため、このバージョンを待っての本格導入とすることが望ましいと考えられる。Moodleの負荷状況は常に検討しているが、CPUやメモリに関しては平常時で2〜30%の利用率となっており、大きな負荷はかかっていない。一方、動画教材等を載せることによって保存領域は利用が増加してしまうため、対応策の検討が必要である。初期臨床研修の評価票については、EPOC2の公開版を元に同一フォームを作成し、2020年度より実稼働可能な状況が整った。
2019年度末からの新型コロナウイルス感染症拡大にともない、Moodle等を用いたオンライン教育の需要が卒前・卒後の双方において大幅に拡大した。これにともない、本研究で2019年度までに開発・実装を行った機能の活用と合わせ、研究者の所属大学にて作成された教育コンテンツをMoodleに導入し、授業・実習のオンライン化をはかるとともに、学習履歴の取得・ダイナミックシラバスとしての形成的評価の実施・教育での利用に関する評価などを行ってきた。
特に2020年度の4月・5月期は、教材の作成や実装と合わせ、Moodleの利用支援を行うための具体的な操作解説教材の作成や支援体制の整備が実施された。また、年度の後半において、オンライン教育に対する学生および教職員のアンケート調査の結果と合わせ、教材の作成に関する知見などを集約したFDを計画するなど、Moodleの操作方法にとどまらない情報の整理も実施された。
業者への委託については、Moodleの最新版に合わせた機能改修や教材の追加作成が実施された。
Moodleの負荷状況に関しては、新型コロナウイルスの影響によって利用が増大した後も大きな負荷増大はなかった。医学部単体としての利用を考える際の、システム標準規模を見出すことにつながった。なお、前年度も懸念すべき課題として動画教材の掲載にともなう保存領域の圧迫が挙げられていた。本課題については、動画サーバとして外部サービスを利用することでの対応を実施した。
結論
オンライン授業の実践にともない、学習履歴の件数は増大した。これにより、学習者がどのような学習行動を行ったかを巨視的に解析することが可能となった。加えて、過去の履歴を教師データとして機械学習を行い、成績予測等の学習支援に役立てることの可能性も見いだされた。
卒前・卒後をシームレスに接続するにあたり、クルズス等の教材と合わせ、特に臨床実習に関連したコンテンツでの学習は欠かせない。2019年度には門田班との連携による教材の作成なども実施したが、今後も継続的な研究として、教材の充実化を測っていくことが必要である。
今後の課題として、共通教材を配信するためのLMS設計や運用、学習履歴の共有を容易にするためのDigital Credential発行等に利用可能な評価方法の標準化、などが明らかとなった。これらの課題については、本研究で得られた成果の継続的な実践と合わせ、検討を重ねていく必要があると考えられる。
卒前・卒後をシームレスに接続するにあたり、クルズス等の教材と合わせ、特に臨床実習に関連したコンテンツでの学習は欠かせない。2019年度には門田班との連携による教材の作成なども実施したが、今後も継続的な研究として、教材の充実化を測っていくことが必要である。
今後の課題として、共通教材を配信するためのLMS設計や運用、学習履歴の共有を容易にするためのDigital Credential発行等に利用可能な評価方法の標準化、などが明らかとなった。これらの課題については、本研究で得られた成果の継続的な実践と合わせ、検討を重ねていく必要があると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2021-06-02
更新日
2021-07-06