既存添加物の成分と品質評価に関する研究

文献情報

文献番号
200734006A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物の成分と品質評価に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 壮(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 秋山 卓美(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 天倉 吉章(松山大学 薬学部)
  • 尹 永淑(東京薬科大学 生命科学部)
  • 黒柳 正典(県立広島大学 生命環境学部)
  • 永津 明人(金城学院大学 薬学部)
  • 李 貞範(富山大学 薬学部)
  • 受田 浩之(高知大学 農学部)
  • 服部 征雄(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
  • 松本 清(九州大学大学院 農学研究院)
  • 大塚英昭(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存添加物の成分規格の整備が遅れている。本研究では、特に成分研究が遅れている酸化防止剤、苦味料、増粘多糖類、ガムベースに重点を置き、添加物の有効性(活性)を測定する手法を積極的に利用することによって含有成分を解析して、品質評価の指標となる成分を明らかにし、既存添加物製品の品質や機能特性を評価する方法を開発する。
研究方法
酸化防止剤の抗酸化活性測定法を評価した。苦味料の苦味強度を官能試験と味覚センサーで比較した。添加物製品の含有成分を単離し、各種機器分析と活性測定を行った。既存添加物の自主規格作成を業界に依頼した。
結果と考察
酸化防止剤 1)抗酸化力価測定法の開発:3種類の抗酸化力価測定法の標準試験操作法を天然酸化防止剤に適用し、検証した。また、2種類の抗酸化剤を混合したときの併用効果は相加的であると考えられた。2) 複数成分からなる天然酸化防止剤の成分解析と成分分析法の開発:チャ抽出物およびローズマリー抽出物に含まれる抗酸化活性を担う成分を明らかにした。ブドウ種子抽出物中のプロアントシアニジン画分の抗酸化活性を測定した。γ-オリザノールの定量法として定量NMR法の有用性を示した。
苦味料 1) 味覚センサーの利用に関する基礎的検討:味覚センサーの応答が低い苦味化合物は、一部の化合物を除いてはヒトの舌での感度も低いことが分かった。また、味覚センサーの苦味項目値の算出式を再検討し、従来は味覚センサーで測定されなかった物質も苦味強度を示せる可能性が得られた。レイシ抽出物、ヒメマツタケ抽出物を用い、レーダーグラフを用いた味パターンの測定により、抽出物(混合物)中で味覚センサーの応答に寄与する成分を判別できることが分かった。2) 苦味料の成分研究:レイシ抽出物、ヒメマツタケ抽出物、ニガヨモギ抽出物の成分解析を行った。ジャマイカカッシア抽出物の国内流通製品は、アメリカニガキから調製した抽出物と成分が類似していた。
増粘多糖類 ガラクトースを含む増粘多糖類としてグアーガム、カロブビーンガム、カシアガムを対象とし、その糖鎖化学構造を解析した。
ガムベース テルペノイドが主成分とされるマスチック、ダンマル樹脂、ニュウコウ、ベンゾインガム、エレミ樹脂、ロシン、コーパル樹脂について、メタノール抽出物のUPLC/MS分析が確認試験法として有用であることを示した。
結論
含有成分の解明が遅れている既存添加物品目の成分情報と品質評価のための新たな分析手法の原型を作成できた。

