保健・医療関連行為に関する国際分類の我が国への適用のための研究

文献情報

文献番号
202002002A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療関連行為に関する国際分類の我が国への適用のための研究
課題番号
19AB1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
川瀬 弘一(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岩中 督(東京大学 医学部附属病院)
  • 波多野 賢二(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカル・センター 情報管理解析部 データマネジメント室)
  • 高橋 長裕(千葉市立青葉病院)
  • 小川 俊夫(学校法人摂南大学 農学部食品栄養学科)
  • 斉藤 宗則(明治国際医療大学鍼灸学部)
  • 阿部 幸喜(独立行政法人地域医療機能推進機構 船橋中央病院 整形外科)
  • 荒井 康夫(北里大学 大学病院 医療情報管理室 診療情報管理課)
  • 横堀 由喜子(一般社団法人日本病院会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 世界保健機構WHOの国際統計分類ファミリー(WHO-FIC)は,健康と福祉に関する情報、および個人や集団に提供される医療行為に関する幅広い情報をコーディングすることで、標準化された共通言語として提供している。国際統計分類の中心分類として、国際疾病分類(ICD)と国際生活機能分類(ICF)、保健・医療関連行為に関する国際分類(ICHI)を設けている。ICD、ICFはすでにWHOで承認されているが、ICHIは現在開発中である。ICHIは保健・医療関連行為すべてをカバーした分類であり、2020年2月までに行われたフィールドテスト(ICHI-FiT)が行われ、その結果分析からICHI Beta-3版に修正しICHI online browser に公開している。
 本研究の目的は、ICHIの開発及び我が国への活用方法を検討することである。ICHI開発については、WHO-FICの会議に出席し、最新の情報を収集するとともに、我が国の知見を提案することである。一方で、ICHIの我が国への活用方法については、国内に既にある保健・医療関連行為に関する分類コードとのマッピング作業を継続し、ICHI がWHOで承認される前から国内で円滑にICHIを導入できる体制を整えることである。
研究方法
1)ICHIの動向及びICHI-FiTの検証
 今年度のWHO-FICの活動について記述する。また我が国から多くの診療情報管理士が参加したICHI-FiTの結果を分析する。
2)ICHIの我が国への活用方法
 ICHIの教育、普及のための方法を検討する。
結果と考察
1)ICHIの動向及びICHI-FiTの検証
 WHO-FIC中間会議は2020年4月にWEBで開催され、ICHI Beta-3には、ICHI Platformに追加された580件のコメントより189件が採用となり、修正されたことが報告された。またICHI-FiTにおいても2,837件のコメントが寄せられ、これらのコメントがレビューされ、適切な変更が加えられたと報告があった。
 一方で、ICHI-FiTの結果が非常に悪かったPublic Health interventionsについては、標準的な言葉、用語のない新しい分類であり、ICHIにおいて公衆衛生領域のための共通言語の開発に向けた一歩であると前向きにとらえて、ICHI Beta-3版には大幅な修正が加えられたことも報告された。
 2020年10月のWHO-FIC年次会議では、ICHI-FiTの結果を基に修正されたICHI Bata-3版の詳細が報告された。我が国からは「ICHI Beta-2 2019版フィールドテストにおける日本でのコーディング上の問題点の分析」という演題名で報告した。その内容は診療情報管理士が現時点でどの程度正しくICHIをコーディングできるかを検討し、ICHI-FiTの正解率は53.0%であったが、Stem Codeだけに限定すれば正解率は67.9%まで上昇、またExtension Codesを付記する問題の多いMedical-surgical interventionでは57.8%から77.6%と上昇した。公衆衛生領域の問題は24.5%と特に正解率が低かった。我が国でICHIを普及させるにあたり、大きな問題点は、公衆衛生関連の医療行為に対して正しくコーディングできるようになることと、Extension Codesを付記しなければならない場合では正しいExtension Codesを選択できるようになることであり、ICHIの教育システムを構築していくと報告した。WHO-FICとしては、これらテスト結果や数多くの分析検討内容を反映させたICHI final版を作成し、WHOでの承認を目指すことが再確認された。
2)ICHIの我が国への活用方法
 我が国へのICHIの活用及び普及に向けて具体的な方法の立案を行った。多くの保健・医療関係者にICHIの理解を深めてもらうため、ICHIテキストを作成。このテキストは、①ICHIの基本概念、およびその構造について、②ICHI コードの事例紹介の2部形式で構成され、事例紹介では136例に対する具体的な検索方法を提示した。事例紹介のなかにはExtension Codes を付記する事例も29例掲載している。作成には研究代表者、分担者以外にICHI-FiTに参加し正解率の高かった診療情報管理士にも執筆を依頼した。
結論
 ICHIは未だ開発途中であり、完成には至っていないが、近い将来にWHO総会で採択されるものと期待される。今後は我が国での使用についての議論が必要だが、現段階では今回作成したICHIテキストが日本語版ICHIの教育・普及のための教材の基本となることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202002002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 42,790円
人件費・謝金 0円
旅費 56,530円
その他 2,400,680円
間接経費 500,000円
合計 3,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
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