産業現場における情報伝達の齟齬が災害発生機序に及ぼす影響に関する研究

文献情報

文献番号
200733010A
報告書区分
総括
研究課題名
産業現場における情報伝達の齟齬が災害発生機序に及ぼす影響に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石田 敏郎(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 神田 直弥(東北公益文科大学 公益学部)
  • 中村 隆宏(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
  • 高木 元也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業現場のコミュニケーションエラー(以下CE)として建設作業現場のCEをテーマとした.平成17年度は建設作業者を対象とした質問紙調査により,CEの頻度,ヒヤリハット経験頻度に関して職位,年齢,経験年数による意識の違いを明らかにした.平成18年度は質問紙調査の結果をもとにCE誘発実験を行いCEの発生状況を実験的に検討するとともに,現場調査を行い建設作業現場でのコミュニケーションの実態を明らかにした.平成19年度は平成18年度と同様の現場調査を行うとともに,建設作業者が作業場面のリスクをどのように知覚し,危険情報をどのように伝達するかをリスク知覚とその伝達に関する実験として検討した.
研究方法
CE誘発実験では模擬的な作業現場において質問紙調査で明らかとなったCEの背後要因を実験条件(経験者あり条件,悪環境条件)として2チーム(1チーム2名で構成)による共同作業を行いCEの発生状況などを検討した.CE誘発実験は平成18年度の後半に行い平成19年度の前半に詳細な分析を行った.またリスク知覚とその伝達に関する実験では建設作業者に作業現場の写真を提示し,注視行動を測定するとともにハザード知覚,リスク知覚,対処,伝達行動に関する口頭質問などを行った.
結果と考察
CE誘発実験では経験者が含まれることにより被験者の行動が異なり,CE発生率は全体的に低下するものの同じチーム内での送信者のCEは依然として発生することが明らかとなった.現場調査では平成18年度と同様に作業者の職位により発話内容が異なり,危険を伴う作業にも関わらず安全に関する発話が少なかった.リスク知覚とその伝達に関する実験ではリスク知覚には属性,作業現場での作業経験はほとんど影響せず,多くの場面で事故の起きやすさ,危険度の低い場面ではケガの重大さが危険度の評価に影響した.他の作業者への伝達行動については年齢が高く経験年数が長いほど,あるいは,管理的立場(現場所長,職長)であるほど伝達行動をとる傾向にあった.
結論
CE誘発実験では経験者が含まれることでCE発生率は全体的に低下するが,同じチーム内の送信者のCEが依然として発生した.現場調査では職位により発話内容が異なり,安全に関する発話が比較的少なかった.リスク知覚とその伝達に関する実験ではリスク知覚に事故の起きやすさ,ケガの重大さが影響すること,伝達行動には年齢,経験年数,職位が影響する傾向があった.

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200733010B
報告書区分
総合
研究課題名
産業現場における情報伝達の齟齬が災害発生機序に及ぼす影響に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石田 敏郎(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 神田 直弥(東北公益文科大学 公益学部)
  • 中村 隆宏(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
  • 高木 元也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業現場のコミュニケーションエラー(以下CE)として建設作業現場のCEをテーマとした.建設作業現場でのコミュニケーションおよびCEの実態を検討するため,
1.建設作業者を対象とした質問紙調査
2.CE誘発実験
3.現場調査(2現場)
を行った.
また,建設作業者が作業場面のリスクをどのように知覚し危険情報をどのように伝達するかを検討するため,
4.リスク知覚とその伝達に関する実験
を行った.
研究方法
1.では建設作業者約1000名を対象にCEに関する質問紙調査を行った.2.では模擬的な作業現場にて1.で明らかとなったCEの背後要因を実験条件(経験者あり条件,悪環境条件)として2チーム(1チーム2名で構成)による共同作業を行いCEの発生状況を検討した.3.は2箇所の建設作業現場において作業者の作業状況および発話を記録した.また4.では建設作業者に作業現場の写真を提示し,注視行動を測定するとともにハザード知覚,リスク知覚,対処,伝達行動に関する口頭質問を行った.
結果と考察
1.ではCEの危険度の評価は属性による差はなく,頻度は作業者が他職位よりも低く評価した.また24歳以下および経験3年以下の回答者はCEのヒヤリハット経験頻度を低く評価した.作業員または経験20年以上の回答者は頻度と危険度に負の有意な相関が見られた.2.では経験者が含まれることにより被験者の行動が異なり,CE発生率は全体的に低下したが同じチーム内での送信者のCEは依然として発生した.3.では2現場とも作業者の職位により発話内容が異なり危険を伴う作業にも関わらず安全に関する発話が少なかった.4.ではリスク知覚には属性,現場での作業経験はあまり影響せず,多くの場面で事故の起きやすさ,危険度の低い場面ではケガの重大さが危険度の評価に影響した.他の作業者への伝達行動については年齢が高く経験年数が長いほどあるいは管理的立場(現場所長,職長)であるほど伝達行動をとる傾向にあった.
結論
1.ではCEの頻度,ヒヤリハット経験頻度について属性による違いが見られた.2.では経験者が含まれることでCE発生率は全体的に低下するが,同じチーム内の送信者のCEが依然として発生した.3.では職位により発話内容が異なり,安全に関する発話が比較的少なかった.4.ではリスク知覚に事故の起きやすさ,ケガの重大さが影響し,伝達行動に年齢,経験年数,職位が影響する傾向があった.

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200733010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
産業現場として死亡災害の多い建設業に着目し,建設作業現場のコミュニケーションエラー(以下,CE)の発生パターン,背後要因および建設作業者のリスク知覚とその伝達過程を明らかにした.建設作業者のCEに関する意識は職位,経験により異なっていた.CE誘発実験により経験者が含まれるとパフォーマンスが上昇しエラー率が低下するが情報の送信者のエラー率に変化はなかった.また建設作業者のハザード知覚,リスク知覚,危険場面への対処行動,他の作業者への伝達行動には属性,事故頻度などが影響することが明らかとなった.
臨床的観点からの成果
現在はなし
ガイドライン等の開発
現在はなし
その他行政的観点からの成果
現在はなし
その他のインパクト
現在はなし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-