文献情報
文献番号
200733017A
報告書区分
総括
研究課題名
石綿ばく露による健康障害のリスク評価及びリスクコミニケーションに関する研究
課題番号
H18-労働-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
森永 謙二(独立行政法人労働安全衛生総合研究所健康障害予防研究グループ)
研究分担者(所属機関)
- 三浦 溥太郎(横須賀市立うわまち病院 )
- 審良 正則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
- 高田 礼子(聖マリアンナ医大予防医学)
- 田村 猛夏(独立行政法人国立病院機構奈良医療センター)
- 安達 修一(相模女子大学芸学部公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1)胸膜プラークや石綿肺は石綿ばく露の医学的所見として特異的であり、かつ中皮腫及び肺がんのリスク要因である。但し、これらの医学的所見を把握するためには胸部エックス線のみならず胸部CTが有用であるが、本邦では報告が少ない。石綿製品製造工場従事者の退職者、その家族、工場に出入りしていた業者、工場近隣に長く居住していた住民を対象に、これらの有所見率を明らかにする。
2)石綿のリスクコミニケーションのあり方を検討するために、住民を対象に石綿に対するリスク認識等に関するアンケート調査を実施する。
2)石綿のリスクコミニケーションのあり方を検討するために、住民を対象に石綿に対するリスク認識等に関するアンケート調査を実施する。
研究方法
1)については2つの集団を対象とした。第一は石綿製品製造工場(主にアモサイトとクリソタイルを使用)にかつて従事していた従業員、第二は石綿製品製造の2工場(クロシドライト、クリソタイル使用)の元従業員およびその家族、その工場に出入りしていた業者、近隣住民を対象に実施された胸部エックス線(一部については胸部CTのフィルムも)のフィルムを経験ある複数の医師が読影し、胸膜プラーク及び石綿肺の所見の有無について調査した。元従業員の従事歴(従事開始時期、従事期間等)、それ以外の対象者の石綿ばく露等に関する事項はともに問診で得られた情報を用いた。
2)2年間で、関西、関東及び韓国の大学生及び石綿曝露関係者を対象に石綿のリスクに関する自記式アンケートを作成し、実施した。
2)2年間で、関西、関東及び韓国の大学生及び石綿曝露関係者を対象に石綿のリスクに関する自記式アンケートを作成し、実施した。
結果と考察
1)退職労働者137人中57人(41.6%)に胸部単純レントゲン検査だけで胸膜プラークを認めた。別の石綿工場離職者538人、家族84人、出入り業者33人、周辺住民234人を対象とした調査では、胸膜プラークの有所見率は、離職者66.4%、家族40.5%、出入り業者60.6%、周辺住民18.8%であった。石綿肺(1型以上)は離職者の4.8%に認められた。
2)クボタから遠い関東の女子大生の方が、また韓国の方が石綿の危険度や認識が低く、マスコミの情報量の違いが反映しているものと推測された。石綿に直接関与した当事者では、治療法や除去工事に関する情報等、具体的な課題が大事であると捉えていた。
2)クボタから遠い関東の女子大生の方が、また韓国の方が石綿の危険度や認識が低く、マスコミの情報量の違いが反映しているものと推測された。石綿に直接関与した当事者では、治療法や除去工事に関する情報等、具体的な課題が大事であると捉えていた。
結論
1)経験豊かな医師が読影した結果では、石綿製品製造工場の元従業員、出入り業者、元従業員の家族、周辺住民の順に胸膜プラークの有所見率は高かった。
2)石綿に関するリスクコミニケーションの調査については、端緒についたばかりであり、今後、この方面の研究と対策を充実させる必要がある。
2)石綿に関するリスクコミニケーションの調査については、端緒についたばかりであり、今後、この方面の研究と対策を充実させる必要がある。
公開日・更新日
公開日
2008-06-02
更新日
-