文献情報
研究課題名
石綿含有建材の解体工事現場で作業する労働者の石綿ばく露状況の評価に関する研究
研究代表者(所属機関)
社団法人 日本作業環境測定協会(社団法人 日本作業環境測定協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究報告書(概要版)
研究報告書(紙媒体)
文献情報
研究課題名
石綿含有建材の解体工事現場で作業する労働者の石綿ばく露状況の評価に関する研究
研究代表者(所属機関)
社団法人 日本作業環境測定協会(社団法人 日本作業環境測定協会)
研究分担者(所属機関)
- 小西 淑人(社団法人日本作業環境測定協会 調査研究部)
- 名古屋 俊士(早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科 )
- 富田 雅行(ニチアス株式会社 技術本部 環境管理室)
- 鈴木 治彦(社団法人日本作業環境測定協会 精度管理センター)
- 米山 玲児(社団法人日本作業環境測定協会 調査研究部)
- 伊藤 千賀子(社団法人日本作業環境測定協会 調査研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究報告書(概要版)
研究目的
石綿含有建築材料は、そのままでは石綿粉じんを発散することはほとんどないが、施工にあたっての電動工具を用いた切断や、石綿含有建築材料が使用されている建築物の解体・改修等の作業において石綿分じんを発散し、作業に従事する労働者の健康障害を引き起こすおそれがある。そこで、本研究では、石綿取り扱い作業に従事する労働者のばく露状況の評価のための計測方法の改善・開発を実施するとともに、現状の問題点と今後の評価のあり方について検討した。
研究方法
次の各項目について検討を行った。(1)分散染色法の精度向上に係る検討 (2)現場で短時間にアスベスト濃度測定が可能なサンプリング装置についての検討 (3)解体・改修工事現場での検討 (4)石綿除去工事における石綿測定を依頼する場合の依頼者側の問題点についての聞き取り調査 (5)繊維状粒子自動計測器による石綿濃度測定の予備的な検討
結果と考察
(1)サンプリングしたフィルターのアセトン蒸気による固定方法を確立し、低温灰化装置による灰化処理の諸条件を確認した。 (2)ガラス板捕集式サンプラーと静電捕集式サンプラーについて検討し、どちらも問題はあるものの、PCM法に対して一定の相関が得られた。 (3)石綿吹付け材の撤去作業はかなりの高濃度が予想され、作業環境測定基準に従った方法では、正確な繊維数濃度が計数できないと考えられる。また、排気装置の設置方法についても検討が必要である。最近使われる「石綿飛散防止剤」は空気中に噴霧するため、サンプリング中に捕集器具に付着し、計数分析の妨げになる場合がある。 (4)測定を以来する側も、測定の趣旨を理解した上で依頼する必要がある。 (5)PCM法とほぼ一致した値が得られた機種もあった。
結論
現行のアスベスト濃度測定手法では分析に時間がかかり、解体・改修現場での濃度の監視は困難である。そこで、短時間でアスベスト濃度が測定可能なサンプリング装置を検討し、有効な方法であることは確認できたが、今後、実用に向けたサンプラーの大きさ、材質等の検討が必要である。また、リアルタイムに繊維状粒子を計測する自動計測器は、石綿のみを選択して数値を表示する計測器ではないため、表示された数値が総繊維数濃度であることを理解した上で使用すれば、有効な計測手法であると考えられる。今後は、公定法としての導入が期待されるが、そのための機器に要求される必要条件を決定する必要がある。
研究報告書(紙媒体)
行政効果報告
成果
専門的・学術的観点からの成果
現場で短時間で石綿濃度測定が可能なサンプリング装置は、ガラス板捕集式、静電捕集式ともにフィルター捕集による繊維数濃度に対して、一定の相関関係が確認され、いくつかの課題は残るが、解体・改修現場での石綿濃度測定に利用できると考えられる。また、繊維状粒子自動計測器による石綿濃度測定についても、PCM法と比較し、一致した値を得られた機種もあり、現場調査を繰り返すことで、リアルタイムに繊維状粒子を計数する方法として活用できる。
発表件数
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
特許
主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)