公開日・更新日

公開日
2008-05-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200734006B
報告書区分
総合
研究課題名
既存添加物の成分と品質評価に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 壮(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 秋山 卓美(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 天倉 吉章(松山大学 薬学部)
  • 尹 永淑(東京薬科大学 生命科学部)
  • 黒柳 正典(県立広島大学 生命環境学部)
  • 永津 明人(金城学院大学 薬学部)
  • 李 貞範(富山大学 薬学部)
  • 受田 浩之(高知大学 農学部)
  • 服部 征雄(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
  • 松本 清(九州大学大学院 農学研究院)
  • 大塚 英昭(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存添加物の成分規格の整備が遅れている。本研究では、特に成分研究が遅れている酸化防止剤、苦味料、増粘多糖類、ガムベースに重点を置き、添加物の有効性(活性)を測定する手法を積極的に利用することによって含有成分を解析して、品質評価の指標となる成分を明らかにし、既存添加物製品の品質や機能特性を評価する方法を開発する。
研究方法
酸化防止剤の抗酸化活性測定法を評価した。苦味料の苦味強度を官能試験と味覚センサーで比較した。添加物製品の含有成分を単離し、各種機器分析と活性測定を行った。
結果と考察
酸化防止剤 1)抗酸化力価測定法の開発:DPPHラジカル消去活性測定法、ABTSラジカル消去活性測法、スーパーオキシドアニオン消去活性測定法に基づく食品添加物の抗酸化力価測定法の標準試験操作法の原型を作ることができた。2) 複数成分からなる天然酸化防止剤の成分解析と成分分析法の開発:ソバ抽出物、カンゾウ油性抽出物、ユーカリ葉抽出物、ブドウ種子抽出物、γ-オリザノール、チャ抽出物、ローズマリー抽出物に含まれる抗酸化活性成分の同定、HPLC分析法の開発、成分ごとの抗酸化活性測定を行った。
苦味料 1) 味覚センサーの利用に関する基礎的検討:味覚センサーの応答パターンから、含有される苦味成分の基本化学構造がある程度推測できた。また、味覚センサーの苦味項目値の算出式を再検討し、従来は味覚センサーで測定されなかった物質も苦味強度を示せる可能性が得られた。2) 苦味料の成分研究:ヒキオコシ抽出物、ニガヨモギ抽出物、ジャマイカカッシア抽出物、レイシ抽出物、ヒメマツタケ(アガリクス)抽出物の成分を解析した。
増粘多糖類 硫酸化多糖類を含む増粘多糖類とガラクトースを含む増粘多糖類の糖鎖化学構造を解析し、増粘多糖類の基本的化学構造情報を得た。また、増粘多糖類の構成糖組成分析法を検討し、ジエチルジチオアセタール誘導体化してGC分析することで、糖組成の違いにより品目間の区別を行うことができた。
ガムベース テルペノイドを主体とする品目とワックスを主体とする品目に分けて、その成分解析と分析法の開発を行った。簡便な確認試験として利用できるTLC分析法、および含有成分確認のためのGC/MS分析法とLC/MS分析法を開発した。
業界自主規格作成 既存添加物の自主規格作成を業界に依頼した。
結論
含有成分の解明が遅れている既存添加物品目の成分情報と品質評価のための新たな分析手法の原型を作成できた。

公開日・更新日

公開日
2008-05-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200734006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)DPPHラジカル消去活性測定法、ABTSラジカル消去活性測法、スーパーオキシドアニオン消去活性測定法に基づく食品添加物の抗酸化力価測定法の標準試験操作法の原型を作ることができた。また、2種類の抗酸化剤を混合したときの併用効果はおおむね相加的であると考えられた。
2)味覚センサーの応答パターンから、含有される苦味成分の基本化学構造がある程度推測できた。また、味覚センサーの苦味項目値の算出式を再検討し、従来は味覚センサーで測定されなかった物質も苦味強度を示せる可能性が得られた。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
1)含有成分の解明が遅れている既存添加物品目の中でも特に成分研究が遅れている酸化防止剤、苦味料、増粘多糖類、ガムベースに重点を置いて研究したが、それらの成分情報と品質評価のための新たな分析手法の原型を作成できた。業界独自で自主規格作成が困難と思われる品目を中心に基礎情報が得られたので、今後の成分規格案作成に活かすことが期待できる。
2)食品添加物の抗酸化力価測定法を一般試験法に導入するための技術的めどがついた。酸化防止剤の規格試験法として期待できる。
その他のインパクト
これまでの既存添加物成分規格では有効性評価が軽視されてきた。有効性を担保できる成分規格を作成する観点から含有成分研究や有効性(活性)測定法の開発を行うという発想に先鞭を付けることができた。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
20件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tada,A., Jin, Z.L., Sugimoto,N., et al.
Analysis of the constituents in jojoba wax used as a food additive by LC/MS/MS
J.Food Hyg. Soc. Japan , 46 , 198-204  (2005)
原著論文2
Sugimoto,N., Kuroyanagi,M., Kato,T., et al.
Identification of the main constituents in sandarac resin, a natural gum base
J. Food Hyg. Soc. Japan , 47 , 76-79  (2006)
原著論文3
金 哲龍、多田敦子、杉本直樹、他
既存添加物ウルシロウの成分分析
食品衛生学雑誌 , 47 , 167-172  (2006)
原著論文4
Sugimoto,N., Koike,R., Furusho,N., et al.
Quantitative nuclear magnetic resonance spectroscopic determination of the oxyethylene group contents of polysorbates
Food Additives and Contaminants , 24 , 799-806  (2007)
原著論文5
Maruyama,T., Sugimoto,N., Kuroyanagi,M., et al.
Authentication and chemical study of Isodonis Herba and Isodonis extracts
Chemical and Pharmaceutical Bulletin , 55 , 1626-1630  (2007)
原著論文6
Uekusa,Y., Sugimoto,N., Yun,Y.S., et al.
Neocrocin A: a novel crocetin glycoside with a unique system for binding sugars isolated from gardenia yellow
Chemical and Pharmaceutical Bulletin , 55 , 1643-1646  (2007)
原著論文7
多田敦子,増田愛乃,杉本直樹,他
既存添加物エステル系ガムベースの成分分析
食品衛生学雑誌 , 48 , 179-185  (2007)
原著論文8
島村智子、松浦理太郎、徳田貴志、他
酸化防止剤力価評価のための各種抗酸化活性測定法の共同試験
日本食品科学工学会誌 , 54 , 482-487  (2007)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-