労働者の自殺予防に関する介入研究

文献情報

文献番号
200733019A
報告書区分
総括
研究課題名
労働者の自殺予防に関する介入研究
課題番号
H18-労働-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
島 悟(京都文教大学人間学部臨床心理学科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒木 宣夫(東邦大学佐倉病院精神科)
  • 森 晃爾(産業医科大学実務研修センター)
  • 廣 尚典(産業医科大学生態科学研究所産業精神保健学)
  • 田中克俊(北里大学医学部精神保健学)
  • 數川 悟(富山県心の健康センター)
  • 北條 稔(北條医院)
  • 井上幸紀(大阪市立大学神経精神医学)
  • 飯島美世子(島根大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,特に中小規模事業場における労働者の自殺を防止する方策を検討することである。
研究方法
1.自殺予防に関するコホート研究。2.派遣労働者のメンタルヘルスと希死念慮に関する調査研究。3.抑うつ気分を主訴に精神科受診した労働者を対象とした職業性ストレス状況調査。4.ハローワークを利用する転職希望者に関する調査。5.精神科医を対象とした自殺に関する調査-中間報告-。6.労災請求された自殺事例の分析、7.総合病院精神科外来における自殺事例の検討。8.労働者の自殺リスクと転帰に関する研究(第1報)。9.EAP機関における事例からみる自殺予防対策に関する検討。10.労働者の自殺に関する調査-救急医療の現場から-。11.自殺予防対策における管理監督者研修の教材の評価に関する検討、12.過重労働面接の有用性に関する検討。13.産業医による長時間労働者に対する面接指導に関する研究―面接指導チェックリストの有用性の検討―。14.リワーク支援からみた職場復帰支援モデルの検討(第一報)、15.国内外の自殺予防対策に関する文献研究
結果と考察
1.3.9%の事業場において自殺者・自殺未遂者が発生していた。2.自殺未遂の既往は男性3.6%,女性7.7%であった。3.労働者の抑うつ気分を低減することに仕事外要因よりも特定の職業性ストレスが関連していた。4.希死念慮が73.0%,自殺企図が19.1%であった。5.主治医として経験した自殺例数の平均値は0.451例であった。6.認定事例では,業務量も増大したために与えられたノルマを達成出来なかった。7.自殺既遂が3例,自殺未遂が延47例であった。8.労働者である初診の20.5%にに自殺念慮を認めた。9.自殺事例19例では、就業中52.6%、休業中15.8%、退職5.3%であった。10.労働者では適応障害が43.9%と多かった。11.理解度,現場での有用性とも,高い評価が得られた。12.面接実施率の平均値は66.9%であった。13.自覚的な疲労蓄積度が高い群は時間外労働が80時間程度であった。14.復職し就労を継続していることが確認されている者が81.8%であった。15.職域における自殺予防対策では,ポピュレーションアプローチが用いられていた。
結論
労働者の自殺対策においては重層的で多面的な施策が必要であると考えられる。労働者個人への対応とともに、とりわけ職場環境への働きかけが重要である。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-