労働曝露推定モデルの開発と検証

文献情報

文献番号
200733009A
報告書区分
総括
研究課題名
労働曝露推定モデルの開発と検証
課題番号
H17-労働-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 誠一郎(独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 小堀 衛(中央労働災害防止協会 労働衛生調査分析センター)
  • 山室 堅治(中央労働災害防止協会 労働衛生調査分析センター)
  • 芹田 富美雄(独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,440,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1、作業環境測定のデータから、簡便な曝露濃度推定モデルを開発する。
2、作業環境濃度と曝露濃度の関係を明らかにする。
3、流体解析モデルと実験場内の実測値の相互比較検討を行い、信頼性の検証を行う。
研究方法
1,曝露濃度測定結果を、作業の重複を含め有機溶剤作業の号別作業区分および揮発性評価コードおよび管理区分で分類し、それぞれのA測定の幾何平均値の平均値、B測定値の最大値、曝露濃度の最大値を抽出し、前年度に作成した曝露推定モデルと比較した。
2、3年間の作業環境濃度と曝露濃度の測定調査により得られたデータから、有機溶剤業務の号別区分間、換気設備の種類間、エアロゾル発生の有無間、作業環境測定の評価結果間で有意差検定を行った。
3,一様な気流を発生させたモデル実験場で気中有機溶剤濃度の実測値とCFD解析結果との比較を行った。また、混合溶剤を用いて気中濃度を測定し、CFDに用いる蒸発速度の推算方法を検討した。
結果と考察
1、作成したモデルの推定上限値と実測の曝露濃度最大値を比較した結果、推定値の上限値を超える例は少なく、曝露濃度測定値の多くが推定上限値以下となった。曝露濃度に直接関連すると思われる有機溶剤の使用量と曝露濃度との相関は小さく、有機溶剤の蒸気圧と曝露濃度の相関が高かった。
2、有機溶剤業務の号別区分、換気設備の種類、エアロゾル発生の有無、作業環境測定の評価結果にかかわらず、作業環境測定濃度から曝露濃度の推定範囲をA測定の幾何平均値から上側5%値又はB測定値の大きな方の値としてよいと考えられた。
3、排気のみを行なっている作業場についてCFD解析を行う場合には、作業場外部を含めて気流の解析をする必要がある。混合溶剤の場合、初年度の蒸発速度が拡散律速となることから、溶剤の蒸発速度を推定する方法を考案し、実測値と良い一致を見た。
結論
曝露濃度の実測値と推定値の比較でもおおよそ推定上限以下であり、また3年間に集積したばく露濃度データにより修正を行ったので、曝露推定モデルによる推定上限濃度を超える可能性はおよそ10%以下である。
曝露濃度の値は、作業環境濃度の以下に示した範囲にあると考えられた。
A測定の幾何平均値 ≦ 曝露濃度の値 ≦ 上側5%値又はB測定値の大きな方の値
CFD解析の補助として、有機化合物を混合して使用した場合でも使用できる濃度推定法を提案した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200733009B
報告書区分
総合
研究課題名
労働曝露推定モデルの開発と検証
課題番号
H17-労働-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 誠一郎(独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 小堀 衛(中央労働災害防止協会 労働衛生調査分析センター)
  • 山室 堅治(中央労働災害防止協会 労働衛生調査分析センター)
  • 芹田 富美雄(独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的は、作業環境測定データに基づく曝露推定モデルを作成することである。
これに伴い、関連する以下の研究を行なった。
1. EASEモデルと作業環境境測定データとの比較
2.作業環境濃度と曝露濃度との関係
3.気中濃度の実測値と数値計算モデルとの比較
4.有機溶剤の蒸発速度を推定する方法の開発
5.混合溶剤の蒸発速度推算法の開発
研究方法
中央労働災害防止協会が蓄積した作業環境測定データから有機溶剤のデータベースを作成し、同時に3年間作業環境測定と並行して個人曝露濃度の測定を行いデータベースとした。これを用いて 1,2の研究及び曝露推定モデルを作成した。
3,4,5については、蒸発速度の実測値による純溶剤の蒸発速度推定式 及び、混合溶剤の拡散定数の推算法を検討し、CFDモデルと実測値と比較した。
結果と考察
作業環境濃度、個人曝露濃度との比較によりEASEモデルの推定は高めであった。
個人曝露濃度は、A測定値の平均から、A測定値の上側95%値又はB測定値の大きいほうの濃度範囲に分布することが示された。
有機溶剤の蒸発速度は、液面が深い場合は、拡散律速となり、拡散式で計算可能である。混合溶剤の場合も、多成分の相互拡散係数を推定し、拡散方程式を解くことで蒸発速度を求めることができ、実験値と良い一致をしめした。
一様流での3成分の実験では、CFDによる濃度分布の推定と実測値がよく一致した。一様流でなく、排気のみを行なっている条件下では、作業場よりも広域をシミュレートする必要がある。
曝露推定モデルは、有機溶剤の作業区分、蒸気圧、及び作業環境管理の状況毎に濃度を推定するものであり、A測定値の平均と上限として平均の3倍の濃度を採用した。データの少ない区分について、蒸気圧と蒸発速度の関係式を用いて外挿した。曝露濃度との比較では、概ね推定上限値以下であったが、B測定値及び曝露濃度との比較で複数例上限を超える場合について推定値を変更した。
結論
作成した曝露推定モデルは、対象が有機化合物蒸気濃度に限られるが、蒸気圧と、作業形態、作業場の換気が分かれば推定値が得られ、簡便に使用できるものと思う。実測値が推定上限値を超える可能性は概ね10%以下である。
CFDは曝露推定法として有望であるが、現時点では推定はオーダー程度であるが曝露アセスメントに用いることは十分可能であり、本研究で得られた蒸発速度の推定法は、CFD利用に有用なものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200733009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.日本での作業環境測定結果に基づく曝露推定モデルを作成した。
2.作業環境測定結果及び曝露濃度測定結果のデータベースを作成した。曝露濃度の測定は、353単位作業場所であるが、有機溶剤の延べ数は1189件で、数は十分ではないが初めての試みである。
3.有機溶剤が混合している場合の蒸発速度の推定方法を提案した。実験的にも十分な精度を持っていることを確認した。
臨床的観点からの成果
該当せず
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-