入院医療の評価のためのDPCデータの活用及びデータベースの活用に関する研究

文献情報

文献番号
202001016A
報告書区分
総括
研究課題名
入院医療の評価のためのDPCデータの活用及びデータベースの活用に関する研究
課題番号
20AA2005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科)
  • 今中 雄一(京都大学 医学研究科)
  • 阿南 誠(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部)
  • 康永 秀生(東京大学 大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
  • 藤森 研司(東北大学 大学院医学系研究科 公共健康医学講座医療管理学分野)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
  • 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
57,180,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DPC/PDPSの対象病院は、平成30年4月には約1,730 病院となり、急性期一般入院基本料等に該当する病床の83%を占め、急性期入院医療において重要な役割を持つ。また、DPCデータの提出を行う病院は4500を超え、入院医療の評価への有用性が期待されている。このため、DPCを活用した医療政策を検討するにあたり、DPC対象病院で使用する診断群分類点数表の見直しだけでなく、今後は回復期や慢性期を含む入院医療全体の評価への活用も求められる。また、健保法の改正によりDPCデータの第三者提供の提供範囲が令和2年度より拡大することや、令和2年度からDPCデータのなかで収集する、カナ氏名、性別、生年月日から生成する共通ハッシュやそれを用いて令和4年度から開始する予定のデータベースの連結解析体制の運用開始にむけ、適切な運用がなされるように必要な研究を行う。
以上を踏まえ、3つの目的を設定する。
① 適切な診断群分類作成のための研究
② DPCデータの連結解析や第三者提供に関する研究
③ DPCデータを活用した入院医療の評価に関する研究
研究方法
厚生労働省DPC調査データを医療機関と個別に守秘義務契約を結んだ上で収集し、分析資料とした。
上記分析、検討について、以前の研究と同様に引き続き、保険局医療課と定期的に1か月に1回程度の合同班会議を開催し、時期に応じた課題について意見交換・議論を行うと共に、進捗状況を確認しながら、研究を進めた。
結果と考察
昨年度までの研究に引き続き、パブリック・クラウドサービスを利用して研究班ホームページを作成し、1332病院から4年間で延べ3229万人の暗号化したDPC調査データファイルを安全かつ効率的にデータベース化して研究を進めた。
①適切な診断群分類作成のための研究
 現行のDPC/PDPS制度での定義テーブルでのICD-10コードをICD-11へのマッピングを行い、その過程で把握出来た課題を明らかにして、どのような対策が必要になるか検討するとともに、分析用データセットの再作成を行うとともに、令和2年度分のデータについて半年分を先行して作成し、COVID-19関連の研究環境を整備した。
②DPCデータの第三者提供に関する研究
DPC制度の適正運用とDPC データ活用促進のためのセミナーを病院関係者および地方行政担当者向けに計2回のセミナー実施し、述べ300人程度の受講者があった。研究班の研究成果の報告に関する講義とパソコン用いた実習形式の演習を行った。DPCデータ分析の普及、啓発のために、詳細な薬効分類等を含むレセプト電算コードマスター、手術コードマスター等の分析用マスターを整備し、配布した。
③DPCデータを活用した入院医療の評価に関する研究
ICU入室時のSOFAスコアを分析し、SOFAスコアの改善度と滞在日数には一定の関係がみられたものの、我が国のICUの利用の多様性を認め、SOFAスコアを利用したICUの評価の必要性が示唆された。救急車による搬送による入院についてDPCコードの出現頻度を分析した結果から、高齢化の進行とともに、後期高齢者の救急が急増し、肺炎、尿路感染症、骨折、脳血管障害などが大きく増加すると予想され、高齢者に多発する急性期イベントの対策が重要な課題と考えられた。COVID-19感染拡大下におけるCOVID-19診療が退院時の連携を必要とする患者の診療へ与える影響を検証した結果、COVID-19を診療していない病院において、退院後の連携を必要とするような入院や緊急性の低い入院が抑制された可能性が示唆された。DPCデータを活用した医療の質と効率性・医療費の評価では、DPCデータを利用し、医療の質や効率性を可視化するため、DPCデータ個票を活用して分析を行い、病院ごとQIを算出し、全国での病院間比較を実施した。DPCデータを用いた臨床疫学研究では、原著英文等多数報告した。日本におけるCOVID-19感染症入院患者の特徴を分析したところ、我が国の院内死亡率は全体的に低く、年齢およびBMI>30kg/m2は,酸素補給および院内死亡のリスク増加と関連していた。COVID-19感染症の流行が日本の脳卒中患者の緊急入院に及ぼす影響を分析したところ、入院後24時間死亡者が増加し、重症度が高くなっていたが、入院患者数や全体のベースライン特性に変化はなく、全体の死亡数も変化がなかった。
結論
本研究は、DPC診断群分類の今後の維持・整備手法を明らかとし、令和4年度以降の改定手法の基盤を提供するとともに、DPC包括評価の妥当性の確保につながる分析と考えられた。本研究の成果はDPC制度の基盤となるコーディングデータの正確性の確保、DPC分類の精緻化の継続的な推進手法の確立、機能評価係数などのDPC包括評価の基本的な考え方を示すものといえる。

公開日・更新日

公開日
2023-04-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-08-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202001016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
61,180,000円
(2)補助金確定額
61,180,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,244,628円
人件費・謝金 4,782,166円
旅費 94,220円
その他 39,075,929円
間接経費 4,000,000円
合計 61,196,943円

備考

備考
・消耗品がやや多く必要であったため、自己資金を追加で使用したため
・追加交付額:19,180,000円あり

公開日・更新日

公開日
2022-07-15
更新日
-