国際生活機能分類ICFを用いた医療と介護を包括する評価方法の確立とAIを利用したビッグデータ解析体制の構築

文献情報

文献番号
202002007A
報告書区分
総括
研究課題名
国際生活機能分類ICFを用いた医療と介護を包括する評価方法の確立とAIを利用したビッグデータ解析体制の構築
課題番号
20AB1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
木村 浩彰(広島大学病院 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 木原 康樹(広島大学大学院 医系科学研究科)
  • 塩田 繁人(広島大学病院 診療支援部リハビリテーション部門)
  • 北川 知郎(広島大学病院 循環器内科)
  • 日髙 貴之(県立広島病院 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,985,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際生活機能分類ICFを用いた医療介護共通の評価方法の確立は喫緊の課題であるが,ICFはコーディングの煩雑さと評点の曖昧さのため,臨床では利活用は進んでいない.我々はこれまでに人口の高齢化により増え続けるコモンディジーズである高齢心不全を対象にICFを臨床で有効に活用するため,生活機能評価に必要なICF項目を選定し,評価マニュアルを作成した.しかし,医療介護連携における共通評価方法としてICFを活用するには,介護支援専門員の視点からも必要となるICF項目を選定する必要がある上,評価の目安の決定においては国内外のICF評価に関する知見を整理する必要がある.
 本研究では,ICFを用いた医療介護共通の評価方法を確立し,ICFデータの多施設間前向きコホート研究によりAIを用いたビッグデータ解析のための基盤を構築することを目的とした.
研究方法
本年度は,ICFを用いた医療介護共通の評価方法を確立するため,①介護支援専門員を対象にケアプランを作成する上で必要となるICF項目を選定し,②ICF linking ruleに関するシステマティックレビューによりICFコードとリンクする既存の評価法について知見を整理した.これらの研究に基づき,③ICF評価の目安と参考となる既存の評価法,採点基準を作成し,医療・介護・福祉の専門職で構成した調査対象者27名を対象に,デルファイ法を用いたアンケート調査によってICF評価方法の適切性を検証した.
結果と考察
本研究の結果より,①介護支援専門員が心不全高齢者のケアプラン作成に必要と考えるICF項目は49項目であり,基礎職種が医療職と福祉・介護職で意識に差があること,②ICF linking ruleに基づいて既存の評価法との関連が検証されたICFコードは188項目であることが明らかとなった.
ICFの臨床における利活用を推進するため,我が国ではリファレンスガイドの作成やe-learning教材の開発が進められている.我々の取り組みは臨床現場からのボトムアップによるICFの利活用を目指しており,すでに多職種カンファレンスにおいて電子カルテシステムで運用している施設もある.また,介護保険領域においてはCHASEやVISITといったICFをベースにした科学的介護情報システムが進められている.しかしながら,医療と介護のデータベースは連結しておらず,生活機能や社会保障費に関する予後を調査することは非常に困難である.また,本研究でも明らかとなったように,「福祉系」介護支援専門員の医学的知識の課題は以前から指摘されており,特に心身機能に関するアセスメントについては当面は医療職が担う必要があると考える.ICF linking ruleに基づいてICFコードと既存の評価手法を検討したものは多かったが,実測データを用いて評点基準を検証している先行研究は非常に少なかった.そのため,これまでの知見を基に医療介護共通のICF評価を作成し,医療・介護・福祉に関わる多職種によって妥当性を検証した上で,臨床データの収集を行う予定である.医療介護連携ツールとしてICFを利活用するためには医療者だけでなく介護支援専門員を中心とする介護従事者が分かりやすく,アセスメントに直結する言語を用いる必要がある.本研究では,ICF評価マニュアルだけでなく介護支援専門員向けのICFアセスメントガイドブックを作成する予定であり,ICFを共通言語として活用するための教育ツールとしての活用が期待される.
結論
今年度は介護支援専門員を対象としたケアプラン作成に必要なICF項目の選定とICF linking ruleに関するシステマティックレビューを行い,それらに基づいたICF評価手法の作成とデルファイ法による妥当性検証を実施した.デルファイ法による妥当性検証は現在進行中ではあるが,今後は作成したICF評価手法を用いて多施設間前向きコホート研究による予後予測システムの開発およびデータベース構築,介護支援専門員に対するICF評価教育に取り組む予定である.

公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202002007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,715,000円
(2)補助金確定額
3,715,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,890,982円
人件費・謝金 0円
旅費 2,700円
その他 91,318円
間接経費 730,000円
合計 3,715,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
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