非石綿ガスケットの高温密封性能の評価と試験方法の開発

文献情報

文献番号
200733018A
報告書区分
総括
研究課題名
非石綿ガスケットの高温密封性能の評価と試験方法の開発
課題番号
H18-労働-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
辻 裕一(東京電機大学工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 尚((独)労働安全衛生総合研究所・産業安全研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 各種プラントの配管継手や機器フランジに多用されているガスケットは,石綿含有製品製造等の禁止の適用が例外的に猶予されている.非石綿ガスケットへの代替化促進の鍵は,プラント運転時の高温における長期間のガスケットの性能・品質に関する信頼性データの収集・提供である.
 本研究では,標準的な高温ガスケット密封性能試験法の開発・規格化を進める.試験結果を利用し,フランジ継手からの微少漏洩管理をするための最適なガスケット係数の表示方法を非線形有限要素解析に基づき検討する.これらの成果に基づき,代替品選択のための指針の提供を中立研究機関の立場から行う.
研究方法
 高温ガスケット密封性能試験J-EHOTの試験手順を確定させ,規格化のための規格原案を策定する.この試験法は,実際のプラント運転状況を想定しているところに特徴がある.
 一方,高温下における非石綿ガスケットの寿命予測を目的に,ガスケットの高温クリープ特性に3次元粘弾性モデルを適用する.フランジ継手に関して非線形有限要素解析を実行し,ガスケットのクリープ/リラクゼーションによるボルト軸力低下および内部流体漏洩につながるリスクを評価する.
結果と考察
 J-EHOTでのプラント運転時の外乱を想定した試験シーケンスを決定した.延伸PTFEシートガスケットについて180℃でJ-EHOTを実施したところ,試験全体を通して,一定の密封性能が保たれていることが確認できた.高温においても漏洩量をガスケット変位で整理が可能であることを明らかにした.
 フランジ継手の非線形有限要素解析結果は,ボルトに曲げが作用すること,ガスケットの応力分布からフランジにも曲げが作用することを示している.ガスケットの高温クリープ特性を3次元粘弾性モデルで評価すると,一定のひずみに収束する粘弾性成分と時間の経過とともに増加する体積変化成分に分離することができた.
結論
 高温ガスケット密封試験法の規格原案の策定を行った.これに基づき,各種ガスケットの高温漏洩特性を明らかにした.本試験を系統的に実施する準備が整った.ガスケットの寿命予測に関しては,体積ひずみの変化でガスケットの劣化を評価できれば,寿命を推定できる見込みが得られた.非線形有限要素解析結果は,実験とも一致し,応力分布も妥当である.今後,最適な高温寿命予測モデルを開発するとともに,科学的根拠を有するガスケット係数の決定を行う.

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
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