児童虐待対応におけるリスクアセスメントのためのデータ収集基盤構築とAIを活用したリスク評価に向けた研究

文献情報

文献番号
202001004A
報告書区分
総括
研究課題名
児童虐待対応におけるリスクアセスメントのためのデータ収集基盤構築とAIを活用したリスク評価に向けた研究
課題番号
19AA1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 昂太(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 光司(産業技術総合研究所 人工知能研究センター)
  • 本村 陽一(産業技術総合研究所 人工知能研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,029,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
児童虐待対応における対応判断は、組織体制や環境変化に由来せず「子どもの安全」の視点から一貫した対応が求められる。しかし、現場では、業務逼迫や職員異動等により、児童相談所における各種対応判断にも変化が生じていると考えられる。本研究では児童の安全を継続的に確保するため、「虐待の再発(継続)」を考慮した対応判断や「一時保護の実施」に係る意思決定を支援するAI開発と現場使用に関する探索的な研究を行う。
研究方法
【課題1】過去の保護判断履歴を高い精度で再現可能な機械学習モデルの構築

【課題2】リスク項目への該当状況が「不明」の場合への対応として、XGBoostにより調整を行う

【課題3】「誤予測」の可能性を考慮した技術設計と活用方法の検討
結果と考察
【課題1】XGBoostにより、ミスの少ない、一貫した一時保護判断を実現した。
過去の一時保護判断が常に妥当であったとは限らないため、“要保護”に相当する情報を予測対象とした研究が必要である(ただし、本事業範囲外であるため、業務整理に合った研究事業が求められる)。

【課題2】現場で「はい」「いいえ」よりも「不明」を選びやすい回答実状を踏まえた調整を行い、実用性の向上を図った。
現在、リスクデータをデジタルデータで時系列情報として保持している自治体は限られるため、本事業で開発したAIは特定の自治体に適用が限定される可能性がある。水平展開のためには、個別自治体でのデータ蓄積と検証が必要となる。

【課題3】機械学習は「一定の割合で間違う」ことが前提の技術であるため、Bayesian Deep learningにより誤った判断補助の可能性を、精度担保以外の方法を併用し最大限排除した。
誤予測の可能性を考慮したAI(Bayesian Deep Learning)の精度(AUC−PR)の向上と、そのための(解析的に大規模な)パラメータチューニングが求められる。

結論
AI研究開発以前に、そもそも現場で業務判断のバラツキが非常に多くあると考えられる。同じ都道府県内でも児童相談所が複数あった時にその対応方法や業務フロー、所長の判断なども異なっており、データとしても信頼性を保ちうるものなのか疑問が生じ得る。
良質なデータを集め、かつ現場の判断の質の向上を行うためには、データ解析結果を現場にフィードバックして業務改善につなげたり、データを参照してチームの強みを伸ばす・または弱い点を補強するための研修を戦略的に取り組んだりする必要があるだろう。

公開日・更新日

公開日
2021-08-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-08-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202001004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,237,000円
(2)補助金確定額
5,237,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 4,028,434円
旅費 566円
その他 0円
間接経費 1,208,000円
合計 5,237,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-05-31
更新日
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