じん肺健康診断におけるエックス線デジタル撮影画像の活用に関する研究

文献情報

文献番号
200733023A
報告書区分
総括
研究課題名
じん肺健康診断におけるエックス線デジタル撮影画像の活用に関する研究
課題番号
H19-労働-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
村田 喜代史(国立大学法人滋賀医科大学 放射線医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 相澤好治(北里大学医学部 衛生学公衆衛生学講座)
  • 岸本卓巳(独立行政法人労働者健康福祉機構 岡山労災病院)
  • 坂谷光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 日下幸則(福井大学医学部 環境保健学講座)
  • 志田寿夫(独立行政法人労働者福祉機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 じん肺健康診断においては胸部エックス線写真が管理区分決定に必須であるが、現在、胸部エックス線写真の撮影法がフィルム・スクリーン方式からCRあるいはDRといったデジタル画像に急速に置き換わりつつあり、近い将来にはフィルムレスのモニタ診断のみになると考えられている。そこで、デジタル画像をじん肺健康診断に活用する場合の種々の課題について検討を加えることを研究目的とした。
研究方法
 国際的なデジタル画像の活用状況を調査研究するために、文献検索とともに、国際シンポジウムから情報を収集した。また、じん肺診断におけるDR画像利用の妥当性を再度検証するために、異なった読影者における読影実験を行った。さらに、モニタ診断におけるデジタルデータそのものの標準化が必要と考えられることから、その現状を各社データや文献を基に検討した。一方、デジタル撮影では、撮影条件が画質に反映されないので、現状のデジタル撮影における照射線量測定のための基礎的ファントーム実験を行った。
結果と考察
 じん肺画像診断におけるデジタル化は国ごとに状況は異なるが、すでにじん肺スクリーニングにモニタ診断まで認可している国があることが明らかになった。我が国においても、推奨条件を満たすCR,DR画像をじん肺健康診断に用いることが公式に認められているが、その妥当性についての追加読影実験では、じん肺エックス線分類に精通していることが望ましいものの、臨床経験の豊富な医師ではアナログ画像とデジタル画像で、ほぼ同等の判定が下せることが確認された。モニタ診断になる場合、どのモニタでも同様の画像が得られるようなシステムが必要になると考えられるが、これに対してはDICOM Part 14で定義されるグレースケール標準表示関数に基づいた機器の対応が重要になることが明らかになった。一方、デジタル画像では被曝線量が低減されるように考えられていたが、ファントームにおけるフォトタイマーを用いた実測では、デジタル撮影の線量がアナログ撮影より1.5倍多いことが明らかになった。今後、デジタル画像の画質評価には線量を同時に考慮することが重要であると考えられた。
結論
 じん肺健康診断におけるデジタル画像の活用に関しては、現在、国際的に標準化をめざす動きが活発となっているので、日本においても、これらの検討に利用できるデータ収集とともに、国際標準のじん肺デジタル標準写真の作成が急務と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
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