食品中に残留する抗生物質の分析法に関する研究

文献情報

文献番号
200734012A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中に残留する抗生物質の分析法に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 正一(埼玉県衛生研究所水・食品担当)
研究分担者(所属機関)
  • 井部 明広(東京都健康安全研究センター)
  • 丹野 憲二(日本食品分析センター)
  • 中澤 裕之(星薬科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
畜水産食品の安全性を確保するため、多くの抗菌性物質を一括して分析できる試験法の確立が必要とされている。微生物学的試験法は、阻止円の有無を観測することにより抗菌性物質の残留の有無をスクリーニングすることが可能である。そこで本研究では、残留抗菌性物質の迅速且つ検出感度に優れた微生物学的試験法を検討する。更に、微生物学的試験法で抗菌性物質の残留が疑われた場合、残留する薬物を特定する理化学的試験法も併せて検討する。
研究方法
微生物学的試験法:試験菌として現在公定法に採用されている試験菌及び市販芽胞菌液(Bacillus subtilis BGA,Geobacillus stearothermophilus)を用いた。理化学試験法:HPLC,LC/MS/MSを用いた。また,特異性の高いアフィニティーカラムによる前処理法も採用した。
結果と考察
畜水産食品中に残留する主な抗菌性物質を一括して検出できる簡易試験法としてメタノール抽出法を構築した。構築した方法を5機関で共同試験を行い、有効性を確認した。またに、(1)テトラサイクリン系及びキノロン剤、(2)マクロライド系及びアミノグリコシド抗生物質の系統的スクリーニング法を構築した。更に、(1)HPLC、LC/MS/MS及び(3)アフィニティカラム処理を用いた畜水産食品に残留するテトラサイクリン系抗生物質、キノロン系抗菌剤の確認法を構築し、微生物学的試験法で薬物の残留が疑われた検体に応用した結果、良好な結果が得られた。実際に阻止円が観測された検体に本試験法を適用した結果、ドキシサイクリンを含むテトラサイクリン系抗生物質の残留を確認した。
結論
5機関による共同試験の結果、主な抗菌性物質を一括して検出できる簡易試験法の有効性を確認した。また、微生物学的試験法で薬物の残留が疑われた検体について、今回開発した理化学的試験法を応用した結果、テトラサイクリン系抗生物質の残留を確認した。本研究事業で構築した試験法は、安全性の高い畜水産食品の流通に寄与するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200734012B
報告書区分
総合
研究課題名
食品中に残留する抗生物質の分析法に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 正一(埼玉県衛生研究所水・食品担当)
研究分担者(所属機関)
  • 井部 明広(東京都健康安全研究センター)
  • 丹野 憲二((財)日本食品分析センター)
  • 中澤 裕之(星薬科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
畜水産食品の安全性を確保するため、多くの抗菌性物質を一括して分析できる試験法の確立が必要とされている。微生物学的試験法は、阻止円の有無を観測することにより抗菌性物質の残留の有無をスクリーニングすることが可能である。そこで本研究では、残留抗菌性物質の迅速且つ検出感度に優れた微生物学的試験法を構築する。また、微生物学的試験法で抗菌性物質の残留が疑われた場合、残留する薬物を特定する理化学的試験法も併せて検討した。更に、特異性の高い抗原抗体反応を利用した、アフィニティーカラムを用いた選択性に優れた試験法の開発も検討した。
研究方法
微生物学的試験法:試験菌として現在公定法に採用されている試験菌及び市販芽胞菌液(Bacillus subtilis BGA,Geobacillus stearothermophilus)を用いた。理化学試験法:HPLC,LC/MS/MSを用いた。
結果と考察
公定法試験菌の代替として市販芽胞菌液の利用が有効であった。次に、畜水産食品中に残留する主な抗菌性物質を一括して検出できる簡易試験法としてメタノール抽出法を構築した。構築した本法を5機関で共同試験を行い、有効性を確認した。また、固相抽出法を用いた簡易な前処理を加えることにより、畜水産物中に含まれる抗菌性物質を精製濃縮し、感度よく多くの抗菌性物質を検出する高感度試験法を構築した。次に、β-ラクタム系、テトラサイクリン系、マクロライド系及びアミノグリコシド抗生物質の高感度な系統別スクリーニング法を構築した。更に、HPLC、LC/MS/MS及びELISA法並びにアフィニティーカラムを用いた選択性に優れた畜水産食品に残留する抗菌性物質の確認法を構築した。
結論
市販芽胞菌液は、公定法試験菌に代えて用いることが可と評価した。5機関による共同試験の結果、主な抗菌性物質を一括して検出できる簡易試験法の有効性を確認した。また、微生物学的試験法で抗菌性物質の残留が疑われた場合の確認法(HPLC、LC/MS/MS及びELISA法)を構築した。本研究事業で構築した試験法は、安全性の高い畜水産食品の流通に寄与するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200734012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
現在,食品中に残留する抗菌性物質の分析法はLC/MS/MSを用いた機器分析法が主流であるが,抗菌性物質の残留の有無をスクリーニングする手法としてより簡易で高感度な微生物学的試験法を開発した。更に微生物学的試験法で陽性が示唆された場合、残留する抗菌性物質を特定する機器分析法等を開発した。
臨床的観点からの成果
本研究事業は、臨床的な成果を得るものではない。
ガイドライン等の開発
今後,通知試験法として採用されるよう成果をまとめる予定である。
その他行政的観点からの成果
今後,通知試験法として採用されるよう成果をまとめる予定である。
その他のインパクト
今後,通知試験法として採用されるよう成果をまとめる予定である。

発表件数

原著論文(和文)
7件
市販芽胞菌を採用した簡易検査法及び高感度検査法等を投稿した。
原著論文(英文等)
1件
微生物学的検査法では感度の低いアミノグリコシド抗生物質について,LC/MSによる機器分析法を投稿した。
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
20件
日本食品衛生学会,日本薬学会等で発表。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
堀江正一,小林晴美,石井里枝 他
微生物学的試験法による畜産物中に残留する抗菌性物質の高感度測定法
分析化学 , 56 (12) , 1097-1103  (2007)
原著論文2
堀江正一,小林晴美,石井里枝 他
食肉中に残留する抗菌性物質の微生物学的簡易検査法
食品衛生学雑誌 , 49 (3)  (2008)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-